「天を衝く(1)」の続巻。
南部信直を南部宗家の主にすべく、謀臣北親愛は南部晴継を暗殺し、その犯人を九戸政実に仕立て上げようとする。冷静に対応した政実は濡れ衣を着せられる危険は回避したが、政治的な駆け引きにより、南部の家督を信直が継ぐことを許してしまう。これ以降、水面下で政実と親愛の虚々実々の争いが行われことになる。しかし、そのような小さな争いをよそに、天下は大きく動いていた。織田信長が本能寺で死に、豊臣秀吉が関白となり関東に兵を進めてくる。信直と親愛は豊臣に臣従してでも南部家を守ろうとし、政実は最後まで抵抗しようと考えている。政実は伊達政宗と連絡を取り合い、表向きは臣従しながら時を稼ぐ作戦をたてる。しかし、まだ若い政宗は血気にはやって政実の思惑よりもはやく兵士を動かしてしまう。豊臣家は政実の反乱に対しどのような手を打つのか。親愛たちの謀略をどのように打ち破っていくのか。
本巻では、東北だけが地の利もあってすぐに攻撃されず、そのために激動の時代にあっても内紛ばかりくりかえしている様子を実に克明に描く。そうすることにより、実力も野心もある武将が戦国時代に頭角をあらわすことができなかった理由が明らかになってくる。
また、下剋上の時代にあって、主人公の政実は力で宗家を滅ぼすことをしない。これもまた当時の東北地方の状況が政実にそれをさせなかったのだというように読めてくる。これが戦国時代の武将だろうかと思うほどに秩序を重んじるのである。
作者はそれをよしとしているのであるが、そういう気質が東北出身の武将を表舞台に出せなかった理由ではないかと思うのだ。
さて、次の巻は完結編。政実の秀吉に対する意地がどのような形で描かれるのか。楽しみである。
(2005年3月18日読了)