「桂米朝集成【第二巻】上方落語2」の続巻。
花柳界の文化、文楽、歌舞伎、能狂言、珍芸、上方喜劇、クラシック音楽から食文化、大阪弁に至るまで、幅広い上方文化について書かれたものを集めた一冊。
司馬遼太郎との対談などは、似た者同士という感じがして興をそそる。茂山千作、長谷川一夫との対談は、名人同士に共通する芸能の神髄をかいま見せてくれるし、藤山直美との対談は、自分の娘のように相手を感じているようなところが見られて微笑ましい。広沢瓢右衛門との対談では、古老から貴重な証言を引き出すのに成功している。小松左京・菊地美智子らとの「題名のない番組」に関する座談会は、ラジオDJのあり方が変わっていった時期の空気をよく伝えてくれる。
著者の上方文化への造詣の深さは、ただ書物などで学んだだけでなく、自分自身が見聞きした物事がベースになっているだけに、奥が深い。私のような耳学問だけの半可通にはもちろん真似のできない文章が綴られている。
古い文化を忘れずに書きとめたかと思うと、新しい地平を開拓した経験を生き証人として語ることができる。この幅の広さが米朝落語の根底を支えるものになっているのだと改めて確認できた。
(2005年4月7日読了)