読書感想文


勉強ができなくてもはずかしくない 2 やっちまえ!の巻
橋本治著
ちくまプリマー新書
2005年4月10日第1刷
定価680円

 「勉強ができなくても恥ずかしくない1 どうしよう…の巻」の続巻。
 ケンタはクラスの友だちとしゃべるようになった。きっかけは漫画の本の話だった。横町の子どもたちとビー玉遊びをするために、母の財布から小銭をくすねるようなこともしたが、練習をすればビー玉遊びでも強くなれることを知ったケンタは、自信をつけるということを少しずつ学んでいく。友だちに誘われて「模擬試験」を受けに行ったケンタは、学校のテストは予習が面倒なので成績は悪いが、そうでないテストならけっこう点数をとれるということに気がつく。横町の遊びに参加していた6年生が、中学生になると加わらなくなることから、大人の世界に移行する時期があるということも知る。こうしてケンタは生活の中からいろいろなことを学んでいくのだった。
 さすがの作者も自伝的な物語となるといつもの調子が出ないのか。自分がどのような子どもだったかを振り返りつつも、そこに何がしかの意味を見つけて理屈づけようとするような姿勢がかなり強く出てしまう。そうなると、子どもの視点から成長を描くのではなく、大人のそれになってしまう。そうなると、あまり主人公に感情移入もできず、もともと普通の子どもの日常がそれほどドラマに満ちているわけでもなく、つるっと読めてしまう割にはあまり感情が動かない。
 主人公のケンタが左脳タイプの少年であるから、その無感動なところがよけいに強調されてしまうのかもしれない。中学生になったケンタがどのように変わるのか。その内容次第で評価も変わっていくだろうと思うのだけれども。

(2005年4月31日読了)


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