「勉強ができなくても恥ずかしくない2 やっちまえ!の巻」の続巻。完結編である。
中学生になったケンタは、小学生時代とはうって変わって、交友関係も広くなり、クラス全員と話ができるようになった。自信がついたのである。ローラースケートが流行すると、どんなにへたくそでもめげずに練習すればできるようになるという自信のもとに、ちゃんとできるようになる。高校は自分のいける範囲で比較的のんびりしたところに行きたいと考えるが、担任の先生から「友だちが君の受ける高校にランクを下げて受験することになったから、君の合格の可能性が低くなるので、君もランクを下げなさい」と言われてしまう。それでもケンタは、自分が原因でランクを下げるわけではないので、その指示を断わることができ、ちゃんと合格もした。高校生活も楽しく送っていたのだが、2年生の春休みから、友人たちが突如受験体勢に入ってしまい、戸惑ってしまう。受験一色に染まることを拒否するケンタは、「正しい高校生をやろう」と決意するが……。
自分に自信を持って何事もやろう。まわりに流されず生きよう。
そういったメッセージが、本書ではかなりはっきりと打ち出されている。ただし、ストーリーにうまくからませてはいるものの、十分に消化し切っていない感じがする。
作者はいわば成功者である。しかし、誰もが作者のようにしたからといって成功するとは限らない。成功者の自伝が陥る罠に、どうやら本書もはまってしまったようである。
(2005年6月1日読了)