「さよなら、ぺとぺとさん」に続くシリーズ第3巻。
ぺと子は博多でファースト写真集の撮影や本格デビューに向けて特訓の毎日。シンゴたちのいる鮎川町では「いもうと天国」本番に向けて、ちょちょ丸を中心に準備が進む。タイフーン・エクスプレスのために台風妖怪の風子を連れてきたちょちょ丸だが、不馴れな風子は失敗ばかりしている。それでも風子はマイペースでめげない。シンゴは、なんと博多にいるはずのぺと子と夜の墓場で出会ってしまう。ぺと子の思いとシンゴの思いが重なって、生き霊が出たのだろうか。くぐるとちょちょ丸は一計を案じ、ぺと子とシンゴを再会させようとするが……。
いったんお別れをした2人の淡い恋を成就すべく、物語が再開された。テレビアニメ化のための再開なのだろうが、物語自体、中断したような形だったので、不自然なところはない。新たな物語を作るために魅力的なキャラクターも投入された。伏線をしっかりはって、次巻に続くように工夫もされている。
なのに、今一つ盛り上がりを欠くのは、物語全体を貫く太い芯がしっかりしてないからのように思われる。前巻の感想にも書いたのだが、短篇の連作という形をとれば、その点はクリアできるように思われるのだが。
どうしても、アニメ用のストーリーを追加したという感じが残ってしまうのは仕方ないところか。文章も、シナリオのシノプシス的な感じを受けてしまう。設定やキャラクター、アイデアには魅力があるのだから、もう少し構成力と文章力を磨けばさらにいいものを書ける人であるだろうと思う。もっとも、こればっかりは作者一人の力だけでは難しく、編集者の協力が必要であると思うけれども。
(2005年8月13日読了)