「疾走!千マイル急行(上)」に続く完結篇。
母国エイヴァリーを失ったテオたち。エイヴァリーを憎むキット。亡命者たちを拒む采陽。迫りくる追っ手。そのような状況のもと、テオはエイヴァリーを繁栄に導いた「ドラグストン・コレクション」の秘密を知る。それこそは大陸技術の粋であり、また、多くの犠牲者を出してエイヴァリーの「ドラグストン機関」が全国各地から奪い取ってきたものであった。母国への誇りをも失ってしまったテオたちは、自分たちがどのようにして生き残るべきかを模索する。「ドラグストン・コレクション」を捨ててまでしてでも、彼らを受け入れてくれる都市にたどりつこうというのだ。しかし、テオたちの提案の前に立ちふさがるのは敵ではなく味方、彼らを導くはずの大人だったのである。そしてエイヴァリーの人々が新天地を求めるのを防ごうとするレーヌス軍は、彼らの目前に迫っていた……。
本書は追いつ追われつの冒険小説である。ただ、作者らしさがあらわれてくるのは、「技術」というものに対する扱いだろう。優れた技術やそれに基づく繁栄も、他者から奪い取ったものでは何の意味もないし、その技術を使って得た繁栄とはもろくもはかないものなのである。
「技術」には完全なオリジナリティーなどないのだと作者は訴えかけ、その中の一部分でも独自のアイデアがあれば、その技術は生きてくる。少年たちは次々と立ちふさがる困難を切り抜けることにより、一段と成長していく。そして、自分たちが無邪気に信奉していたものが崩壊してしまうことにより、自立へと向かっていけるのである。
文章が読みやすく、物語の展開が早い。手に汗を握りながらぐんぐんと読み進めていってしまう。そういう心地よさを感じた作品である。
(2005年9月30日読了)