「封印作品の謎」に続く第2弾。
本巻では一世を風靡しながらも現在入手不可能となっている「キャンディ。キャンディ」と「オバケのQ太郎」がなぜ封印されたかということと、特に問題点を指摘されなかったにもかかわらず封印されてしまった「ジャングル黒べえ」「サンダーマスク」の4作品の秘密に迫っていく。
原作者とマンガ家の感情的な行き違いがビジネス的な問題とからまりこじれた「キャンディ。キャンディ」。合作ペンネームを使用していた藤子不二雄が、コンビを解消してしまったがために遺族の意向などで復刊が難しくなっているのが「オバケのQ太郎」。
「サンダーマスク」は、放送権を持っている広告代理店の都合で放送されなくなったのに対し、雑誌などでカルト的な作品であるかのようなコメントが載ったことによって憶測ばかりが飛び交う結果を生じている。「ジャングル黒べえ」にいたっては「差別作品だ」という訴えすらなかったのに、放送局がが自主規制をしてしまっている。
ガードの固い当事者たちの壁に阻まれ、取材は難航を極めているが、当時の出版物に目を通し、手がかりをつかんだ上にわずかなコメントから真実(と思われる)を探り出していく。
夢がビジネスに変質してしまう時、蜜月時代を作っていたコンビでさえ「骨肉の争い」を行ってしまう。しかし、そのために名作が「封印」されてしまう哀しさ。その理不尽さが本書を通じて伝わってくる。まさに労作といわねばなるまい。
(2006年3月4日読了)