「ランブルフィッシュ9 大会開幕奇襲編」に続くシリーズ第11弾。完結編である。
恵里谷対フェニックスのSR戦は、予想通りフェニックス優位で進んでいく。その戦いの最中、恵里谷闘騎術専門学校に無人のRFが集団で襲いかかってきた。しかもそれらは戦闘用のRFばかり。主力が試合でいない中、場内整備をしていた残りのRFライダーたちは必死で無人RFと戦い続ける。そして、今回のSR戦や映画撮影を企画し、恵里谷に隠されたRFの秘密を一手にしようとたくらむ黒幕が登場する。巨悪の陰謀を防ぐのは誰か。そしてSR戦の決着は……。
長期にわたって展開された学園巨大ロボットSFもとうとう完結。結末はこれまでまき散らされた謎のピースがぴったりとおさまっていき、大団円の様相である。ここらあたりが作者の「小説のうまさ」だろう。なおかつ、大量に登場した登場人物も無駄のない活躍ぶりであり、これだけの人物群像を描きわける力量もさすがである。
物語は、青春ドラマらしく若者たちの無限大の可能性を示唆して締めくくられる。それはいいのだが、贅沢を言わせてもらえば、せっかく恋愛のネタを多く用意したのであるから、そちらの方も何らかの形で決着をつけてほしかった。枚数の関係でそこまで手が回らなったのかもしれない。
こうなったら、今度は大人向けのSFとして戦闘に巻き込まれていく主人公たちとそのロマンスなどを描く続編も読んでみたいところだ。もっとも、それをすればせっかく爽やかに終った本編のイメージを落してしまうことになるかもしれない。だから、そこらあたりは読者の想像に任せておくということなのかもしれない。
未読の方は1巻から一気に読むことをお薦めする。なにしろ前巻から本巻まで1年近くも待たされたりしたのだから、リアルタイムで読んでいると次が読みたくてじりじりしたのだ。ここは一気に読み通してみたいところである。
(2006年5月7日読了)