「ニッポン人脈記1 女がはたらく」の続巻。
ひとつのテーマを「人脈」という切り口で追っていったシリーズで、意外な人物が思いもよらなかったところに登場するのが面白い。
本巻では「『韓流』の源流」「ベトナムの戦場から」「『満州』の遺産」「アジアの留学生と」「世界の貧しさと闘う」「沖縄をつむぐ」というアジアを中心として海外とつながっている人々についてのテーマがとりあげられている。
第二次大戦、そして戦後、日本はアジアにどのような顔を向けてきたのか。大上段に振りかぶるのではなく、たった一人の人物の行動を手がかりに、そこから複数の人物のそれぞれの物語を重ね合わせ、全体像を浮き彫りにしていく。
例えば、日本に韓国ドラマが輸入されたきっかけは、アジア各国に日本のドラマの放映権を売っていた人物が、日本のドラマの売れ行きが悪くなった理由を探るという行動にあった。それが「韓流」ブームにまでつながっていく。そして、そのつながりの中から在日韓国人の問題に、日韓の外交関係へと話は続いていく。
しかし、読んでいくうちに、気になる点も出てくるのである。新聞の連載記事をまとめたもだからしかたないのだろうが、ある人物とつながっていた人でも、様々な理由で離れていくこともあるし、そこにはまた別のドラマがあるはずなのだが、書き手たちはそこまで踏み込まないのである。登場する人物たちは手放しで肯定され、醜いところや汚いものはここでは映し出されない。
それぞれの章はたいてい複数の記者によって分担されたものなのに、まるですべての文章が同一人物の書いたもののように感じられるのは、その一面性からくるものなのかもしれない。
(2006年12月6日読了)