「けったいな人々」の続巻。
著者は元NHK大阪放送局(BK)の演芸プロデューサー。
前巻では、著者が接した芸人さんの思い出が中心であったが、本書では著者の放送人としての来し方が人と人のふれあいという形で描かれる。
初任地であった伊予松山の放送局。ラジオ時代の地方局ゆえに自分の好きなことをのびのびとできた古きよき時代である。そして大阪に戻り「横堀川」などの大阪を舞台にしたドラマの制作をしていくが、そこで出会った人たちの個性的なこと。
NHKとはいえども、視聴率は気になる。しかし、当時の局長たちは数字よりも中身を重視していた。それもまたNHKだからである。著者はそれを「やさしさと思いやりの時代」だったからと回想する。
放送史の華やかな光に隠れてしまう裏方たちの仕事に対し、ていねいにその役割を読み手に紹介していく。スターだけでは何もできないのである。
再び貴重な証言がここに残されることになった。著者の記憶力のよさと、過去に対するやさしいまなざしが、生きた歴史を私たちに伝えてくれるのである。
(2006年12月9日読了)