読書感想文


ニッポン人脈記3 未知への挑戦
朝日新聞社著
朝日文庫
2006年11月30日第1刷
定価540円

 「ニッポン人脈記2 アジアの夢」の続巻。
 ひとつのテーマを「人脈」という切り口で追っていったシリーズで、例によって意外な人物が思いもよらなかったところに登場する面白さが持ち味。
 本巻では「サッカースタジアム」「野球、海を渡る」「サラブレッドとともに」「高い山へ地の果てへ」「宇宙にあこがれて」「ビートルズの時代」「桜の国で」というスポーツや文化によってつながっていった人々についてのテーマがとりあげられている。
 面白いのは、パイオニアたちが現在どのような生活をおくっているかということから、その分野がどこまで完成された社会になっているかがわかるということである。
 例えば「サラブレッドとともに」の場合だと、競馬の騎手は引退すると馬の調教師として後進を育成するというシステムができあがっている。ところが「野球、海を渡る」ではプロ野球選手の引退後の不安定さが図らずも露呈してしまう。
 本シリーズは時代と人間をテーマ別に分けて書かれたルポルタージュなわけだが、ジャンルを横断して登場する人物もいる。本巻で第1期の刊行が終ったわけだから、できれば巻末の人名索引は全巻分を対象にしたものであってほしかった。そうすれば、専門的な人物とジャンル横断的な人物、それらの人物をつなぐ人物がそれぞれどんなところで登場しているのかをよりわかりやすく提示できただろうに。

(2006年12月10日読了)


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