「にっちもさっちも」に続く週刊誌連載エッセイ集第6巻。本巻には2003年分が収録されている。
2003年といえば、タイガースが18年ぶりに優勝した年である。本書にもそれは軽く触れられている。スワローズファンの著者がこの年だけはタイガースを応援してくれていたのだなんて、著者のファンである私は少し嬉しくなった。むろん、著者はそこから月亭八方の落語に話題をうまく変えていくのだけれど。
平穏に始まったはずの2003年が、ブッシュJr.米大統領と小泉首相たちのせいでだんだん暗胆たる様相を示していく事が、本書ではちらりちらりと書かれている。昭和30年代ブームが始まりかけているが、著者はいち早くそのブームの中でとらえられている昭和30年代が誤った認識に基づくものである事を指摘する。
話題の映画にも触れてはいるが、それよりもヒットはしなかった佳品とその映画にいたる歴史や背景を丹念に書き込み、私たちの世代に教え諭してくれる。だからといって説教臭くはならない。説教というよりは、不勉強なものに対し容赦ないというべきか。その容赦のなさが本シリーズの魅力なのである。
時代を見る目の確かさと、歴史というものに対する向き合い方など、本書から得られるものは限り無く大きい。
(2007年5月16日読了)