ぼやき日記


6月11日(月)

 池田市の小学生殺傷事件の報道で、なんとも我慢ならんことがある。
 殺された小学生たちのことをしつこく掲載するお涙ちょうだいの紙面構成である。そっとしといたれよ、と思う。PTA会報に掲載された「私の夢」を掲載したりするのはいくらなんでもやりすぎやないか。そらねえ、殺された子どもたちはかわいそうやと思うよ。私が担任やったらやりきれへんやろうな。そやけど断たれてしもうた夢を不特定多数の読者に紹介してどうなるの。犯人に対する怒りが増幅し「あんなやつは死刑にしてしまえ」という世論が沸き起こるのを期待してるのか? そんなことをすると精神障害者や神経症患者全てを虞犯者とみなすような輩も出てくるに違いない。新たな差別の種を蒔くことにはならへんのか? そういう危険性を承知の上でこれでもかこれでもかと被害者の悲劇性をよりいっそう際立たせるような記事を掲載しているのか?
 新聞の全てが客観的な記事で埋めつくされることなど私は期待も希望もしてへん。意見は意見として主張したらよろしい。そやけど、読者の感情に訴え一定方向に誘導していくような紙面作りには疑問を感じる。今後こういった事件をどのようにしたら防げるのか、法律面、制度面、医療面など多面的な視点で、読者に考えさせるような情報提供をするのがマスメディアのあるべき方向性やないのやろうか。
 これ以上被害者をさらし者にするような紙面はもういらん。もっと理性的な記事を読ませてくれよ。私が担任やったら新聞なんかよう読まれへん気持ちになると思うぞ。

6月12日(火)

 サンテレビでタイガースの試合の中継を見ていると、あ、サンテレビだけではわかりませんか。タイガースの試合を開始から終了まで完全中継するのが売り物の神戸のUHF局であります。関東の方にわかるように書くとつまりベイスターズ戦を中継するテレビ神奈川みたいなもんです。で、サンテレビ。タイガースがチャンスを迎えて選手が打席に立つと、選手の顔をアップにしたあと必ずスタンドで応援する女性をうつす。いや別にその選手の恋人やとか家族やとかいうんやないよ。ただ単に応援しているファン。それが必ずといっていいほどべっぴんばっかり狙ってる。
 あれ、スタンド風景をとっているカメラマンの好みなんかなあ。カメラマンの人が必死でかわいい女の子を探し、アップにしたまま固定するわな。すると中継車の中でディレクターが自分の好みの女性とみるや「チャンスの場面で応援するファン」という形でさっとスイッチを切り替えるんやろうかね。そういう姿を想像するとおもろい。よう見てたらサンテレビは特に女性だけに限らず応援するファンを挿入する局ですわ。これはやっぱれローカル局ならではのファンサービスかなあ。次の日出勤したら「昨日、テレビに写ってたで!」なんて声をかけられたりするとサンテレビをまた見てやろうという気にもなるかも。
 中継車の中でファンを写すタイミングを図っているディレクターの努力が実るとええのにね。そこまで考えてへんかな。関係者の方が読んではったら、ごめんなさい。

6月13日(水)

 私の住んでいる大阪府パナソニック市では市長選挙が告示されてて、ぼちぼち選挙カーが走り始めてる。
 選挙の入場整理券が送られてきて、さすがに悩む。今投票したとして、その市長の任期は4年。そやけど、私と妻は書類上では遅くとも今月末までには市民やなくなる。実際にはもう1ヶ月は生活する予定なんやけど、どっちにしても今市長選挙で投票しても今後の私の生活にはなんら関係ないんだ。
 もしここで投票したとしたら、それは実に無責任やないかと思うんですね。あと少しで関係なくなる人間の1票に何の意味があるというのか。そやけど、選挙権というのは主権者として政治に参加する大事な権利やからね。棄権はしたくない。ただ、棄権した方が誠意を見せるんやないかとも思わんでもない。無責任な投票か、誠意ある棄権か。これは私にしたらけっこう悩んでしまうところなんやね。
 問題なんは、2人立候補してるけれど、私はどちらにも投票したいと思わへんということ。2人ともなんら魅力を感じさせへん。入れたい候補がいてへん上に入れてもその市長はあとわずかで私の生活には関わりのない人物になってしまう。となると、やっぱり棄権かあ。棄権は嫌いなんやけれど、今回は……。
 みなさんならどうしはりますか?

6月14日(木)

 人の記憶のええかげんさというものを実感した。
 長年着用していた夏用のブルゾンがとうとう薄くなって擦り切れて破れてしもうた。それを見た妻が「とうとう破れたねえ」と言うたんで「そうやなあ。まあ、10年以上着てたんやからしゃあないわ」とつぶやいた。
 それを聞いた妻が「なに言うてんのん、あれ、結婚してからあなたが買うてきたんやんか。10年もたってへんで」と言う。そんなことあらへんがな。あのブルゾンは確か結婚するずっと前に私の母が「安かったし」というて買うてきたものやったはずや。
 関係ないけど、子どもの頃は親が買うてきた服って、着るのが気恥ずかしいとか言うた経験はありませんか。私はなんでか知らんけれど「こんなん着るの嫌や」とごっつ抵抗したことが何度もある。ごねてごねてした割には何日かしたら当然のようにその服を着て学校に行ってたりして「あんなに嫌がってたんに、この子はわからん子やわぁ」と母をあきれさせたもんである。あれは一種の反抗期やったんかしらん。
 大人になってからは嫌がるどころか「経済的に助かった」とばかりに即日着用したりするんですからな。わがままなもんだ。くだんのブルゾンもその中の一つやったと記憶していた。
 ところが、妻は私が京都の「VIVRE」で買うてきたと店名まではっきりと覚えてるという。ところがやね、私は結婚直後にそういうブルゾンを買うてきた記憶が全くない。どっちの記憶が正しいのやら。もちろん、二人とも自分の記憶の方が正しいと思うているわけで、どっちの記憶が違うのかなんて決着はつかへん。
 夏になったら必ず着ていたブルゾンやから、私も妻もいつからその服があったかなんてふだんは気にもかけてへんかったのにね。で、こう食い違うと逆に自分の記憶に自信がもてへんようになってくる。二人して「記憶違いやったかなあ」と頭を抱えてしもうた。たかが服一着と思いなさんなや。中年になり記憶力が減退してくると、こういうことが悩みの種になるんです。二十代のみなさん、ご理解いただけへんと思いますが、いつかきっとくるのですよ、あなたにも。
 ほんまに人の記憶なんてものはええかげんですな。たかが服一着、どこで買うたかなんてことがわからんのやから。やっぱり脳細胞が日々死滅していってるんやろうなあ。もともと頭が悪いということもあるか。ほっといてちょうだい。

 明日は所用で更新できません。次回更新は土曜深夜の予定です。

6月16日(土)

 昨日は「ワッハ上方」にミヤ蝶美・蝶子の独演会に行く。妻が知人からチケットをもろたということと、若い頃の蝶美・蝶子の漫才が好きやったから、というので楽しみにしてた。まあ若手の独演会やったらようあることなんか知らんけど、知人のつてで券を売ってきてもらうたというのを舞台でもいうて礼を言うたりしている。そのつてで手に入った券で見ている私が言うのもなんやけど、あんまりそれを強調した舞台というのはいかがなものかと思うた。芸人さんやからこそ「これからは実力でお客さんに入ってもらいます!」くらいのことは言うてほしかったなあ。
 それはそうと、蝶美さんの芸人としての笑いの勘は鈍ってないなあと感じさせられた。結婚のためにコンビを解散して10数年、再結成してまだそれほどたってへんというのに若い頃の勢いをかなり取り戻している。とはいえ、蝶子さんは「蝶々劇団」でずっと芝居をしてたせいやろうか、その癖が抜け切れてへんみたいやね。漫才というのはコンビが向かい合うようにして話をしている方がおもろいと思うんやけどね。蝶美さんは蝶子さんの方に肩を寄せているんけれど、蝶子さんは足を外に向けてお客さんの方ばかり見ている。これ、芝居でついた癖やと思う。そやからかな、ツッコミが弱い。蝶美さんのテンションがだんだん上がっていってもそれを受け切れてへんように感じた。
 10数年も間があくといのはこういうことなんかなあ。あと5年後くらいにもう一度見比べてみたいと思う。その時には、本人たちの知り合いでもなんでもない一般のファンの前で息の合うた漫才を見せてほしい。
 それはともかく、こういう会を開く場としての「ワッハ上方」はやっぱり大切な場所です。「ワッハ上方を救え」運動、ぜひご協力のほどをお願いします。

 明日は「たちよみの会」の例会です。興味がおありの方は一度のぞきにきてみて下さいね。

6月17日(日)

 今日は「たちよみの会」例会。今月は京大SF研の面々やらせんちゃんといったおなじみのメンバーに加えて東京から関西に長期出張できているという谷田貝和男さんが久々に参加しくれはった。こういう風に思い出していただけるのが一番ありがたい。例会では例によってなんともいえない雑談を。谷田貝さんとは現代の社会階層について話したりする。あんまり明るくなれる話題やなくて悪かったかな。

 京都に行くK阪電車の中で爆睡する男性が近くに座っていた。彼の手元に文庫本が置いてある。こういう時につい本のタイトルを確かめてしまうのは悪い癖。『時間を有効に使うヤツが出世する!』という本。お兄さん、悪いけどあんた出世せえへんわ。

 おなじくK阪電車の中で。3才くらいの男の子を連れた親子が電車に入ってきた。子どものことやから窓の外の景色を見たくて靴も脱がんとさっと座席に駆け上がる。両親は知らん顔。たまたま車掌さんが通りかかり、子どもの靴を指差して一声かけ通り過ぎた。母親は鞄からハンカチを出して子どもの靴の底を拭き、あたりまえのようにハンカチを片付ける。おい、違うやろ!

6月18日(月)

 夕食時に妻となぜか時代劇のキャスティングについて話をする。
 水戸黄門が若返ったんやから、次もまたもっと若い役者が水戸黄門をしたらよろし。それならトヨエツなんかどうや。トヨエツが黄門様やったら「助さん・格さん」は似合わへんなあ。そら「ヨグさん・ダンさん」が着いていくのやろう。ということは、8時30分過ぎには「かげろうインスマウス」が風呂に入っているところを悪代官が覗き見してねばねばした液をかけられるんやろうな。デザインはギーガーや。特撮はルーカスフィルムか。ロケ地は「太秦映画村」ではあかん。USJでやったらええがな。トップシーンは鶴橋のホルモン屋で焼いた臓物をつついてるところからやな。
 よーし、これを今日の「ぼやき日記」のネタにするぞう。あかんあかん、こんなおいしいネタは、あなた小説に書くのよ。ばらしたらあかんよ。こんなん私よう書かんよ。田中啓文さんやったらもっと面白いネタに仕上げてくれるはずやで。だいたい私、クトゥルーについてはそんなに詳しくないもん。書くのよ、書くのよ、ベストセラーになったらローンを一気に返せるわよ。こんな話がベストセラーになるかーい。
 というわけで、このネタの著作権は私と妻にあります。使用する方はご連絡下さい。原案料をお支払いいただければ、なんぼ使うてもろてもかまいません。誰も使いませんか。そらそやな。

6月19日(火)

 昨日の日記は何が書いてあるのかわからんと妻に指摘されました。読み返すと確かにわからん。つまりそのクトゥルー水戸黄門のアイデアを妻とのヨタ話で思いついたとただそれだけのことなんです。やっぱり疲れているのかなあ。疲れが文章にそのまま表れるからなあ。
 今日はほんまに疲れている。生徒が「職場体験実習」をしているので、その付き添いに行ったんだ。使い捨ての業務用ポリ手袋を作っている工場で、生徒たちは1週間そこでポリ手袋の箱詰めの補助をやったりして「就職するとはどういうことか」を実地で学ぶというわけです。これがずっと立ち仕事。作業をしている生徒たちはええけど、それをずっと見ている私にも椅子がないというのはきつい。時々生徒のミスを見つけて直すよう指導したりもする。ちゃんとした生産ラインで仕事をしているわけやから、いくら実習の授業とはいえ、ミスはさせられへん。ただぼんやりと立って、時間が過ぎるのを待ってるわけにはいかんのです。さりとて手持ち無沙汰やから作業を手伝うというわけにもいかず。とにかく疲れた。行き帰りは駅で生徒たちと待ち合わせて工場まで20分ほどかけて歩くわけで、朝の8時頃から夕方の4時30分頃までの間、座ることができたのは70分だけ。ふだんは座ってる事が多いんで、これはきつかった。しかもまだ明日も付き添う事になっている。それを考えるだけでまた疲れる。
 こういう時に「あしぃたがあるぅさ、あっすぅがあるぅ」なんちゅう歌声が聞こえてきたら腹がたってくるね。
 で、今日は疲れてるんでこれくらい。わざわざ来ていただいたのに申し訳ありません。

6月20日(水)

 今日も体験実習の付き添いに行ってきたのじゃ。そやから疲れてるのじゃ。少しは体重が減っておったらええなあと思うのじゃが、そうもいかんのじゃなかろうかと思うのじゃ。あ、うちには体重計はないのじゃ。そやから体重が増えたか減ったかわからんのじゃ。
 付き添いで行った工場というのは昨日も書いたように業務用の使い捨てポリ手袋を作っているところなんやけど、なんでもO−157事件以来、ぐんぐんと業績をのばしてきたらしい。けっこう注文があるらしく、ひっきりなしに出荷していて忙しそうやった。とはいえ、箱詰めから出荷まで全て人力でやっておるところが町工場の町工場たるゆえんであるなあと思う。世間では潔癖症の人が増えているとかいうことで、いわゆる「抗菌グッズ」というのかそういう処理をしたという事をうたい文句にした商品が増えている。使い捨ての衛生手袋なんかそういう意味では時流に乗っているかもしれへんね。よほどうまくいっているのか最近工場を新築した。きれいな工場で設備も整っているはずやのに、働いている若い社員の人たちは広い作業場の真ん中に集まって実にせせこましく仕事をしている。もっと広く使うたらええのにと思うけど、きっと狭い作業場での習慣が抜け切らへんのやろうね。そういうことは、まあちょいちょいあります。
 というわけで、今日も疲れてるんでこんなもん。連日申し訳ありません。

 あ、今日の「タイガース−ジャイアンツ」の野球中継は解説があの福本豊さんやったけど、全国放送を意識してか、いつもの天衣無縫な発言は控えてはったみたいです。もしかして新聞を見て「これは一度聞いてみないと」と期待しはった方がいてはったら、残念な事でありましたね。あれは関西ローカルでリラックスしてないと聞かれへんみたいです。残念残念。


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