ぼやき日記


9月21日(金)

 今日は交流行事で生徒たちと近くの高校へ文化祭の見学に行く。模擬店やなんかを中心に回る。準備時間がそんなになかったんか、それともO−157以来食品の販売に規制がかかっていることもあるのか、生徒たちほどには楽しまれへんかった。それでも高校生たちが自分たちなりに盛り上げようとしているのを見てるとその活気が楽しかったりする。
 図書委員会主催で「古本市」をやっているので生徒たちといっしょに見に行く。実はこれまでそこの文化祭でけっこう掘り出し物を見つけているんで、ちょっと期待はしていた。今回は文庫本なんかにはそれほど収穫はなかったけれど、漫画本でちょっとレアな物件を入手。御厨さと美「トゥィンクル・ノーラ」(笠倉出版社)と坂口尚「月光シャワー」(東京三世社)の2冊。もちろん絶版やし、現在の漫画文庫ブームでもまず復刊されることはないやろうね。
 私はコレクターではないし、マニアックにこういう本を追いかけ探し回ってるファンでもない。そやけど、自分の好きなマイナー系の漫画家の単行本が格安で手に入るとなるとオタクな血が騒いでしまう。新古書店でもめったに見ないしマニア向けの漫画古書店やったらけっこうな値段がついてそうなこういう本が元値の1割で買えるんやから、たかが文化祭の古本市とあなどってはいかんねえ。しかしこういう本を手放したのはどういう人なんやろう。そこの高校の生徒の親戚かなんかか? 高校生自身が所持していたとは考えにくい。あるいは高校生が誰かから昔もろうて押し入れにでもつっこんでおいたのを持ってきたのかな。どういう経路でこういう希少本が学校の文化祭に出品されたんか、気になるなあ。

9月22日(土)

 書評の締切りがきているというのに、SFとは何の関係もない「風神の門」なんかを読んでいるというのにはわけがある。そろそろ学習発表会の劇の台本を書かんとあかんので、そのための材料集めなんです。今年は「真田十勇士」を題材にしたものか「南総里見八犬伝」を題材にしたものかどちらかでいこうと考えているんやけれど、そのためにはきっちりとネタを仕込んでおかんとあかんわけです。
 うーむしかし「今年は時代劇でいこう」と決めた時に結局上に書いた二つを思い浮かべてしまうというのは、つまり子どもの頃に見たNHKの人形劇が私の識域下にあったとしかいいようがないねえ。
 40分ほどの劇で32人の生徒を満遍なく登場させようとすると、なんらかの形で無理が出てくる。そのためには主人公が集団で出てくるほうが舞台にたくさんの生徒を出せるという利点がある。そこから上の二つを思い出したということでもあるんやけどね。
 ただ、誤算は「風神の門」が真田十勇士ものとしてはちょっと異端過ぎたこと。ほんまは池波正太郎の「真田太平記」をじっくりと読み込みたいんやけれど、それをすると書評する本を読む時間を作るのが難しいしなあ。さてさて困ったもんです。

9月23日(日)

 阪神タイガースの和田豊選手が今季限りでの引退を表明。大相撲の智乃花関も引退の危機に追い込まれている。和田選手は私と同い年、智乃花関は2つ下。30代後半の同世代でありますね。スポーツ選手は現役の期間が短いから自分と同じには語るわけにはいかんのやけれど、この年まで頑張ってきているのがやはり励みにはなるから、引退というのは寂しいね。
 年のことはあまり書きたくないんやけれど、社会的には中堅といえる年齢に入りつつある。もう若手というには年をくうており、ベテランというにはおこがましい。ええ言葉がありますな。「働き盛り」ですか。まだ頭がぼけるには早いし、体もスタミナはなくなってきたけどまだまだ動く。野心のある人なら10年後を見越して人脈作りにせいをだし出世することが目標になってくる。
 そういう時に同世代で早くもベテランと呼ばれながらもスポーツの世界で現役でやっていっている人がいるというのは、まだまだ自分は若いんやという気持ちになれる心の支えみたいなもんやね。和田選手や智乃花関は引退しても、同学年ではタイガースの広澤選手、大相撲の寺尾関がいてるし、ホークスの長冨選手は私よりも年上や。プロレスラーには50代でもリングに上がる選手がいてる。
 そう考えたらまだまだ若いな。和田選手には今後指導者としての活躍を期待したいし、智乃花関には教師に戻って有望な学生たちを育ててほしい。まだまだこれから。気合い入れていきますか。

9月24日(月)

 暑さ寒さも彼岸までとはよう言うたもんで、朝夕めっきり冷え込むようになった。とりあえず薄手のブルゾンを引っ張り出してきてしのぐ。今日は京都まで墓参りに行ったんやけれど、日中はめちゃくちゃ暑い。この気温差で体調も崩れがち。ううむ、今年は夏の暑さがむちゃむちゃきつかったし「もう秋は来ないんやないか」と心配してたんですが、自然とは偉大なものですなあ。地軸の太陽に対する角度が変わったらちゃんと気候も変わる。あたりまえのことですか。そやけど環境破壊やなんかで気候もおかしくなってるというから、あたりまえのことがあたりまえでなくなったりするかもわからんからね。
 おお、環境破壊というと「京都議定書」。日本やEU諸国はアメリカに軍事協力する代わりに京都議定書の実行とユニセフへの再加入を要求したらどないや。あの国は自分とこの利益を守るためによその国を巻き込んでもてんと恥じない国やから、国際強調を言うならそれくらい実行しろと迫っても罰は当たるまい。
 話がそれた。とにかくお彼岸ですんで帰りにおはぎを買うて食べた。彼岸といえばこの時期殺生はいかんそうな。アメリカが強引にアフガンを攻撃しようとしたら「これ! 彼岸やがな!」と注意してやったらどないや。ブッシュ大統領はこない言いますな。「彼岸ちゅうもんを初めて見ました。彼岸ちゅうのはターバン巻いてヒゲを生やしてますねんなあ」。「なにを言うてんのや。それはアフガンのイスラム教徒やがな」。「いや、小泉はん、あんた今『彼岸やがな』言いましたで」。「彼岸には殺生をしたらあかんと昔から言うたある。せめて彼岸の間でも殺生は待ちなはれと、こない言うてんのやないか」。「ははは、私はまたあれが『彼岸』いうもので、誰かがあれを見て『あ、彼岸!』と言うたのが『アフガン』に変わったんかと……」。
 もうここらへんでやめにしておこう。あ、天王寺さんに参って引導鐘を突きにいかんならん。ほな今日はこれで。

9月25日(火)

 ブッシュ大統領はよほど歴史音痴に違いない。よりによって自分らを「十字軍」になぞらえるとはねえ。
 だいたい「十字軍」というのは無知なヨーロッパ人が文明が高度に発達したイスラム諸国のことを何も知らんと「聖地奪回」という掛け声だけは勇ましく作った侵略軍で、何度かエルサレムを占領しながらも補給線を断たれてことごとく失敗し、末期の「少年十字軍」なんか何も知らずに募兵に応じた子どもたちは途中で奴隷商に売り飛ばされたりしているのと違うたか。結局得たものはイスラム圏との通商ルートだけで、ヨーロッパ人はイスラムの文明を入手してやっと文明というものを知ることになるんですな。
 そのデンでいくと、アフガンを攻略する米軍は無謀な侵略軍ということになるしその結末は敗北ということになる。なんでまたわざわざそういうものを持ち出すかね。
 正直なところ、こういう頭の悪い大統領の言動に世界中が振り回されるのは不運としか言いようがない。誰かブッシュ大統領に歴史を教えてやる知識人はいてへんもんかいな。

9月26日(水)

 いやいや興奮しました。
 大阪近鉄バファローズの優勝決定の瞬間であります。
 オリックスブルーウェーブ3点リードで迎えた9回裏、大阪ドームのバッターボックスには無死満塁で代打北川が立っていた。北川の打球はレフトスタンドへ一直線。なんとなんと「代打満塁釣り銭なし逆転サヨナラ優勝決定ホームラン」であります。ここまで劇的なホームランは日本プロ野球史上初めての快挙なんやね。
 あ、「釣り銭なし」というのはサヨナラホームランで勝った時のスコアがちょうど1点差というギリギリの条件で逆転したという意味です。これまで「釣り銭なし」で「代打逆転満塁サヨナラホームラン」を放ったのはジャイアンツの樋笠選手だけで、そのホームランは優勝決定の試合で打ったものやない。そやから北川選手は樋笠選手よりも劇的なホームランを打ったことになる。
 こんなんフィクションでやったら陳腐でしかないのね。そやけど現実にこういうホームランを見せつけられると「こんな凄いことがほんまにできるんや!」と身震いしてしまう。しかもバファローズは昨年まで2年連続最下位ですぞ。こういうのを「ミラクル」というんや。好投手や強打者をよそのチームからかき集めたり有望な新人を裏から手を回して逆指名させたりして勝って当然というチームを作り前年優勝しながら、たまたま今年は投打が噛み合わへんで首位から離されしまいそれを逆転することを「ミラクル」と名付ける異常な言語感覚の某G軍の某N嶋監督には一生かかってもわからんやろう。
 しかしなんです、北川はタイガースでは芽が出ないで今年バファローズに移籍してきた選手。そのままタイガースにいてたらこの喜びは味わえへんかったわけで、ほんまにトレードしてもろうてよかったねえ。人間地道に努力してたらきっとええことがあるという見本やね。この一打で球史にその名が残るんやで。これまで誰もやったことのないことをやってのけたんやから。
 私はバファローズファンやないけれど、テレビで見ていてほんまに興奮した。いやもうこんなに凄いもんをテレビとはいえ見ることができてよかったよ。妻も興奮している。「さあ、明日は近鉄百貨店へ行くよ!」。優勝記念バーゲンはものによっては半額になるらしいからね。
 バファローズファンのみなさん、おめでとうございます。来年はタイガースが「ミラクル」を起こす番……はいはい夢くらい見させてよ。ああ羨ましい。
 一方今日のタイガースは、横浜ベイスターズ谷繁選手にサヨナラ安打を打たれて2連敗……。ららら来年はみみみミラクルを……。

9月27日(木)

 あれは小学校の頃やったと思う。親戚のお兄さんから一冊の本をもろうた。著者は中岡俊哉。「世界の怪事件」(秋田書店)という本やった。そこには頬で物を見る少女、空中を飛ぶ秘法を見せたチベットの活仏、蜘蛛を常食とする中国人、高圧線を手づかみにする技師、ジャングルの奥地で目撃されたのっぺらぼうの怪人たち……様々な人物の不思議な話が書かれていて、幼かった私は胸をわくわくさせながら読んだもんやった。
 そのあと、少年誌の特集記事などでもその著者の名前をよく見かけた。ネス湖の恐竜にヒマラヤの雪男などなど世界の七不思議がまるで見てきたように書かれていた。
 引っ越しをして久しぶりに「世界の怪事件」を手に取りぱらぱらとめくるとあまりのアホらしさに大笑いしてしもうた。今でいう「トンデモ本」のたぐいやったかもしれへん。そやけど、小学生の私にとってはイマジネーションをかきたてる愛読書やったことに違いはない。思えばその後SFを一生の友とする土台に知らず知らずのうちになっていたんかもしれへん。その本自体はSFとはかけ離れたもんやったにしろ。
 中岡俊哉さんの訃報に接する。享年74。死因は胃癌。幼い頃に不思議な世界の楽しさを教えてくれた人物の死に感慨を覚える。それがたとえ外信の囲み記事を大げさにふくらましたもんやったとしても。
 謹んで哀悼の意を表します。

9月28日(金)

 暑いんやら涼しいんやらようわからん1日。いよいよ明後日は運動会本番。この2週間というもの、毎日毎日運動会練習が日程に入ってて運動不足の私はこの秋風吹く季節に夏バテ状態やね。その練習も一応今日で終了。天気予報では明後日は雨らしいけれど、延期になってまた練習日程が追加されたらたまらん。ここは一気に本番に突入してほしいところやね。

 缶コーヒー「ジョージア」のコマーシャルを見てると、浜田課長が書店でハヤカワSF文庫の棚の前に立って『2001年宇宙の旅』の文庫本を手にしている。しかも浜田課長の子どもの頃の夢は宇宙飛行士で、日本人として6人目の松本宇宙飛行士が写っているテレビニュースを感慨深げに眺めている。
 そうか、浜田課長は実はSF者やったんや! TVドラマ『明日があるさ』では浜田課長の部屋にはそれらしき様子はなかったけど、実は本棚ばっかりの部屋があってSF文庫がずらりと並んでいたのかもしれへん。もしかしたら忙しい仕事の合間をぬってSFコンベンションにも参加してたりするかもしれへん。誰か見かけた人はいてませんか。
 ところで気になったのは、あの人気コマーシャルでハヤカワSF文庫がはっきりと使われているということは、版元の早川書房にもきっとロイヤリティーが入ってるに違いないということ。コマーシャル業界のことにくわしくないんでいくらくらいのものか想像もつかへんけれどいったいなんぼ入ったんかな。
 他人の懐を気にしてても仕方ない。願わくばコマーシャルを見た人たちの中から少しでも『2001年宇宙の旅』を読んでみようかという気になる人が出てきてほしい。コマーシャルの影響は大きいからね。もしそれでSFが売れるんやったらロイヤリティーが小額でもあとに波及する効果はかなりのものになるはず。コマーシャル効果はあったのかどうか。一度「S−Fマガジン」塩澤編集長に聞いてみることにしよう。

9月29日(土)

 本日、大阪某所にて極秘プロジェクトのため編集者と密会。というわけではなく、早い話が原稿について「S−Fマガジン」編集長と打ち合わせをしただけなんですが。うっかりしてジョージアのコマーシャルについて聞くのを忘れてしもた。原稿については進展あり。なんとか極秘プロジェクトを成功させたいもんです。

 長嶋茂雄ジャイアンツ監督の辞任について書く。
 今年の長嶋監督はテレビで見ていてもなんか生気がなくもう辞めるんやろうなあと思うていたけれど、やっぱり辞めた。私はほっとしている。長嶋ファンの方には悪いけれど、善の塊みたいなイメージで語られるこの人物の陰なる部分が私は好きやなかった。正直なところ、この人がいてるだけでプロ野球はおろか日本のプロスポーツが読売新聞社の威光のもとにひれふさんならんという感じになってしまうのがたまらん嫌やった。何をやっても「長嶋さんだから」と許してしまう人が多いのには辟易した。
 江川投手がアンフェアな方法でジャイアンツに入団した時に、これに反対して辞任することなく知らぬ間にジャイアンツの江川を世間に認知させてしもうたのことに対し、江川を批判する人はいても長嶋を批判する人がいてないことが不思議やった。ジャイアンツの選手やコーチが相手を怒らせたり泣かせたりする汚いヤジを飛ばしてもそれを黙認している長嶋に対する批判がないのが悔しかった。死球に対する報復攻撃を容認している長嶋という人物の卑劣さは以前「愛すれどTigers」に書いた。長嶋なら何をしても許されるのか。南海ホークスに入団すべく学生時代から支度金を受け取っておきながら裏切ってジャイアンツに入団した行為をなぜ誰も非難しないのか。よその球団に入団が決まりかけている選手を「あの選手が欲しい」と強引に獲得し、若い選手たちを飼い殺しにして平気でいられる長嶋という監督をなぜスポーツマスコミは許しているんや。
 長嶋茂雄は前世紀の遺物である。彼が目立つことで現役選手の存在が霞むことこそ、野球人気衰退につながっていると私は思う。そやから、今回の辞任はほんまによかったと思う。なにやら長嶋をコミッショナーになんて言う人もいてるけど、この人物はプロ野球を私物化しジャイアンツの栄光を守るためになりふり構わぬ行動を取ることが目に見えている。なるなら西本幸雄さんのような人になってほしい。
 ほんまにおいしいところだけ持ってく男やで、長嶋というお人は。10月1日の甲子園のTG戦は和田選手の引退試合。ほんまやったら地味やけれどこつこつと努力してきた男に華やかなスポットが当たる日や。ところが、長嶋監督最後の試合ということで和田さんに当たるスポットよりもまぶしいライトが点灯してしもた。これはまあ偶然なんやけれど、そういう星のもとに生まれた人物としか言い様がない。
 ほんまに長嶋監督辞任は私にとってはめでたいことなんでありますよ。よかったよかった。

9月30日(日)

 雨天ではあったけど、運動会は強行されプログラムを端折って午前中に終了した。予備日に延期されたら練習時間が増えてしんどくなるから私としては今日行われたのはありがたいといえばありがたいんやけれど、雨が降ってる中をずぶ濡れになりながら演技をするのにどれだけの意味があるんやろうかなとも思う。しかもプログラムを端折ってしもうたんでこれまで練習してきたいくつかの競技は行われへんということになった。一生懸命練習してきた生徒にしたら予行のためにだけ練習したみたいで気の毒やなあとも思う。どうせならベストコンディションでやった方が運動会の意味もあると思うんやけどね。
 私はだいたい運動が苦手で小学生の頃から運動会が好きやなかった。あ、地域の町内会対抗の運動会は別ね。あれは別にベベでも馬鹿にされへんかったし種目は面白かったし景品はもらえたし、あれはどっちかというと楽しくて好きやったなあ。
 運動会なんて、スポーツが得意な子はその存在感を発揮できる場として楽しんでくれたらええんやけれど、苦手な子が嫌な思いをするような作りになってしまうことが多いのはなんでかと考えたことがある。教師になって運動会をやらせる立場になりやっとわかった。運動会の企画運営をするのはたいてい体育の先生なんやけど、体育の先生には運動が苦手な子の根本的な苦しみは理解でけへんから、そういう子が楽しめる運動会というものを作ることがでけへんのやないかと思う。以前この日記で「マスゲームは不要」と書いたことがあるけれど、マスゲームにしたって整然とした演技を求めるあたり、やっぱり運動が苦手な子には苦痛でしかないもんね。
 雨の中でしんどい思いをする運動会にええ思い出が残るかどうかははなはだ疑問。どうせやるんやったら教育的な効果が最大限にあがる形のものにせんと、学校行事として実施する意味がないように思う。今日は全国各地で運動会が予定されてたと思うけど、今日みたいに時間が進むほどに雨がきつくなるという予報が出ているのを無視するように実施したところはけっこう多かったかもしれへんね。運動会っていうのはそこまでしてやらなあかんもんなんかなあ。


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