ぼやき日記


2月1日(金)

 転居してちょうど半年がたった。
 まだ自分の家という実感が持てない時があるけど、やっとこさ慣れてきた。本を書棚におさめるだけで1ヶ月近くかかり、そのあとは仕事に追われて整理がままならない。卒業式が終わったら、なんとか余裕もできるやろうけど、疲れがどっと出るかもしれへん。まあ、あまり先のことばかり考えて悩むよりもまず今やらんならんことをきちっとやること、これに尽きるんやろうね。
 とりあえず、今は締切りを過ぎてしもうた原稿をなんとか週明けまでにしあげること。これしかない。

 「探偵ナイトスクープ!」を見ていたら、大阪の人は指をたてて鉄砲で打つまねをしたら、ちゃんと弾に当たったふりをしてくれるという調査を北野誠さんがしていた。商店街で道ゆく人やら店の人に向かって「バーン!」とやると、たいてい「うっ」と言うて胸をおさえ、苦しむまねをする。
 やるやる、やります。反射的に体が動く。私は京都生まれの京都育ちやけど、理屈ぬきでやる。ところが、いくら打っても乗ってくれへん人がいて、きいたら浜松からの旅行者やった。端から見てたらアホみたいに見えるけど、そういう遊びが骨の瑞までしみこんでいるところが関西人のええところやろうね。そういう文化やとしかいいようがない。
 関西地方以外の方、あなたは指鉄砲で打たれるまねをされたら、当たったふりをしはりますか? 北野さんには今度は東京に行ってやってほしいなあ。なにそれと、冷たい視線で見たりするんやろうなあ。

 明日は所用で更新でけへんのです。次回更新は日曜の深夜の予定です。

2月3日(日)

 なんとか座談会構成の原稿を仕上げる。初めてのことでなかなか原稿の仕上がりのイメージがわかへんかった。相撲雑誌の総括座談会を読んでなんとかイメージをつかんだ。だいたい私は原稿が仕上がった時の形を想定してからやないと書き始められへん。どうなるかさっぱり見当がつかんというままではとりかかられへんのです。参加しはった作家さんたちからクレームがつかへんかったらええんやけど。
 難航した仕事も一段落した。気持ちとしてはエアポケットというのか、あまりものを考えたくない気分。抜け殻というほどたいそうなもんやないけどね。

 洋式トイレというのはなんでああいう形をしているんやろう。男性が立ち小便するのに実に不便にできてると思う。便器をまたいで立つようにしたら小便がうまいこと便器の中央に入るんやけど、もれそうになって急いでする時なんか狙いがうまいことつけられへんで往生する。
 私の子どものころは、男性用のいわゆる〈朝顔〉と呼ばれる便器と女性用兼大便用の和式便器の2つにたいていの家で分けられていたように思う。なんでそれが男女兼用の便器一つになったんかなあ。やっぱり家が狭くなって便所にそんなにスペースをとられへんようになったからかなあ。たぶんそうなんやろうなあ。
 公衆便所に入ると立ち小便用の便器やから、やりやすくてよろしい。こと小便に関しては男性と女性では排泄の形態が違うんやから、やっぱりそれに応じた形のもんやないとやりにくいと思うぞ。家庭における洋式便所の普及は男性差別やないかと訴えるフェミニストの方はいてへんのかなあ。いてへんわなあ。洋式便所は立ち小便しにくいなんて、たぶん知らんやろうからなあ。
 頭が空っぽやとろくなネタにならんな。汚い話題ですみません。

2月4日(月)

 H2Aロケット打ち上げ成功おめでとうごさいます。とにかく失敗すると予算がどんどん削られていくという制約があるだけに、定期的に打ち上げてそれを必ず成功させんならんという条件を着実に満たさんならん。これは大変なことやと思うよ。

 海老一染太郎師匠の訃報に接する。死因は胃癌。享年70。
 染太郎師匠は実弟の染之助師匠とコンビで「太神楽」という古典的な曲芸をする芸人さんやった、なんて説明でことをすますのはいかんな。一般には正月のテレビに出てきて染之助師匠が傘をまわしてその上で升なんかを転がす横で「今日は一段とよくまわっておりますううっ!」てなことを言うてる人、というイメージなんやろうと思う。
 太神楽という芸は、一時はほんまに存続が危ぶまれていたらしい。最近は若い人が少しずついろいろな師匠のもとに弟子入りをしているようで、以前ほどの危機ではないみたい。絶対数は少ないそうやけどね。
 我々が太神楽に親しんだんは、まさに染之助染太郎というコンビが「おめでとうございまあああす!」と絶叫し続けてくれたおかげやと思う。曲芸というのはタイミングが命なんやけれど、このコンビは染太郎師匠が口上を述べることで染之助師匠がタイミングをとるという形で芸を成功させていたわけですね。おなじみの「私は頭脳労働、こちらは肉体労働」という口上も、あながちギャグやなかったのやないかな。いかにいいタイミングで弟が曲芸できるかを追求していたに違いない。
 太神楽をする人は他にもいる。そやけど、単なるにぎやかなおじさんというような扱いしかしてくれへんテレビ番組にも出演し(「お染ブラザーズ」などという失礼な呼び方をされても!)、太神楽という芸を我々に知らしめてくれた功績は大きいと思う。
 染之助師匠は、今後はピンで芸を続けていくという。確かに一人でもでけへんことはないやろう。そやけど、一人でくわえた棒の先に土瓶を立てていても、それを盛り上げてくれる口上がない。これはものすごく大きいことやと思う。
 謹んで哀悼の意を表します。

2月5日(火)

 服の流行にはうとい私ではありますが、若い人たちの間で迷彩服がはやっているくらいのことはわかる。別に好きで着ているんやからかまわんとは思うけど、着て歩くのは昼間だけにしていただきたい。
 暗くなってから原チャリを走らせていると、迷彩服を着ている人は危険でしょうがない。だいたい迷彩服というのは野戦で自分の姿が敵に発見されへんように着るもんですわな。つまり、夜になると姿が見えへんようになるんやね。昨日は細い道から迷彩服を着て自転車を二人乗りしている女の子が出てきてひやっとした。こちらはスピードを落としてたから接触するようなことはなかったけど、気がつかへんところやったぞ。歩道のない道で迷彩服を着て歩いている人なんか、正直なところ「さあ、ひき殺して下さい」とアピールしてるみたいなもんと違うかな。
 私は別にワンレンボディコンがはやろうが、ガングロ厚底がはやろうが好きにしたらええやんと思うけど、夜中に迷彩服の流行だけは困る。そんなもんのために人身事故を起こしたくない。まあたぶん彼らは服のために自分が危険にさらされているなんて考えもせんのやろうけどね。こっちは困る。迷彩服もええけど、暗くなったら白い上着を着ていただきたいと思う昨今であります。

2月6日(水)

 つい「松本零士の世界」というお菓子つきのフィギアをコンビニで買うてしまい、実は松本零士ファンでもなんでもない私は、妻がファンやったことを思い出した。箱を開けたらアルカディア号。なかなかよい造形で、妻にあげたら喜んだ。「次はメーテルね。クイーン・エメラルダスもね」とリクエストされたけど、このシリーズは外から見てもなにが入ってるかわからんので、そうかんたんにリクエストにはこたえられへん。それでもちょいとコンビニに入った時に目についたら買うことにした。そのたびに妻に渡している。私はいったいなにをやっておるのか。
 それはまあよい。今日コンビニに寄ったら、昨日まで「松本零士の世界」が置いてあった場所に「仮面ライダー1号」のシリーズが置いてあるやないか。ううむ、食玩の世界は回転が早いわい。こうなったら私も意地になる。別に自分がほしいものやないのにコンビニを見つけては寄り、探す。幸い3軒目で見つけたんでそこに残ってた2箱全部を買う。おそらく明日そこに行ったら「仮面ライダー」が置いてあるんやろう。
 バンダイあたりが出している食玩は箱の外になにが入っているか書いてあるものが多いみたいやね。種類もそれほど多くない。これは、コンビニの商品回転を計算にいれてるんやろうと思う。種類を少なくした上に箱に入っているものを明記しておくと、とりあえず全部買い集めたころにコンビニの商品の入れ替えがおこなわれて新シリーズを出荷することができる。ここらあたりは玩具メーカーらしい戦略ですな。対して、フルタあたりの製菓会社は「おまけは開けてみないとなにが入ってるかわからない」という楽しみで買わせるという旧来からの戦略をとってるみたいやね。もっとも、これは商品回転の早いコンビニでは勝負しにくい面がある。同じものを比較的長く売るスーパーマーケット向きかもしれへん。
 おおそうか。スーパマーケットか。コンビニではどんどんと「松本零士の世界」がなくなってきているから、明日はスーパーに寄ってみよう。ううむ、雛鳥にせっせと餌を運ぶ親鳥みたいに妻にせっせと食玩を買うてもって帰る私、てなとこですかな。こうなるとついムキになってしまう自分の性格を思い知らされて、ちょっと恨めしかったりもするけど。

2月7日(木)

 原チャリに乗っていて交差点で信号が赤になったんで停車しようとしたら、すぐそばで「そこで止まりなさい」という声がしたんでびっくりした。スピード違反はしてへんよなあ。ヘルメットはかぶってるし、自賠責保険にも入ってる。走っている最中やから駐車違反はしてへん。酒はのんでない。信号は守ってる。なんで止められなあかんのや。
 と、声のした方を見ると、原チャリがバックミラーの根元あたりにスピーカーをつけて停車している。声はそこからしたらしい。「信号が変わったら周囲を確認して次の信号で左折しなさい」。なんと、その原チャリの運転手は指示を受けながら走ってるんである。後ろを見ると、同じスピーカーをつけた原チャリやら中型の単車やらが続いている。謎の指示待ち集団であります。
 信号が青になった。私はわざとスタートを遅らせてその原チャリの後になるようにした。その原チャリのナンバーの下には「講習中」と書かれたプレートがついていた。なるほどねえ。自動車の路上講習やったら助手席に座れるけど、単車はそういうわけにはいかへんもんなあ。考えたなあ。ちらりと右手を見ると、自動車教習所の名前がでかでかと書かれた車が走っている。そこから単車集団の様子を見ながら指示を出してるんですな。
 そやけど待てよ。原チャリの免許は筆記だけで実技はいらんかったんと違うかったっけ。卒業式を目前にした高校生が試験を受ける前に自動車教習所に通うてるんやろうなあとは思うけど、実技講習までするんか。まあその方が免許をとった後でもめちゃくちゃな運転はせんやろうから、やらんよりやった方がええに決まってるけどね。
 それにしてもいきなりそばで「止まりなさい」といわれた時にはびっくりしたぞ。ええアイデアやとは思うけど、他にも単車に乗ってるものはいてるんやから、もう少し指示の出し方に気をくばってほしいなあ。あれでは交通機動警察の警官みたいですぞ。

2月8日(金)

 「週刊ベースボール」の選手名鑑号を買う。12球団すべての選手をじっくり見てて飽きない。特に、移籍選手がそれまで見慣れたチームとは違う帽子をかぶっている写真を見たりすると、いろいろなことを考える。
 東京から地方のチームに移った選手なんかやと「この人は一家そろって引っ越したんかなあ。それとも単身赴任なんかなあ」なんてよけいなことを心配してみたりする。自由契約になって他のチームにテスト入団した選手やと「よかったなあ、野球が続けられて」なんてひそかに応援したくなる。何チームかを渡り歩き、プロ年数は長いのに一軍通算成績はほんのわずかな選手の場合、「今度こそチームが自分に合うてたらええのにね」と呼びかけたくなる。
 同じチームに長いこといる選手は、一つの学校で長年勤務している教師を思わせる。レギュラークラスであっても、「いっぺんトレードで他のチームを経験した方がええんと違うの」なんていらんことまで考えてしまう。
 私は何年か講師でいくつかの学校を渡り歩き、1年や2年では自分のやりたいことはでけへんなあと思うた。そのあと、採用試験に合格し、今の学校では9年目になる。あんまり長いこと一つのところにいると刺激が少なくなってだれてしまいがちになる。5〜6年くらいのサイクルでいろんな学校に行くのがええかもな、なんて思う。
 トレードと人事異動を同じレベルで見るのは乱暴かもしれへんけど、同じ仕事を違う環境で続けていくという点では似たものがあるように思う。そう考えると、選手名鑑でトレードされた選手を見る目も変わってくる。異動直後は自分の居場所が見つけられへんかっても、1年たつとすっかりその学校の流儀になじんでくる。トレードでチームを移った選手も、最初は新しいチームのユニフォームが貸し衣裳みたいに見えるのに、1年プレイすると、もうずっとそのチームにいてたみたいにそのユニフォームが似合ってくる。
 今年のトレード選手ではどれだけの選手がそのチームになじんで活躍するやろうか。それもまた野球観戦の楽しみではある。ああ、早いことシーズンがはじまらへんかなあ!

2月10日(日)

 昨日、日本芸能再発見の会の例会に行くため心斎橋へ出る。買物があったんで、大丸百貨店に寄った。
 地下の食料品売り場に行く。私はコーヒーのセットを人に贈るために地下に行ったんやけど、コーヒーの売り場のすぐ横に「バレンタインデー・コーナー」ができていて、むやみに女性が集まっている。なにがリシャールですか。なにがゴディバですか。並ばんならんほどのもんなんですか。確かにそういう高級チョコレートはうまいかもしれへんけれど、並んでまでして買うもんなんですか。そこらあたりの心理は私にはわからん。相手の男がそういう高級チョコレートの味をわかるほどのチョコレート好きというならともかく、味のわからへん者にそんなん贈ってもしゃあないんとちがうん。ブランドを見て「おお、こんなに高いものを贈ってくれたか。愛を感じるなあ。えへらえへら」と鼻の下をのばす程度のものやないんか。あほくさい。
 また、そういう女性たちがつけているさまざまな香水の匂いが渾然一体となってあたりにただようておる。これがまた強烈。鼻の悪い私でもその匂いを感じて胸が悪くなる。ひとりひとりの匂いはそれほど強烈やないんやと思うけど、とにかく人数が多く、いろんな匂いがいっしょくたになってるからきついんやろう。いや、まいったまいった。結局めあてのコーヒーセットはその売り場にはなく、上の階のギフトセンターで買いましたけどね。久しぶりのひとごみでへろへろになった上に香水のカウンターパンチですわ。
 教訓。2月上旬の休日に、百貨店のの地下なんて行くもんやない。行く時はマスクをしていくべし。ほんまにすごい匂いやぞ。


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