ぼやき日記


2月11日(火)

 掲示板で心優しい林哲矢さんが私の誤りを指摘してくれはった。そうです。月の重力は地球の3分の1ではございません。うろ覚えの知識を確認もせずに書くという失敗をまたもやしてしまいました。何のことやわからん人は、過去の日記を探さんでもよろしい。そういう態度はよくない。もっと思いやりの心を持とう!

 しかしこうも毎日宮本武蔵ばかり読んでいるとええかげん飽きてきたりなんかするなあ。それでもまだまだ買い込んだ武蔵小説は大量にある。仕事やないんやからこうこだわる必要もないんやけどね。
 ところで、武蔵小説を買い集めていて、どうしても入手でけへんかった作品があった。村上元三「佐々木小次郎」と山本周五郎「よじょう」であります。手に入らんとなるとよけい欲しくなるのは悪い癖。bk1で検索したら「佐々木小次郎」は絶版。「よじょう」は『ちくま文学の森』の9巻に収録とある。なに? 『ちくま文学の森』? 私、全巻揃えてるがな。おお、買い揃えておくもんですな。これで「よじょう」は読める。なにげなく未読本を詰め込んだ書棚を見ていたら、『講談社文庫 大衆文学館』を並べたところに「佐々木小次郎」があるやないか。これも全巻買い揃えてあったからね。わざわざ探さんでも持ってたんやがな。
 つまり、私は自分の所蔵している本を把握してへんかったわけで、恥ずかしいといえば恥ずかしい。ううむ、つまりこれは徹底的に武蔵小説を読み尽くせということなんやな、きっと。今読んでいるシリーズが読めたら、久しぶりにSFを読んで、また武蔵小説に挑戦することにしよう。なに、大河ドラマも1年間続くわけやから、慌てることはないか。
 それにしても、この調子で未読本の棚を掘り出したら、忘れてた本が次々と発見されることであろう。読んでみたい本があったら、書店に行く前に自分の書棚を探した方が早いかもしれん。うーむ。

2月12日(水)

 ケーブルテレビでCS放送を見られる環境にある同僚の先生から、昨日行われたタイガースとカープの練習試合の中継を録画したビデオを借りて見る。目玉は、解説席に星野、山本両監督と田淵コーチが座ってああだこうだと解説(?)しているところ。野球解説者のキャリアの長い3人だけに、マイクを前にするとみごとに解説者になってしまうところが面白い。隣に座っていた本当の解説者のおなじみ福本豊さんも「今日はおまかせしますワ」とただの観客になってしもうている。キャンプ真っ最中の練習試合やから実現した企画とはいえ、両チームの監督の解説で野球の試合が楽しめるというのはめったにあることやない。わざわざ録画してくれはった同僚の先生に感謝! であります。
 それにしても、こうやって試合の中継を見ると、なんかもううずうずしてくるね。早う開幕せんかいなあと、待ち切れんようになる。勝っても負けても負けても負けてもタイガースの試合を見るのが三度の飯より大好きな私としては、もう辛抱たまらんという感じやね。私の頭の中には甲子園の芝生の緑やらトラッキーのバック転やら球場に響く六甲颪が浮かんで消えへん。よう考えてみたら、毎年今時分が一番楽しいなあ。もう優勝はもろうたというような気になってるもんね。いやいや、今年はシーズンに入ってもきっと楽しいに違いない。
 ビデオを見ながら、打席に入った選手のヒッティングマーチをつい口ずさんでしもうている私であります。まだ1ヶ月半もあるんか……。待たれへんわーい!

2月13日(木)

 婉曲表現で耳障りなものはいくつかあるけれど、最近とみに気になるのは「させていただく」という言い方やね。本来ならば「やったらあかんのやけど、なんとかやるお許しを得た」くらいの意味やないかと私は思うてるんやけど、どうもこの言葉、謙譲語として使いやすいらしく、自分の意志でやったことでも使われてるように思う。
 コンビニで細かいのがなくて一万円札でも出そうものなら、「大きい方からお返しさせていただきます。いち、にい、さん……」と一枚ずつ千円札を数え出す。「大きい方」はまだええ。「小さい方」もあるしね。そやけど釣り銭は元来私のもんなんやから、「本来はあなたの許しがないと返せへんお金ですけれど、そこを曲げてお返しします」みたいな言い方をされると私はむかっとくるんよ。すっと「それではお札からお返しいたしますね」と言われんか?
 「させていただく」は謙譲語かもしれへんけれど、ほんまは使う条件を選ぶ言葉やと思う。よほどの事がない限り使わん言葉と違うかなあ。少なくとも自分がやりたくてやってるのに、あるいは当然の事をやってるのに「させていただく」というのを使うのは、相手に対して失礼やないかと思うんやけど。
 と書きつつも、最近は自分でも無意識のうちに「させていただく」を使うたりして、はっと気がついて自己嫌悪に陥ることもあるんやな、これが。こうやって、自分の言葉も破壊されていくんやねえ。それが一番嫌やなあ。

2月14日(金)

 今日は、私が顧問をしている演劇部の卒業公演。SF仕立てでモノローグの多い難しい劇やったけど、3年生が熱演し、有終の美を飾る。今回も私はノータッチで生徒だけで作り上げた劇。それだけに生徒たちの力というものがそのまま出る。素晴らしい生徒たちやと心から思う。

 さらに今日はバレンタインデー。妻からもらった包みをあけると、不二家の「チョコレートえんぴつ」が! 確か私の子どもの頃は「ペンシルチョコレート」というていたような記憶があるけど、いやもうこれがめちゃくちゃに嬉しかった。
 なんでかというと、「ペンシルチョコレート」は、子どもの頃は高嶺の花やったから。10円の「チロルチョコレート」はよう買うてもろうたけれど、「ペンシルチョコレート」やとか「パラソルチョコレート」はお正月やとか特別な時しか食べたことがなかったと記憶している。今はかなり安いらしいけれど、きっと30年以上前はかなり高価なお菓子やったんやろうなあ。ああ、その憧れのチョコレートが今私の手に!
 いやこれ、冗談やないよ。私も妻もそれほど経済的に恵まれた環境で育ってへんからね。それだけに、こういうお菓子に対する憧れは強かった。そらまあ今やったらゴディバのチョコレートみたいに「なんでチョコレートにここまで金を払うか」というような価格がついてるものもある。そんなもん、存在することすら知らなんだ私にとっては、「ペンシルチョコレート」や「パラソルチョコレート」の方が、今でも高価に思えてしまうのです。
 それにしても、今時分「チョコレートえんぴつ」でここまで随喜の涙を流す私も私ではあるが。ここらあたりのツボをみごとについてくる妻はすごいなあ。同じ価値観をもつパートナーと結ばれるということがいかに大切かと、これはのろけやなくほんまにそう思う。

2月16日(日)

 昨日は「日本芸能再発見の会」の例会。会報に例会レポートを書くことになった。ギャラなしではあるけれど、会の存続のためにやってほしいと言われたら、こちらも喜んでお手伝いする気になる。例会のあと、恒例の二次会で飲んで帰って、いい気持ちで家路に向かう。最寄り駅前から家につくまでの路上で、女性が「やめてー、やめて、言うてるやろ」と大声を出している。おっさんが「やかましい」といいながら女性をつかまえてタクシーに乗せようとする。いったい何が起こってるんか。さわらぬ神に祟りなしと知らん顔して通り過ぎようとしたら、おっさんに怒鳴られた。「見せもんとちゃうどー!」。見てへんがな。見られたなかったらでかい声を出さんかったらええねん。さて、あれは合意の上でのやりとりやったのかどうか。いまだ気になる。

 今日は「たちよみの会」。例会には湯川光之さんが参加。水鏡子さんも面白かったと言うてはったといういわゆる「18禁ゲーム」を教えてもらう。「ハローワールド」とかいうので、貸してくれるとの申し出やったけど、どうせやったら自分で買うからとお断りしたけど、例会が終わったあとで梅田の「ヨドバシカメラ」に寄って探してみたけど、ありませんでした。あったら妻といっしょにわあわあ言いながらやってみようと思うたんやけどなあ。「amazon.co.jp」で買えるらしいけど……。
 他の話題にしまょう。今月号の「本の雑誌」にはさみこまれていた読者用の葉書に、「今まで読んだ本で、このひと言にしびれた!というセリフとその理由を具体的に書いて下さい」と書かれていて、ぱっと浮かんだのが「のろいはのろい」……。うむ、これはネタバレになるからいかんなあ。次に浮かんだのが「警告あります」……。いやそのあかん。ええと「ヘアッ!」……。家に帰ってから何か違う言葉をと考えてみたけど、「ひとぶた!」……。私の頭の中を毒電波がくじっているんや。きっとそうに違いない。ええとええと「びっくりくりくりくりーん!」……。もう考えるのはやめとこう。

2月17日(月)

 今日から入試の願書受付が始まり、私も受付の席につく。中学生たちが緊張の面もちで願書を提出する様子を見て、この生徒たちのうち何人かは私が授業で受け持つことになり、1年後には我が物顔で構内を闊歩していたりするのかと思うと、なんか楽しくなる。
 入試の出願で思い出すのは、15年も前、私が学習塾に勤務していた頃の事。塾の生徒でボーダーライン上にいてどの学校に出願するかまだ決まっていない者のために、高校の校門の前に立って学校から出てきた中学生に「受験番号何番ですか?」ときいたりした。出願者が多いか少ないかを受験番号から割り出すわけですな。今みたいに携帯電話なんて便利なもんはない。10分おきに公衆電話に走り、本部に受験番号を知らせる。本部はそこから競争率を割り出し、家で待機している生徒にどちらの学校に出願すべきかを教えるわけです。とにかく生徒を合格させることが大切やからね。
 親子連れに声をかけたら、「私は塾が大嫌いなんじゃ!」と理不尽にも怒鳴られたことがいまだに思い出される。そんなん知らんがな。私かて好きでやってんねんやないがな。これも給料のうちと思うてやってるんやがな。難儀ななあ。
 まさか15年後に出願を受け付ける側にまわっているとは思いもよらなんだな、あの頃は。その塾を退職するつもりもなかったし、公立高校の教師になるという夢はあきらめてたもんな。さて、今でも塾ではかつて私がやったようなことをしてるんかなあ。出願の最終日、校門から出て様子を見てやろうか、なんて思うたりしている。もっとも、情報化が進んでる上に少子化で競争率も昔ほど激しくないから、そこまではしてへんかもしれへんけどね。

2月18日(火)

 「謎の円盤UFO」、「キャプテンスカーレット」などの食玩を連発しているコナミが、今度は「懐かしのSFビークル」と称して「スペース1999」「スーパーカー」「スティングレイ」「ジョー90」に登場する乗り物のフィギィアを発売しているのを本日発見。とうとうここまできたかコナミ。さすがに「スーパーカー」と「スティングレイ」は私も見たことないぞ。ターゲットは40代を通り越して50代か? もう行き着くところまで行ったという感じがするなあ。となると、今度は「スーパージャイアンツ」「七色仮面」「豹の眼」「快傑ハリマオ」というあたりが狙い目かもしれんぞ。あるいは「新八犬伝」「真田十勇士」のジュサブロー・フィギィアやとか。これはよほどできがよくないと辻村御大からの許可はおりんやろうとは思うが。
 もちろん、冬樹蛉さんの携帯にメールを送ったのはいうまでもない。「UFO」と「スカーレット」では先を越されたが、今回はどうかな。お、返事がきた。驚いたはるぞ。勝った! この前みつけた「レイ・ハリーハウゼン・コレクション」に続き、2連勝や。通算3勝2敗……。この勝敗に何か意味はあるのか? 実はあるのです。わかりませんか。とうとう40才になったおっさんにしかわからん深い意味があるのです。あまりに深すぎて底は真っ暗で見えんくらい深いのです。
 というわけで、次にコナミがどうでるか、刮目して待ちたい。

2月19日(水)

 実はとても嬉しい事があってほんまに嬉しいんやけれど、本決まりやないからまだ公表でけへん。でも、ちょっと書いておくと、私がかつて雑誌に書いたお話が本になるかもしれへんのであります。ただし、単独で出版されるわけやなく、アンソロジーみたいな形での出版形態ではあるけれど。それでも、雑誌という1ヶ月したら書店の店頭から消えるものやなく、書籍というずっと残るかたちで出版されるのが何よりも嬉しい。より多くの子どもたちに私の書いたものを楽しんでもらえるのが嬉しい。なによりも、埋もれかけていたものを担当の編集者の方が見過ごさずにいてくれたのが嬉しい。収録の許可を求めるメールを読んだ時、私はもう胸がいっぱいになって泣きそうになった。この企画はぜひ通ってほしい。それと、これをきっかけにしてまた新しい作品を書く意欲をかきたてられたのは、自分にとっても大きいことやろう。企画が本決まりになったら、またここでくわしく告知しますが、この企画は是が非でも通ってほしい。
 書くぞ。今度こそ書き続けるぞ。

2月20日(木)

 プロ野球千葉ロッテマリーンズのローズ内野手が退団を発表した。ローズというと、横浜ベイスターズ優勝のときには主軸打者としてマシンガン打線の中核となった超優良外国人選手。契約がこじれてベイスターズを退団したあとは、米球界には復帰せず、引退という格好になっていた。スポーツ新聞が「タイガース、ローズ獲得へ」と大見出しをつけて報道した時は、ほんまに大丈夫なんかいなと思うた。トレーニングはしていると本人の談話も載っていたりしたけど、実戦を2年も離れたら、使いものにならんのと違うかと感じたものです。幸い、タイガースはそういう無謀なことはしなかったからよかったけど。最終的にはマリーンズに入団し、キャンプの途中で不調を訴えてリタイア、そのまま退団となった。こんなことやったらマリーンズもボーリックを残しといたらよかったね。
 実戦を離れていても、経験があるから大丈夫とふんだんやろうけれど、プロの世界はそうは甘いことない。これはもう文章の世界でもそうで、お金をいただく原稿を書き続けることによって、錆つかずにすむ。緊張感が違う。毎日こうやって何かしら書いていても、お金をいただくわけでない文章を書き散らしているだけではあかんのです。「作家になりたい」という若い人にもし私がアドバイスできるとしたら、「あきらめず書き続けることです」と答えるやろう。こと創作の分野では、私は常に書き続けるということがでけへんかったから、若くからチャンスをもろうたのに結局本当の意味でのプロにはなれてへんもんね(現時点ではね)。
 プロの世界での、ブランクをおいてのカムバックの難しさをローズは教えてくれたね。どんなに実績を積み、経験を蓄えても、一度切れてしもうたものを再びつなげるのは、ほんまに難しい。


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