ぼやき日記


2月1日(日)

 大阪府知事選の速報を見るためにテレビをつける。「窓口調査では太田房江さんが60%を超える支持を集めています」とやったあと、21時になって開票が始まると、いきなり「太田さんが当選確実です」とアナウンサーはいう。こんなん、開票速報と違うやんか。出口調査速報やん。選挙管理委員会で投票箱を開け、さあこれから集計という段階でもう当選確実というのは、なんやしらん詐欺みたい。それやったら選挙なんかせんでも世論調査で知事を決めたらよろしい。わざわざ投票所に足を運んで損したような気分やわい。ここまで露骨にやられるとはっきりしていてええかもしれんけど。

 さて、毎週恒例の「鉄腕アトム」です。今週は42話「鋼鉄島の戦い」。宇宙でこき使われようとしていたAIロボットたちを救ったのは青騎士。彼は「鋼鉄島」と呼ばれる人工島に隠れ家を持っていた。アトムを「ロボットの王」にしようともくろむ天馬博士は、反ロボット主義者のランプに鋼鉄島を襲わせる。いくらランプがロボット会社の社長やったからというて、天馬に「青騎士の隠れ家はここだ」と教えられてすぐにあれだけ大量のロボットやら戦艦やらを用意できるもんですかの。燃料代も人件費もバカにならんやろ。
 物語は、アトムがランプを倒そうとし、人間を殺すことへの葛藤に苦しみ、最終的にはランプの命を救うという、予想通りの展開を見せる。実は、原作ではアトムが人間を倒せないのは「ロボット法」という法律の縛りがあるからなんやけれど、今回のアニメではそこらあたりがすっぽりと抜けている。むろんアシモフの「ロボット三原則」も出てはこない。そやからアトムがなんで人間を殺されへんのかは、ひとえにお茶の水博士の倫理観によっている。そこらへんの設定の弱さが今週ははっきりと出たと思う。

2月2日(月)

 こちらの日記で書いた「教科書ガイド」の呼び方ですが、新しい投稿もないのでここらでいったんおしまいにしときます。京都の「サボ」、岐阜の「ちゃんぺら」、明石などの「赤本」、大阪の「トラ(虎の巻)」、それ以外では「ガイド」が使われたというのが確認できました。残念ながら「アンチョコ」使用例の証言はありませんでした。「アンチョコ」はほんまに使われているんやろうか。また大学入試過去問題集の「傾向と対策」は「赤本」の他に「ケコタイ」の使用例を確認できました。日本は広い。こんな最近のものでさえ、地域によって呼び方が変わる。その違いを見つけるのが楽しいですね。

 プロ野球キャンプインと同時に、大阪近鉄バファローズから衝撃的な発表がされた。累積する赤字を解消するため、スポンサーを探し、チーム名をそのスポンサーにするという。つまりずぼらやがスポンサーになったら「ずぼらやバファローズ」、くいだおれがスポンサーになったら「くいだおれバファローズ」、かに道楽がスポンサーになったら「かに道楽バファローズ」、551蓬莱がスポンサーになったら……もうよろしいか。
 それでいて球団経営は従来の通り近鉄が行うという。そんな虫のいい条件でスポンサーになってくれるところがあるんかいな。例によってナベツネ氏は反対の意見をいち早く表明している。赤字球団の苦肉の策を非難するんやったら、セ・パ交流試合をさせたらええのにと思うけどね。自分とこは金と権力にあかしてよその4番打者をかき集め、金のないチームが必死で窮状を脱出しようとしたら反対するというのでは筋が通らんと思うけどなあ。
 それはともかく、近鉄球団のこのアイデアは、自滅を予感させる。これに近いことをした球団が過去にあったからね。1972年のオフ、西鉄ライオンズが球団経営を福岡野球株式会社に譲渡した。オーナーは東京オリオンズが経営不審に陥った時にロッテ製菓をスポンサーにした実績を持つ中村長芳。オリオンズはロッテに完全に譲り渡し、新会社を立ち上げたわけです。そして、太平洋クラブというスポンサーを見つけ、チーム名も太平洋クラブライオンズとした。太平洋クラブは数年でスポンサーから降り、中村オーナーは新スポンサーのクラウンライターを探し出す。チーム名はクラウンライターライオンズに。ライオンズファンはたびたび変わるチーム名と不振を続けるチームに愛想をつかした。中村オーナーは結局ライオンズを手放した。チームを買うたのは西武。球団は所沢に移転し、以後、ホークスがダイエーに買収されるまで九州からプロ野球のチームは消えた。
 歴史は繰り返すというけれど、バファローズも5年ごとにチーム名が変わったらファンも愛着をなくし結局は大阪からプロ野球のチームがなくなるということにもなりかねん。せめてチーム名を「大阪バファローズ」にして経営母体が変わってもチームそのものは同じ形で残るという「横浜ベイスターズ」方式をとられへんものか。
 スポンサーが見つからなんだら近鉄はチームを売却するという。そうなったら、パ・リーグはリーグ創設以来親会社の変わらないチームを失ってしまう。このままなし崩し的に1リーグになって日本シリーズもオールスターもペナントレースと顔ぶれが変わらんというようなつまらんものになってしまうのか。まんまとナベツネ氏の筋書き通りにことが運ぶのか。
 新コミッショナーに内定している根来氏は、このアイデアに対してどのように臨むのか。川島コミッショナーのように傍観者で終ってほしくはないね。
 もっとも、大阪名物の会社が1年ごとに回り持ちでスポンサーになったりしたらそれはそれでおもろいかもしれん。「千林商店街バファローズ」が日本シリーズでジャイアンツを倒したらきっと胸がすっとするやろうな。

2月3日(火)

 今日は節分、明日から春。食べる豆の数を勘定する。これは数え年の分だけ食べるわけで、私は今年は後厄やから43個もある。いや、大豆は好きなんでビデオでアニメを見ながらぽりぽりとつまんでいたらあっという間になくなった。それはまあよろしい。
 確か実家では、数え年に2つ加えた数の豆を食べていたんやけれど、妻の方ではそうした風習はなかったみたい。家によっては満年齢の数だけ豆を食べるところもあるやろう。こういうものは縁起物やねんから、あまり細かいことをごちゃごちゃいうこともあるまい。しきたりにうるさい旧家というわけでもないしね。
 巻寿司は食べたけれど、別に東北東を向いて丸かぶりはせず。諸般の事情でたまたま夕食が寿司になったというだけで、それも節分やなかったら太巻きではなく助六になってたかもしれんという程度のものですからね。これも幼少からそういう風習があったわけやないから、とりたてていうほどのことはなし。縁起なんかかつぎたい人はかついだらええだけのこと。ただ、自分が幼いころからやっている風習は、できたら途切れさせたくないなあとは思うている。信じる信じないに関わらず、風習というものは一度途切れてしまうとそこで消えてしまうもんやからね。自分がやめたからどうなるというものでもないけれど、せっかく残っているものをわざわざなくすのは、文化を滅ぼすということに結びつくような気がする。そう思うとあまり気分のええもんやない。それくらいのこだわりは、私のような者にもあるわけですね。
 そういう意味では有名な神社が有名タレントやスポーツ選手に豆をまかせるのに、殻つきの南京豆を使うというのはやめてほしいなあ。南京豆では鬼は嫌がらんでしょうが。なんで大豆をまく風習になったか、それには何か意味があるはずで、豆やったら何でもええというわけやなかろう。それこそ文化の破壊でありますぞ。

2月4日(水)

 「週刊ベースボール」別冊の「Mr.タイガースたちの声を聞け!」という本を買う。かつて誌上に掲載されたタイガースの選手や監督の対談を再録したもの。1960年の小山正明投手へのインタビュー、1961年の村山実投手と南海ホークス杉浦忠投手の対談、1962年の藤本定義監督へのインタビュー、1962年の吉田義男内野手へのインタビューなど、球史に残るそうそうたるメンバーがずらりと並んでいる。当時の野球事情や世相などもかいま見える貴重なものばかり。優勝翌年のキャンプインに合わせ、タイガースファンの余熱覚めやらぬうちにと企画されたもんやろうと思うけれど、これはタイガースファンだけのものやないと思うた。
 やっぱり「週刊ベースボール」は長いこと続けてるだけあって、こういった企画をやらせると宝物がたっぷりと出てくるねえ。ただ、こういうものは普通に出したんでは売れへんのかもな。タイガースファンはええお客やねんやろうね。同じような企画のものを出しても、ジャイアンツファンは買わんのかしらん。
 読んでいて思う。これは凄い宝やないか。これだけ抽出したものでもかなりの読みごたえがある。球界全体に視野を広げたら、もっとすごいインタビューや対談、座談会がたっぷりと残っているはず。こうなったら、「ベースボール叢書」みたいなシリーズを発刊してもらい、過去のインタビュー記事を集大成したものを全10巻くらいで出してほしい。膨大な宝物を死蔵させておく手はないと思う。
 こんな日記で書くだけやなく、編集部にアクションを起こした方がええかもね。そうしたいと思わせるような別冊企画やった。うん、もっとこういう企画はあってええと思うぞ。

2月5日(木)

 今日は大阪市内でも昼ごろ雪がちらつく寒い一日。背筋にはりつけたカイロもあまりききめがない。幾分ましではあったかもしれんが。明日も寒いそうな。明日は生徒の実習の付き添いで外へ出んならん。考えただけで寒いのう。

 妻が自分の身分を証明するために、口頭で自宅の住所と電話番号を言わんならんという場面があり、緊張して電話番号をとちってしもうたそうです。というよりも、いまだに語呂合わせで覚えた番号を頭の中で変換せんと正確な数字に直らんのですね。私もそう。
 なんでかというと、昔と違うて自宅に電話をかける時はたいてい携帯電話であり、番号は電話に登録してあるから自分で覚えておく必要がない。携帯電話のない時代は公衆電話からかけたわけやから、電話をかけるたびにその番号を確認できた。今はその必要がないからね。便利になっている反面、人間がアホになっていってるような気がしてきて笑えん。
 漢字を書く場面でもそうで、ワープロ、そしてパソコンを使用していると、漢字は読めさえしたらあとは電子辞書が自動的に変換してくれる。最近のパソコンの辞書は同音異義語がある場合はその意味もちゃんと示してくれたりするからね。わざわざ字引きをひもとく必要すらない。その分、漢字を自筆で書く時にすんなりと出てこなくなっている。頭の中の回路がそうなってるわけですな。
 そういう意味ではパソコンの辞書は多少アホなくらいがええかもしれん。私の使用しているMacに搭載されている「ことえり」という辞書はほんまに学習機能のないアホタレやけれど、おかげで自分で辞書をひいて確認するという作業をする必要性に迫られたりもする。もしかしたら、「ことえり」はユーザーの思考力を低下させへんすぐれものなんかもしれんな。

2月6日(金)

 やっぱり大阪近鉄バファローズの名義貸しは連盟によって退けられてしもうたね。野茂を大リーグにさらわれた時も、中村のFA騒動の時もそうやったけれど、バファローズのフロントの手際の悪さはどうにかならんかと思うね。野球に関しては素人やからというようなレベルの問題やないような気がする。例えばオリックスブルーウェーブの場合やと、イチローの時も長谷川の時も実にスマートに解決していた。手際が悪いと感じたのは石毛監督解任の時くらいか。
 これは、どうもビジネスセンスの問題やないかと思う。オリックスの宮内オーナーは総合商社の出身で、そこらあたりはイメージダウンにならんように気をつけているのかとも思う。もっとも、契約金なしの新人を大量に採用し実績がないとすぐに退団という大リーグ的なシステムをとりいれたはいいけれど、底辺の狭い日本球界では失敗しているあたり、ブルーウェーブの球団経営はセンスは先端をいっていても必ずしも成功しているわけではないみたいやけど。
 話をバファローズに戻すと、球団の本拠地を大阪ドームに移した時点で経営悪化は見えていたんやないかな。タイガースの場合は人気球団というだけやなく、球場は自前で経営しているしそこに行くまでの足も阪神電鉄の独占やから、球団を持っている意味はある。これはライオンズも同じ。ところが、バファローズは本拠地の球場は間借りでそこまでの足は大阪市営地下鉄。なんぼお客が入っても、それが収益に跳ね返ってこない。NHKのニュースで企業名を連呼してもろうていても、近鉄が走ってへん地方には宣伝にもならん。
 鉄道会社がプロのスポーツチームを持つ意味というのが、今回の一件で問い直されるということになるのかもしれんね。南海と阪急がチームを手放した時に、その意味はもうはっきりしてたように思えたんやけれど、近鉄には理解でけてへんだということなんかな。となると、やっぱり経営センスの問題か。

2月7日(土)

 今日は久しぶりに実家に帰る。母とゆっくり話をする。母が言うには「あんたみたいな子と結婚してくれる相手がいてくれてほんまによかったねえ」。私が結婚できるなどとは予想もしてへんかったということがわかった。親というのはシビアなもんですな。私と結婚してくれたというだけで妻には感謝せんならんということです。思わず納得して大きくうなずいてしもうた私も私ですが。

2月8日(日)

 今週の「鉄腕アトム」は第43話「人間に憧れたロボット」。人間そっくりに作られ、潜入捜査を任務とするロボットたちがいる。その一人であるクラウスはある歌姫の歌う歌曲を好きになり、人間と同様に芸術を理解するところまで発達したロボットであるが、それを好まない上司のタッカー刑事は、クラウスの記憶をリニューアルすることに決める。一度はそれを受け入れたクラウスだが、歌姫のコンサートを聴きにいきたいという理由から、自ら人間の監視下を離れて自立しようとする。捜査に協力するアトムだが、ロボットが芸術を理解することを認めたくないタッカーは捜査の管轄がタワシ警部に移されたにもかかわらず独自の捜査でクラウスを破壊しようとする。
 「心」を持つロボットに対する定義が根本的にできていないという設定上の欠点がありながら、それをなんとかクリアして「芸術を理解する」というポイントを作ったシナリオ(太田愛)は、よくやったと言いたい。太田愛というシナリオライターが担当する回は、大きなところで「そらないやろう」とツッコマせない。いい仕事してますねえ。
 細かなツッコミどころがないわけではない。特にカッターという人物の「心」を持つロボットへのここまでの憎悪は理解し難いものがある。アトムやロボット捜査官のデルタまで破壊しようとするのだが、それが露見した時に自分が失職することは火を見るよりもあきらかやのに、そこまでしてクラウスを破壊しようとしたのはなんでか。その理由がわかると、物語にさらに奥行きが出たのに。その理由をクラウスやアトムが推測する場面があるのだが、全てセリフで説明してしまうのが苦しいところやね。ただ、いろいろな制約がありそうやから、この番組でこれ以上のことを求めるのは酷かもしれん。
 ひさしぶりに私としては得心の行く回やった。最初からこのレベルを維持してくれていたら、日記でここまでぼやかんでもすんだんですわ。

2月9日(月)

 昨日の日記で、私はシナリオライターの名前を間違えて書いてしまいました。掲示板で冬樹蛉さんのご指摘を受け、初めて気がついた次第。面目ない。訂正しておきました。そうです、小林愛ではなく太田愛です。なんで間違うたんやろう。わかっているのに間違うということもあるのです。アホです。すんません。

 同僚の先生から、「ある生徒が落語に関心を持ってるから、話を聞いてやってほしい」と言われる。もちろん喜んで会う。落語ファンが一人でも増えてくれたらこんなに嬉しいことはない。
 なんでも大阪府下の文化系のクラブが集まって発表会をする「芸文祭」というので、他の学校の生徒が落語をしているのをきいて、自分も覚えたくなったという。今年の鑑賞会は文枝師匠の落語やったから、そこでまかれた種が、同じ年頃の生徒の演じている姿によって発芽したということになるかな。
 覚えたい、ということは教えてほしい、ということですが、私も自分でできる落語は限られているし時間もない。MDを持ってきたら、私の持ってるCDからダビングしてあげることにする。「どんな噺がいい?」ときいてみたけれど、実は彼は関心があるけれどそれほど落語を知っているわけやなかったのでした。「寿限無とか……」。まあ、「寿限無」はNHKの「日本語であそぼ」でとりあげられたりしてるポピュラーなもんやから、入門にはよいかもしれん。ただ、米朝全集には入ってへん。音は悪いけれど当代の春團治師匠の録音を持ってるから、それをダビングすることにした。他の演目は知らんみたいなんで、前座噺をいくつかダビングしよう。ここらあたりの選択を誤ると、せっかく興味を持ってくれたのに台なしになる危険性がある。「覚えたい」ということであるから、大ネタは避けたいところやね。で、春團治の「子ほめ」と米朝の「つる」を録音する。むろん、ちゃんと覚えて演じようと思うと難しい。そやけど、ネタは落語の基本型をかっちりとおさえたものやと思うから、ここらあたりが順当か。
 今後、彼がほんまに興味をもって落語を聞いてくれるんやったら、なんぼでも協力したい。和ものに興味のある生徒らしく、部活動は「和太鼓部」。こういう若者は大事にしたいもんです。

2月10日(火)

 風邪ひきなんかわからんが、体調が悪い。明日は出かける予定がなくはなかったけど、大事をとって1日ゆっくりしようと思う。

 最近買うたDVD「ローマの休日」を妻とちょっぴり見る。オードリ・ヘップバーンはやっぱりよいねえ。古きよき時代という言葉はあるけれど、演出も間があって、小味な小品なのに、味わい深い。わざわざ日本語吹き替え版で見る。ヘップバーンを池田昌子、グレゴリー・ペックを城達也があてている。城達也の声がいいなあ。夜のとばりが静かに降りる時、何気なく見上げた空の星があなたにささやきかけてきます……ジェット・ストリーム。あ、若い人にはわからんか。顔と声が合うてへんけどね。往年の声優さんによる決定版的な吹き替えを使用してるところが憎いDVDではある。
 私は「モンティ・パイソン」はDVDでは買いませんよ。日本語版の吹き替えが入ってへんのやからね。広川太一郎、青野武、納谷吾郎……あの声やないと「モンティ・パイソン」を見た気がせんのよ。字幕ではあんたなんだあの名調子は再現できないんだってばさってばさ、なんて言ってみたりしてみたり。これも若い人には何のことかわかりませんか。20世紀がだんだん遠くなっていく。
 疲れてるんで、ぼちぼち風呂に入って寝ますわ。


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