ぼやき日記


2月21日(月)

 今日はとても寒かった。明日も寒いらしい。寒いのはかなわん。この日記を書いたら風呂に入ってぬくもろう。

 夕食時、昨日録画した「R−1グランプリ」を見る。新聞で結果は知っていたんやけれど、優勝したほっしゃん。は、ネタもしゃべりの間もよかった。納得できる優勝ですね。かつて漫才をしていた芸歴15年の経験が生きているというところやろう。一人でしゃべっていても、相方としゃべってたという経験のおかげか、見えない相手との会話が、あるいは客に聞かせる間合いがみごとにとれている。実は漫才「チュッパチャプス」時代は印象に残ってへんのです。漫才としてはそんなにうまいと思うたことがないのにね。コンビ別れをして初めて「間」をつかんだんやろうか。
 残念ながら4位に終った友近は、おそらくイッセー尾形的な方向にいくのやないかという気がした。笑いの質が他の芸人さんとは違うんやなあ。独自の観察眼と表現力、そしてネタの裏に隠された皮肉な視点。くすぐりみたいなものだけでげらげら笑うている若い客には理解でけなんだやろう。客を選ぶ芸なんやな。それだけに大衆芸としては評価が落ちるかもしれんが、自分だけのライブやったら質の高い客を堪能させるだけの芸がある。「R−1グランプリ」という新人コンテストからはもうとっくに卒業してもええのやないか。
 ところで、司会をしていた漫才コンビの雨上がり決死隊は、審査員のふった言葉もよう受け止められなんで、実に見苦しかった。しかも昔からの仲間であるほっしゃん。に対して司会の立場を忘れて友だちに話しかけるような接し方をしていたのもようない。司会とは何かを理解しとらん。若手芸人が切磋琢磨する場にふさわしいとは思われん人選やないか。こういう番組の司会はほんまに難しいと思う。実に残念。

2月22日(火)

 今日、今年度最後の授業があった。明日からは勤務校は入試、それが終ると在学生の期末考査。試験監督と採点に追われる日々が続くことになる。1年間なんとか続けた授業が終ったからというてほっとはしとられんのですね。春休みになるまでは落ち着かんね。

 今日の朝日新聞夕刊の「四つ葉のエッセイ」というページで姫野カオルコさんが「無差別殺人」という言葉に意義申し立てをしていて、思わず納得。「無差別殺人」をやらかした犯人は、殺傷する対象にボブ・サップみたいないかにも強そうな相手は選ばんし、乱入するのも学校が主で暴力団の事務所には間違うても乱入せん。つまり、自分よりも弱い者を選んで殺傷事件におよんでいる。これははっきりと弱者を差別しているやないかというのが、その主旨。論調はさらに加害者への怒りへと進む。
 納得したと同時に、言葉の持つ力というものを実感させられた。特定の個人を狙ったわけやない殺人に対して「無差別殺人」という言葉が定着したと同時に、加害者には「誰でもいいから殺す者」という性質が与えられてしもうたことになる。そして、それを受け入れた私は何の疑念も持たずに加害者が「無差別」に殺人を実行したと思う。ほんまはそうやないのに。
 しかも、例えば「オレオレ詐欺」という用語が警察の要望で「振り込め詐欺」なる珍妙な日本語になったのに対して、報道機関はあっさりとそれに従うという気持ち悪ささえある。私は正しくは「振り込ませ詐欺」やないかと思うんやけれど。言いにくうても、「振り込め詐欺」なんていう文法的に不自然な気持ち悪い言葉を使うよりはええと思うんやけど。実は、「オレオレ詐欺」とは違う伝統的な(?)詐欺でも金を口座に振り子まさせたりはするやろうから、この言葉かて一連の詐欺を正確にあらわしてるとはいわれんよな。「緊急事態詐欺」あたりの方が詐欺そのものの手法を説明していると思うけど、語感としてはもうひとつ。「オレオレ詐欺」はインパクトもあるし詐欺の手法を端的にあらわしてるから、無理に変えんでもよかったんと違うかな。
 話はそれたけど、こういう用語が定着すると、犯罪そのものの概念まで誤って定着してしまう。それを姫野さんのエッセイは教えてくれた。当たり前のことに気がつくことの難しさもともに。

2月23日(水)

 今日から大阪府の公立高校は前期入試。私の勤務する高校でも入試が行われた。転勤して以来3回目やけれども、独特の緊張感があり、疲れた。去年も同じことを書いたけど、どの高校に入学するかは人生における大きな分岐点だけに、こちらもそれだけの重みを感じながら対応しなければならん。今年もやっぱりへろへろになる。
 今年もばてばてで帰ってから本も読まれん。といいつつ、昨晩録画したアニメ「ファンタジック・チルドレン」は見たけどね。そうかて、大詰めで目の離されん展開やねんもん。まあ、このアニメに関しては完結してから感想を書きます。
 今日はこれでかんにんしてね。もうよう書かん。風呂に入って屁ぇこいて寝よ。

2月24日(木)

 今日も入試。今年も面接官を担当したけど、受験生も緊張するか知らんが、私もやっぱりかなり緊張したぞ。集団面接で、次々と入ってくる中学生相手に決まった質問を繰り返していく。今年は担当する生徒が少なく13人ですんだ。午後からは採点。今年もやっぱり疲れた。

 妻から聞いた「オレオレ詐欺」(「振り込め詐欺」なんちゅう言葉は使いたくないのです)の話。携帯電話に自宅から電話がかかってきて、家族を危機にさらしているようなおどしをかけて金を振り込ませるという手口が出てきてるそうな。携帯電話の番号も自宅の電話番号も知られてるという怖さもあるし、ほんまにそういう電話がかかってきたらどうしたらええのか。やはり警察に連絡すべきかもな、こういう場合は。
 マンションに押し入る強盗がドアを開かせる常套手段に宅配便の配達員を装うという手があるけれど、新手では「下の階の者です」というて開けさせるらしい。もしかしたら下の階に迷惑をかけてるかもしれんという心理をついている。これを防ぐには、下の階の人と常にコミュニケーションをとるしかないな。顔見知りやったらだまされんわけやしね。
 それにしても、人が人を信じられんということほど社会生活上で嫌なことはないな。社会というのは相互信頼という原則のもとに成立している部分はあるわけで、その合意がなかったら買い物一つでけんことになる。
 ともかく自己防衛はしとかなならんので、こういう話は少しでも広めておいた方がいいと思い、書いておく。みなさん気をつけましょう。もっとも、私の日記こそ信頼がおけんといわれてしもうたら、こんな情報もムダになってしまうことになる。ああもう、嫌な世の中じゃ。

2月25日(金)

 仕事帰りに書店に寄って「手塚治虫マガジン」を手にとる。表紙に「唐突ですが最終号です」とあって驚くと同時に納得できるものも感じた。編集後記には「出版不況のため」と書かれていたから、要するに売れなんだということですわな。そやけど、売れなんだ理由を出版不況のせいにしてしまうのもどうかなあ。
 私は手塚全集版ではどうしても絵が小さくて見にくくなるから「手塚治虫マガジン」は買うていたけれど、例えば特集にしても、永井豪さんが書くところの「魔人王ガロン」にしても、なにか中途半端なものを感じてはいた。手塚治虫のマニアックなファンを対象にしているのでもなく、さりとて手塚漫画の魅力を徹底的にふだん手塚漫画を読まへん層に知らしめようという気概も見えてこない。
 コミックスで入手できる手塚作品の有名どころを散発的に並べただけでは、コンビニで発売されている雑誌風単行本には勝たれへんやろう。ましてや版元は「ベストセラーズ」という漫画とはあまり縁のない出版社やから、ノウハウも不足してたんやないかと思う。ある意味、漫画の出版というものに対する姿勢に甘さがあったんやなかろうか。
 創刊号が発売された2年前は、テレビで「鉄腕アトム」のリメイクが始まるというのでその人気をあてこんだという印象があった。そのあと、「火の鳥」、「ブラック・ジャック」と手塚作品のアニメ化はほとんど途切れることがなかったわけやから、手塚作品では商売にならんという状況になったわけでもない。実際、アニメの放送に便乗して「火の鳥」やら「ブラック・ジャック」を掲載してもいる。
 そやけど、ただ掲載しただけでは単行本には勝たれへん。たとえば全集未収録の「学童社・漫画少年版・火の鳥黎明編」を掲載したりすれば、コンビニ単行本との差別化を図ることもできたやろう。
 つまりは、漫画市場というものに対する認識をどれだけ編集部がしっかりと持っていたかということやないかと思う。こういった特化した雑誌を作る場合、なんらかのこだわりが感じられんと固定読者を獲得するのは難しいんやないかな。例えばある月は徹底して「手塚治虫とロボット」でいき、その号には「ブラック・ジャック」も「リボンの騎士」も掲載しない、であるとか。そういう「お、わかってるやん」と思わせる何かが不足していたように思われるわけやね。
 まあ、この手の企画雑誌としては2年続いたんやからりっぱなもの。ただ、今後同様の企画を立てるんやったら、こういう総花的な雑誌にはしてはならんやろう。手塚マニアの漫画家、作家、編集者はそうとういてるはずやのに、そういう人材を活用することもでけなんだというところに、今後同様の雑誌を作る時の留意点があると私は思うね。
 まあ、2年間それなりによく健闘したというところでしょう。お疲れさま。

2月26日(土)

 プロ野球も春季キャンプが終り、今日から公式戦開幕までの間はオープン戦の期間であります。わが阪神タイガースは、オリックスバファローズとの試合。関西テレビが録画中継を夕方やっていたので、当然のごとく見る。タイガースもさることながら、近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブが合併した新球団オリックスバファローズというのはどんなチームになったんかというのも楽しみの一つ。試合は11−3と新生バファローズの圧勝に終る。これは、タイガースのレフトを守っていた桜井広大外野手の守備のまずさで点差が広がったもの。まあ、オープン戦やから、勝ち負けはともかく選手の試合してる姿を見てるのを楽しんだ。
 ただ、中継の仕方にはちょっとぼやきたいところがあったな。
 確かに、新生バファローズはこれまでのバファローズファンやブルーウェーブファンがどこまでついてきてくれるかという疑念もあって、固定ファンはタイガースに比べたら少ないやろう。それにしても、アナウンサーも解説の星野伸之さんも金村義明さんも、タイガースのことばっかりしゃべってバファローズの話題が極端に出ないというのはどういうことかね。解説の二人は、オリックスとバファローズのOBで、新生バファローズの仰木監督のもとでプレーした人たちなんやから、タイガースよりもオリックスバファローズに対して思うところは多いのと違うか(星野さんはタイガースOBでもあるけど)。特に昨季のプロ野球再編問題の渦中にあったチームやねんから、もっと注目してもええはず。
 大阪で、タイガースさえよかったらええという形の放送をするというは、例えば全国放送でジャイアンツばっかり放送するのと変わらんと思う。いろいろとプロ野球のあり方について考えさせる機会の多かったシーズンの翌年やったら、メディアも放送のあり方を考えるええ機会やと思う。そやのに、今日みたいに旧態依然のタイガースべったり中継をしててええんかな。
 私はタイガースファンです。子どもの自分からのタイガースファンです。そういう私でも、今日の放送の偏向には疑問を感じた。再編騒動の時はネタにしてわあわあ騒いで、あたかもプロ野球全体の利益を考えるべしというように報道しておいて、翌年の実況中継はこれまで通り。それではあかんのと違うか。

2月27日(日)

 H2Aロケット打ち上げ成功おめでとうございます。これで東大阪の「まいど1号」の夢もつながった。次は「まいど1号」の成功の一報を聞きたいところですね。

 霜島ケイさんより「封殺鬼」の完結編をいただき、さっそく読む。感想はここに書いたので重ねては書かんけれど、12年にわたって書き続け、完結させたということだけでもすごいと思う。
 もっとすごいのは、このシリーズを発行していた文庫レーベル「小学館キャンバス文庫」というレーベルは、実はとっくに廃刊しているのに、このシリーズだけが古いレーベルのまま刊行され続けてきたということやね。普通はレーベルがなくなったら違うレーベルで再発行されるとか、むりやり完結させるとかするところなんやけどね。そやのに、「封殺鬼」のためだけにレーベルが残され、完結編とともにこのレーベルそのものも完結するということになる。これは異例のことやけれど、編集部にそこまでさせたんやから、これもすごい。
 実は、「キャンバス文庫」は途中で背表紙のデザインが変わってる。ところが、このシリーズだけはその前のデザインを変えずに続いた。そやから、書棚に並べた時にもちゃんと全28巻がきれいに揃う。これもすごいと思うよ。例えば、ソノラマ文庫やったら「キマイラ・吼」だけ昔のままの緑色の背表紙で出続けているようなもんやな。
 そういう意味では、この「封殺鬼」シリーズというのは、出版の世界の常識からいうても異例の快挙を成し遂げたということになる。霜島さんもすごいけど、編集部も偉いなあ。

2月28日(月)

 妻といっしょに「ゼントリックス」というCGアニメを見ていたら、遺伝子操作でできあがった怪物というのが出てきた。その時に、妻がそこから連想してなかなか鋭い指摘をした。
 例えば、ポテトチップスの袋に「原材料名」が書いてある。
 馬鈴薯(遺伝子組み換えでない)とある。そのあと、植物油脂やの食塩やの調味料やのが表示されてて、最後の行に(原材料の一部に大豆、小麦を含む)とある。
 ここがポイントでっせ。馬鈴薯は遺伝子組み換えやないかもしれん。そやけど、原材料の一部に含まれている大豆や小麦に関しては遺伝子組み換えかそうでないかは明記してへん。
 くさいね。実は、大豆や小麦は遺伝子組み替えかもしれん。違うかもしれんけど、馬鈴薯にはわざわざ「遺伝子組み換えでない」と書いて安全性をアピールしているにもかかわらず、一部含まれている大豆や小麦にはそれが明記されてへんというところが、実にくさい。
 妻は「こういうのを『おためごかし』というんかな? 『親切ごかし』? 『正直ごかし』?」と適当な言葉を探してた。『正直ごかし』という日本語はないでしょう。
 適当な言葉は見つからなんだけど、言いたいことはわかる。遺伝子組み替え作物は使用してはいかんというルールを守ってますとアピールしてはいるけど、ほんまにそうなんかどうか。こういう表記ではなんぼでもごまかせるからね。
 ほんまのところはどうなんでしょう。疑いだしたら切りがないことは確かなんやけど。


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