ぼやき日記


5月11日(木)

 吾妻ひでおさんが手塚文化賞を受賞した。
 感慨深いのは、その審査員の中にいしかわじゅんさんがいてることで、吾妻さんの「不条理日記」などに人気があった時代、いしかわさんはおなじギャグ漫画家ではあっても常に後塵を拝していたような記憶があるからね。今ではいしかわさんは漫画批評もファンの信頼の厚い存在になり、漫画でも「東京物語」みたいなラヴ・ストーリーの傑作を描いたりして、自分のポジションというものを作っている。
 そして吾妻さんは天才と狂気の紙一重のところにあるような傑作を次々と発表し続けた後、受賞作「放浪日記」で描いたようなホームレスの生活を送ってしまうことになる。
 そして今回の受賞で、二人が過去とは違ったところで交差した。
 吾妻さんの再出発を祝うような意味のある受賞やったなあと思う。これをきっかけに「メチル・メタフィジーク」「やけくそ天使」などの再評価の機運が高まればええなと思う。
 おめでとうございました。

5月12日(金)

引き札ティッシュ
 夕刻、仕事を終えて帰宅すると、置き薬の薬屋さんが来ていて妻と健康談義をしていた。なんで春先からこの季節にかけて体が重くだるいのかなど、その理由を書いたチラシを見せてもらったりする。
 で、薬屋さんが置いていったポケットティッシュがなかなか面白いデザインで気に入った。富山の製薬会社の販促品やねんけど、江戸時代の広告チラシ「引き札」のようなデザインやねんな。デザインそのものはおそらくは江戸時代の引き札をそのまま使用してるんやないかと思う。これはなかなかユニークやというので、携帯電話で写真を撮ってみた。右の写真がそうです。ピントを合わすのが難しくてちょっとピンボケしてるけど、なかなかしゃれているでしょう?
 ここに書かれている薬の名称は、置き薬の専用箱にはないラインナップなんやけれど、名前の付け方を見るとどうも江戸時代の薬みたい。この製薬会社はもしかしたら江戸時代からずっと続いている老舗で、そのころに使用していた引き札をそままデザインしたんかな。そうか、富山の薬屋ならどこでも作っていた一般的な薬の名称をここにもってきたんやろうか。
 どちらにしても、温故知新というのか、こういうデザインはかえって新鮮に感じるね。これ、ティッシュの袋に印刷してあるから、絵だけ外して保存しておくてなことがでけんのやな。たかがポケットティッシュやというのに、使うのがなんかもったいないというような気持ちになるね。
 この薬屋さんは、以前は昔ながらの紙風船をくれたこともあるし、去年の夏は今どきこんなデザインが残っていたかというようなうちわをくれた。どう見ても昭和40年代くらいまでの図案やったぞ。子どもの頃に帰ったみたいな気分になったな。この適度な「古さ」が私ら夫婦にはちょうどええ感じやねんな。置き薬屋さんもなかなかやりますな。意識してやってるんかどうかは知らんけど。

5月13日(土)

 大相撲も明日が中日。朝青龍と栃東の休場で、ちょっと興醒めかな。この2人が優勝争いの中心となるやろうという予想が消し飛んでしもうた。
 それはそうと、NHKの大相撲中継の開始と終了のタイトルテロップが今場所変わった。先場所までは伝統的な相撲字で「大相撲春場所 初日」というテロップが場所入りする人気力士の映像をバックに流れ、呼び出しさんの叩く太鼓がそこにかぶるという、何十年も変わらんスタイルやったのに。
 どう変わったかというと、パステルカラーの背景がぼんやりとあらわれ、細い明朝体で「大相撲夏場所 七日目」と右隅に浮き上がるわけですね。そしてなんとも形容しがたいまず相撲中継に使用されるとは思われんほわーっとした音がBGMとして聞こえてくる。
 NHKもいろいろと中継に工夫をしてて、例えばリプレイにしても一方向のカメラだけやなくいろいろな方向から写した映像を駆使して立体的に今行われた取り組みを視聴者によりわかりやすく伝えるということなどは、私は評価したいと思う。
 そやけど、このタイトル変更と音楽変更には反対ですな。相撲情緒、本場所の空気、そういったのが太鼓の音色や相撲字からたちのぼってくるわけで、それはパステルカラーでは決してないと思うぞ。また中途半端なことに中継の終りにはパステルカラーテロップにハネ太鼓の音をかぶせてるんですな。それをやるなら締めもあのぼわーっとした変なBGMで統一したらええやんか。こういう中途半端さがNHKらしいというたら、まあそうかもしれんけど。
 これ、きっと来場所からもとに戻ると思うよ。相撲好きなお年寄りから抗議がいってないはずがないと思うもんな。

5月14日(日)

 ゴキブリ退治の「コンバット」のCMが、これはなんとも笑うに笑えん作りであるなあ。
 アニメーションで「世界名作劇場」風の女の子が走りながら「ゴキブリ退治の『コンバット』、今度はアニメでCM中」と言う。可愛らしい声である。と、いきなりカメラがひいて画面はアテレコをしているスタジオに。マイクの前には年配の声優さんが立っていて「ほんとの年は55歳」と続けるのであります。
 えー、まあそのアニメの声優というのはアイドル化しているとはいうても、やっぱり年齢に関係なく配役というのはなされるわけでして、例えば日高のり子さんはアイドルデビューした時に私と同い年であるということがわかっているから、つまり現在の年齢は、私と同い年なのでありますね。最近ではさすがに母親役などが中心になってきたけれど、それでも少女役かてやらはるわけです。逆にいえば、視聴者からしたら声優さんのほんまの年など気にしてたらアニメなんか見られへんわけですね。それはもう暗黙の了解であり、可愛い少女の声をしている声優さんが55歳でも別にそれは関係ないわけです。だいたいそんなことを気にしてたらアニメなんか見てられん。
 ここ10年ほどで声優さんのアイドル化が顕著になってきて、それ専門の雑誌もあって、専業の声優さんたちがそういう雑誌でグラビアアイドルみたいな写真を発表したりしている。イベントが開かれて、コンサートをしたりもする。私の若い頃は声優さんの顔写真を見てがっくりしたこともあったけれど、最近のファンはそこは割り切ってるのかもな。
 「コンバット」のCMは、そういう意味ではあまりアニメ声優に関心のない人に対しては悪趣味な露出であるし、関心のある者にとっては「それがどうした」というようなもんなのですね。CMの作り手は視聴者を笑わせようとしているんやろうけれど、笑うに笑われんものになってるというのはそういうことです。

5月15日(月)

 今週号もおやぢ向け週刊誌でプロ野球の話題がほとんどとりあげられてへん。ここらあたりが好調ジャイアンツの足を引っ張るような記事を書くというのがここ数年のパターンやっただけに、例えば「週刊大衆」あたりがジャイアンツをむやみに持ち上げる記事を書いているのは不可解やなあ。おやぢ向け週刊誌にとっても、プロ野球はあまり魅力的なコンテンツやなくなったのか。
 もっとも、この交流戦でジャイアンツの勢いがばったりと止まっただけに、この調子でジャイアンツがこけ続けると、水に落ちた犬を打つようにジャイアンツ叩きが始まるのかもしれん。まあ、大人がそういういじめみたいなことをして恥ずかしくないんやから、そら子どものいじめもなくなりはせんよなあ。
 おやぢ向け週刊誌を毎週買うて読んでいる読者層というのは、いったい何を求めてるんかな。いじめを自分のかわりにメディアにやってもらうことで鬱憤でも晴らすんやろうか。そこらあたり、私にはちょっと理解でけへんところではあるんやけどね。

5月16日(火)

 3月18日の日記に書いた、修理に出したノートパソコンやけれども、基盤を取り替えるのにストックがなかったり、取り替えただけではすまずに結局ハードディスクの入れ替えをせんとあかんかったりで、修理期間が延び延びになり、やっと今日引き取りにいくことができた。それでもこれで自宅にウィンドウズ用マシンを置くこともできるし、職場に持っていって使い分けをすることもできるようになる。
 帰宅して、野球の中継を追っかけ再生で見ながら、さっそく立ち上げる。
 起動画面が出てこない。メーカーのロゴの上にひとひねりした輪の絵が現れるはずやのに、出てこない。ハードディスクは最初に「コリッ」というのみ。時々スピーカーから「ピーッ」という警笛見たいな音が、間を置いて鳴る。
 あかんやん。修理の明細には「動作確認をし、正常に起動した」と書いてあるけど、ほんまかいな。2ヶ月近く待って、何万かの修理代を支払って、「ピーッ」ですかいな。
 仕方なくパソコンのスイッチを長押しして強制終了させた。やれやれ、明日また専門店に持っていかなならんやないか。おっと、その前にメーカーの連絡先に電話をしておこう。もしかしたらリカバリーディスクから立ち上げる方法とかあるかもしれんからな。
 パソコンというのは、自分で直せんだけに面倒ですな。もっとも、今は家電にはたいていコンピュータが組み込まれているから、どの家電でも自分で直すことは無理やねんけどね。
 それにしても、さんざん待たされたあげくにこれですか。今日は午後から体の上に岩でできた布団でもかぶってるみたいに体が重かったんやけれど、パソコンの修理が上がったというのでちょっとうきうきしてたんやで。岩の上にさらにKONISHIKIさんでものっかってきたみたいにどっと疲れが倍増したわい。なんでこんな目にあわんならんねんや。

5月17日(水)

 梅雨のかかりやそうで、今日は本降り。明後日が体育祭だけに、予行日の明日と本番の明後日の2日間だけはやんでいてほしいんやけどな。こればっかりはどうしようもない。「むこうはもうアメーバーの時代から、お天気、雨、くもり、お天気、雨、くもり、こればっかりですからね。もうこれでズーッときてるわけですから、むこうは年季が入ってますよね」(桂枝雀「日和ちがい」より)。

 昨日の日記で書いたパソコンの件であるけれど、休み時間にメーカーに電話して事情を話したら、まるで平身低頭といったていで「明日にでもお引き取りにご自宅にうかがいます」と言うてきた。いや、平日の昼間なんて、私は仕事なんですけど。それにそのパソコンは今日は専門店に持っていかなならんかと思うて職場に持ってきてるんやけれど。
 仕方ないので、職場に取りにきてもらうことにした。
 百貨店なんかは商品に傷があったりすると菓子折をつつんで持ってきたりすることがあるけど、この場合は何か持ってきてくれるんやろうか。液晶テレビはちょっとでかいので家に持って帰りにくいけど、この際やから受け取りますわ。おお、HDDレコーダーでもええよ。今サブマシンとして使うているビデオデッキよりもHDDレコーダーの方が便利やからね。そんなもん持ってくるわけありませんか。せめてポケットティッシュくらい持ってくるかな。
 冗談はさておき、修理されたと思うているのに起動せなんだ時の精神的なショックはけっこう大きかったのは事実やからなあ。それなりに勉強してもらわんと、やってられへんと思うのも事実ですわ。
 で、明日メーカーの人がきてスイッチを入れた時に起動したりしたらどうしよう。「ただのクレーマーやん」と妻に言われてしもうた。頼むから壊れたままでいてくれよと、わがままなことを祈るのでありました。

5月18日(木)

 職場にパソコンを引き取りに来たのは運送業者さんでした。起動を確かめることもなく、液晶テレビを持ってくることもなく(持ってきません)、HDDレコーダーを持ってくることもなく(持ってきませんって)、ポケットティッシュもなく(日本タクシーやないんやから、あ、わかりませんか)、引き渡しました。さあ、果たして私のパソコンは無事に帰ってくるんでしょうか(帰ってくるって)。

 それにしてもSHINJO選手はファンサービスのツボを心得てるよなあ。タイガースとの交流戦で、タイガース時代のユニフォームを着て守備練習をした。背番号は5、ネームはSHINJYO。懐かしいなあ。
 見ていて気がついたのは、SHINJOのタイガースのユニフォーム姿は、もう違和感を感じさせるようになってるっていうことやね。ファイターズのSHINJOであって、タイガースの新庄やない。スタイルが違うし、醸し出す雰囲気が違う。ニューヨーク・メッツやサンフランシスコ・ジャイアンツでの経験が、新庄をSHINJOに変えたんやなあ。
 普通の選手やったら、かつて所属していたチームとの試合の前にそのチームのユニフォームを着て練習するなんて、考えもつかんよなあ。例えばジャイアンツの小久保選手がヤフージャパンドームで福岡ダイエー・ホークスのユニフォームを着て練習している姿を、ホークスファンのみなさんは考えられますか。考えられんでしょう。
 常識では考えられんことをやるのがSHINJO。そして、それをファンが大喜びする。タイガースベンチの桧山選手や金本選手までが爆笑していたもんなあ。
 タイガースに帰る気がないからできる、今年で引退する予定やからできる。そういう条件はある。それでも、やっぱり他の選手にはちょっとでけんことやね。こんな選手は空前絶後やと、断言してもええよね。

5月19日(金)

 しかしまあなんですねえ。よう降りますなあ。湿気が多いと体の奥まで疲れがしみこんでしまうみたいで、重いね。体育祭は延期また延期。ほんまやったら今日が本番の予定やったけれど、予行すらでけてへん。甲子園の試合も中止になったしなあ。

 今日の「ケロロ軍曹」を見ていて、あることに気がついた。どんな場面を切り取っても、1枚の絵として見られる画面作りをしているんやね。DVDに録画していてよく困るのは、タイトルやチャプターのサムネイルを作ること。これや! という画面をきれいに切り取って表示したいのに、多くの番組はなにかずれてたりバランスが悪かったりしてて、ええ画面を設定でけへん。ところが、「ケロロ軍曹」はあまり重要やない場面であっても、非常にええ感じのサムネイルを作れるんやね。
 これは、実はサンライズ製作のアニメ番組のほとんどがそうやったりする。センスが違うというのか、絵コンテの切り方がうまいんやろうか。
 別にアニメに限らず、ドラマでも映画でも、ええ作品はどの画面もそのままスチール写真にできるようなカット割りをしているんと違うかな。それが作品の「質」というものやと思う。

5月20日(土)

 風邪ひいたみたいです。鼻水が止まりません。鼻風邪に効く風邪薬を呑んだんやけれどね、ちょっとましになったかなという程度やな。明日は「たちよみの会」例会なんで、早めに寝て養生しよう。

 私が掲示板で危険球についてやりとりしているところに、タイミングよくというか悪くというかやってくれましたねえ、バファローズの萩原投手。10回裏、タイガースの攻撃で先頭の中村豊選手に顔ギリギリのところに投げた時点で「危ないなあ」と言うていたら、関本選手の頭部に当ててくれましたよ。コントロールが必ずしも良くない投手が、それでも内角を厳しく突く投球をすると、こうなるという見本みたいな感じかな。
 タイガースの投手は死球をよく与えるかもしれんけれど、実は相手の頭に当てて退場するという場面にはほとんどお目にかからん。全くないとは言わんけれど。
 それにしても、関本選手が無事にグランドに戻ってきた時はほっとした。故意であろうとなかろうと、やっぱり危険球はあかん。ホークスの杉内投手も、「故意ではないけれど顔のところに投げてしまったのは悪かった」と一言あれば、また違うのになあ。自覚があるからかえってそういう言葉が出ないんやと解釈されても(私はそう解釈してます)仕方ないぞ。

 明日の21日(日)は「たちよみの会」例会です。ご参加をお待ちしています。


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