ぼやき日記


9月11日(月)

 今日の夕刊を妻が読んでいて、「犬丸りんさんが自殺やて!」と教えてくれた。
 享年48。飛び降り自殺と見られているという。「作品が書けなくなった」という遺書らしきものが残されていたんやそうや。
 犬丸さんというたらやっぱり「おじゃる丸」。「まったり人生のすすめ」という著作がある。読者には「まったり」をすすめる中、書き手は追いつめられていたということになる。それだけ、ものを創り出すという行為は精神的にきついものなんやと思い知らされた。私のような人間でもこの日記を書く時にでさえ実は何を書いたらええかと悩む日もけっこうあるくらいなんやから、犬丸さんのように常に「まったり」を生み出しつづけるのはしんどかったことやろうなあと思う。特に、自分が追いつめられている時に「まったり」を要求されるとなると、その苦しさは何倍も大きくのしかかってきたんやないやろうか。
 私は一時ほんまに「おじゃる丸」にはまってしまった。毎日「おじゃる丸」の好き放題な生き方を楽しみ、子鬼トリオの涙ぐましくも報われない努力に共感し、おじゃるがプリンを食べるのを見ると自分もプリンを食べたくなった。アニメでは大地丙太郎監督の手腕もあって、「おじゃる丸」や周囲の多彩な登場人物たちが生き生きと動いているのを見るのが楽しみやった。
 いろんな意味で、ものを創り出すということの楽しさと苦しさを改めて考えさせられてしもうた。「まったり」のヒットが作者から「まったり」を奪うてしもうたとしたら、こんなに皮肉で辛いことはない。
 謹んで哀悼の意を表します。

9月13日(水)

 昨日の夜は、大阪能楽会館で催された「第八回お米とお豆腐の会」を見に行った。これは昨年お亡くなりになった桂吉朝さんが、茂山千五郎、七五三、あきらといった大蔵流「お豆腐狂言」の方々とのコラボレーションを試みていた会なわけです。
 吉朝さんが亡くならはっても、その遺志をついだ小佐田定雄さんや茂山家の方たちにより、桂小米朝さんを新たな演じ手として迎え、こうやって続けられることになったというのは喜ばしいことやね。
 昨夜は小米朝さんの落語「稽古屋」、茂山千五郎さん、七五三さん、あきらさんによる狂言「附子(ぶす)」がそれぞれ演じられ、落語+狂言という「落言」の第1作「神棚」が再演された。目玉の「神棚」のおもしろさはいうことなし。私は吉朝さんの「神棚」は残念ながら見てへんのやけれど、小米朝さんならではの「若旦那」キャラクターを千五郎さんやあきらさんがうまく料理しながら笑いをとったりしているところに融通無礙な「お豆腐狂言」らしさを感じさせてくれた。
 願わくば、米朝一門のいろいろな落語家さんが吉朝さんの作ったこの新しい試みをつなげていき、さらに長く続けていってほしい。
 それにしても能舞台で演じられる落語というのは初めて見たけど、これはこれで趣があってええもんですなあ。

9月14日(木)

 われらがタイガースは首位ドラゴンズとのゲーム差を4に縮めて、いよいよナゴヤドームで奇跡の大逆転につながる3連戦を行うのである。なにしろ今季はまだいっぺんもナゴヤドームで勝ったことがないんである。8連敗中なんである。そやから、そろそろ確率的には勝つ頃合いなんである。明日の初戦をいただいたら一気にガーッと3ついてまうように思う。逆に、最初負けたらガタガタガタッと3ついわされるようにも思うんである。とにかく万年最下位にあえいでいた5年前までやったら、こんな楽しみは味わえなんだんである。勝っても負けても、この時期にこんなにわくわくした毎日をおくれるやなんて、幸せやとは思わんか。5年前の「愛すれどTigers」を読んだら、「最下位には最下位なりの意地がある」てなことを書いてるんである。先発投手の顔ぶれときたら、ハンセルカーライル谷中伊達である。今やったら絶対先発なんかさせてもらわれへん投手ばっかりである。今季の伊達なんか、あのリリーフ投手陣崩壊のジャイアンツに在籍しながら二軍暮しを続けているんである。
 もちろん今季も優勝してほしいけど、もし優勝を逃しても絶対ボロカスには言わんのである。9月半ばまで優勝の可能性を有しているという、なんちゅう幸せなことなんやろう。5年前の書き方にならうならば、「昨年の覇者には優勝チームなりの意地がある」と書けるんである。5年前までは16年間のうち1992年を除く15年、ええとこ4位、たいてい最下位、5位に上がったら万歳三唱してたんである。優勝でけなんだとぼやいていたら罰があたるんである。
 でも、やっぱり3連勝して奇跡の逆転優勝をしてくれへんかと期待してたりするんである。なんちゅう贅沢を覚えたもんでありましょう。

9月15日(金)

 下柳がいきなり2点とられ、憲伸の前に打線は手も足も出ず、交代した久保田がぼこぼこに打たれて、奇跡の3連勝という贅沢な夢は海の藻屑と消えたんである。えーん。

 天満天神繁盛亭の開場、おめでとうございます。職場の同僚から「喜多さんやったら、初日の券はきっと手に入れてると思うたけど」と言われたりなんかしてたんやけれど、実は開場から1〜2ヶ月はお客も多かろうと思い、全く行く予定はしてへんのですね。
 私の理想としたら、「今日は何か落語の気分やなあ」と思うた時に、仕事帰りにふらりと寄る、というような感じで行きたい。寄席ってそういうもんでしょ。それと、物珍しさで寄った客が離れてから行きたい。繁盛亭が「もっとお客に来てほしい」という状態になった時こそ、行きたい。繁盛亭をつぶさんためには、そういうお客でありたい。そう思うているんです。幸い、職場とも自宅とも非常に近いしね。
 今のところ、甲子園に行ったり、シアタードラマシティの東西落語会に行ったりというふうに予定がつまってるというのもある。
 あわてて行かんでもええ、繁盛亭とは長いスパンでつきあいたい。そんな気分やね。

9月16日(土)

金剛能楽堂
 逆転優勝を狙う直接の相手チームとの試合でノーヒットノーランを食うてるようでは、優勝なんてできるわけあらへんわなあ。あああ、明日もまたこの調子でいかれるんやろうか。えーん。

 今日は午前中から京都に出かけて、御所の西側にある「金剛能楽堂」に行った。妹がお稽古に通うている茂山千五郎社中の発表会を見に行ったんだ。
 写真は能舞台。小さくて見えへんかもしれんけれど、茂山宗彦さんと茂山童司さんが舞台に立ってはる。この出し物の主役はお稽古に通うている小学生くらいの男の子で、プロの2人がそれを助けるように出演しているというわけ。普通の公演やったら撮影禁止やけれども、発表会やからそこらへんはフリー。
 これまでにも発表会には行っているけれど、継続は力なりというか、舞台度胸は場数を踏むことで鍛えられるというか。妹たちがただ教えられた通りにしているのだけやなしに、「笑い」をとることを意識して演技しているのがすごいなあと思うた。
 手前味噌ではあるけれど、私の場合は商業誌に文章が掲載されるということを積み重ねていくことで、やっぱり多少なりとも文章力は鍛えられたと思う。その割に日記はおもろないですか。いやまあ、そこはそれ、人間いろいろと限界はあるのよ。
 素人さんには素人さんなりの味がある。こういう発表会では私の知らない人の舞台も見せてもらうことになるわけやけど、そんな味を楽しむというか、本人の意識しないところであらわれる人柄を楽しむというか。プロの公演とは違う面白さですね。
 今日の発表会を見てて、妹たちが小さい頃、電子オルガンを習っていて、その発表会を見に行ったことをちょっと思い出した。そういえば、私は発表会に出るような稽古ごとはやったことないなあ。見てるばっかりで見られることがない。あ、授業参観日で生徒の保護者に授業を見られたことはあるなあ。それは仕事やって。

9月17日(日)

 今日は「たちよみの会」例会。最近SFファンになったばかりというNさんが初参加。誰もこないかと思いどっさり本をカバンにしのばせていたけれど、その段取りは無駄になった。嬉しい無駄でありますね。なんか嬉しくて私ばっかり話をしてしもうたけれど、愛想をつかさんといてね、Nさん。

 台風が近づいてきている。気圧が下がり、湿度が高くなると、体調にてきめんに響く。しかも2日連続で京都に行き、そこそこ歩いたんで、今この日記を書いている時点でもう眠くて眠くて眠くて眠くて眠くて眠くて眠くて眠くて。
 おやすみなさい。

9月18日(月)

 今日は敬老の日。ハッピーマンデーかなんか知らんが、祝日が毎年日替わりというのは納得でけんもんがあるな。なんでこの日を祝日とするかという論拠がないと、今日は何の記念で休んでいるのかということがわからんようになるよな。休みが続くのはありがたいけれど、週の間にぽこっと休みが入るとなんや得したような気分になるし、心身ともにリフレッシュする。あんまり休みが続くと人間だらけてしまい、火曜日に仕事に行くのがおっくうになるのじゃ。
 弊害は学校に特にあらわれていまして、月曜ばっかり休みにすると、月曜の時間割の授業がその分抜けてしまう。教務の先生たちも苦労していて、あまり抜けない曜日に月曜の時間割りを振替えたりして対処しているけれど、そのおかげで普通は週1回しかない授業がそこだけ週2回になったりして、生徒も教師も対応に苦労することがある。
 養護学校や障害児教室の生徒なんかやと、特に自閉的傾向のある生徒なんかはきちっとしたサイクルで曜日がまわらないと不安を感じてパニックを起こしやすくなったりするから、前もって「◯月×日は月曜の時間割ですよ」とインプットしておく必要がある。つまり、ひと手間多くなるんである。
 ハッピーマンデーについてはこの日記で再々ぼやいてきたけれど、そろそろちゃんと月曜に祝日をおいたことによるメリットとデメリットを政府は明らかにし、続けるかどうかの論議を進める時期にきてるんやないかなあ。

9月19日(火)

 ほーら、タイガースか勝ち続けたら、ドラゴンズは勝手にこけてくれたりしてゲーム差は1つ縮まった。明日からタイガースはしばらく試合がないけれど、その間にどんどんこけてくれたら、たとえタイガースの優勝は難しいにしても最後までシーズンを楽しめる。プレーオフのアドバンテージのためだけに一喜一憂するパ・リーグとはまた違った楽しみがあるのじゃ。今からでいいから、来季のPSG全面白紙ということにはならんかのう。

 何か面白いネタはないかと某ブログサイトの日記をあれこれ読んでみる。驚いたのは「子育て日記」や「ママの日常」みたいな日記の多さですわ。いかに子育てのストレスを何らかの形で解消したいと思うている女性が多いか、ということなのか。あるいは子育ての楽しみを多くの人に知らせたいと思う人が多いということなのか。
 ブログのおかげでウェブ日記の数が格段に増え、その中から本にまとめて刊行されるものもでてきている。きっとベストセラーのネタを探してブログを巡回している編集者、なんてのもいてはるんやろうなあ。ただ、これだけ大量にブログ日記があると、本にしたいと思うようなものを見つけるのは砂漠に落した石を掘り出すくらいの根気よさが必要やないかなあ。仕事となれば時間をかけて発掘できるのかも試練が、何か面白い日記はないかと行き当たりばったりにあたっている私なんかにはとてもその真似はでけへんな。
 ただただやくたいもないことを書き綴っている私の日記はもうじき書き始めてまる10年になろうとしているけれど、これだけくだらんと分量があっても出版しようなんて誰も考えへんのです。わたしもこれをわざわざ活字にしたいなんて思わんしね。
 でも、ブログを書き続けている人の中には最近のブームにのってあわよくば出版されてベストセラーになんて考えてる人もけっこういてるかもしれんぞ。そういうブログはよほど中身が面白くてそこそこの分量があるもんやとは、たぶん気がつかず。

9月20日(水)

ウルトラまん
 コンビニで面白い豚饅を売っているのを見て思わず買うてしまいました。
 その名も「ウルトラまん」!
 青色の看板の開いてますあなたのコンビニであります。朝、出勤途中で買うて職場で撮影した写真なんで、ふやけてしわしわになってるけれど、買うた時は張りがあってウルトラマンの顔にちゃんとなってたんよ。この写真ではなんかウルトラマンというよりはウルトラの祖父という感じになってるけどね。ちゃんと目と目の間が盛り上がっていたんよ、買うた時はね。この写真では袋の中で昼ご飯に押された結果ぺったんこになってしもうてるけどね。
 誰もが一度は考えたことのありそうなアイデアではあるけれど、実際に作ってしまいしかもこんな名前をぬけぬけとつけてしまう方がいてはるんやねえ。このアホらしさには涙が出るほど感激してしまうぞ。やったもん勝ちですわ、こういうのはね。
 ところで、写真には写ってへんけれど、底の裏紙にはちゃんとウルトラ兄弟のイラストが書いてあって、ここらあたり芸が細かいね。
 それにしても、ウルトラマンを頭からかぶるというのはちょっと抵抗があった。いや、これはウルトラまんであって、ウルトラマンやないんや。ごめん、ウルトラマン! しわしわやからウルトラの祖父か。でもウルトラマンは確か2万歳くらいの設定やったはずやから(数字は不正確。まちごうてたらごめん)、相当な老齢であるかもしれん。そんなことにこだわっている場合やないのでした。
 というわけで、ばくばくと一気食いしてしまいました。味はまあ、コンビニ豚饅の味でした。そらそやな。
 こうなったら餡饅ヴァージョンも出していただきたい。名前は「ウルトラまんAN」か、「ウルトラあん」か。うーむ、しっくりこないなあ。


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