甲子園に戻って優勝マジックナンバーの出た首位スワローズに対し2勝1敗。ベイスターズには降雨コールド勝ちなど天の恵みもあり1勝1敗。今節は3勝2敗と久々に勝ち越した。こういうペースを1年間ずっと続けていけないものなのかなあ。一方、二軍は2年ぶり10回目の優勝を決めた。調整中のベテランの働きもあり若手が育ったと素直に喜べないけれど、勝つ喜びを知った選手たちが一軍で負ける悔しさを感じて奮起してくれることを願わずにはいられない。
◎スワローズ23回戦……8−1
ハンセルの力投と打線の爆発で連敗をストップさせた。初回、前田から上坂、赤星が連続ヒットで出塁、濱中が送り桧山の内野ゴロの間に1点先取。2回表にペタジーニを三塁においてハンセルがワイルドピッチと嫌な形で同点になったが後続を断ち、3回裏には待望の勝ち越し点。四球の上坂を桧山がツーベースで返し、広澤がその桧山を返すタイムリーを打つ。前田に対し徹底した右狙いで揺さぶる。5回裏には赤星がバントヒットで出塁し、濱中のレフトへの打球はラミレスのまずい処理もありランナー二三塁。桧山は犠牲フライできっちり1点を取り、代わった寺村のワイルドピッチでさらに1点追加。7回には濱中の2点タイムリー、広澤の犠牲フライで3点追加しダメ押し。大量点に守られたハンセルは8回を9奪三振の好投で3ヶ月ぶりの勝利。どちらが首位だかわからない。この日の勝利で野村監督は監督通算1300勝を達成した。
◎スワローズ24回戦……6−7
勝ったはずの試合だった。先発井川は確かに調子が悪かった。初回からコントロールがあまりよくなく甘いところにボールが入っていった。初回に連打で2点を失ったのもその甘い球を狙い打たれてのことだった。しかし、3回裏、濱中が入来からレフトスタンドに第10号2ランを叩き込み同点に追いつく。4回表に再び連打で2点を失い突き放されたかと思ったが、5回裏、今度は広澤が左中間の一番深いところに叩き込むプロ入り通算300号となる同点2ランを放つ。そして7回、河端からまたまた広澤が今度は右中間に流し打つ2ランホームラン。とうとうこの試合、初めてリードした。8回表、井川は無死からラミレス、岩村に連続ヒットを浴び無念の降板。福原につないだ。しかし、福原の球には球威もコントロールもなく土橋に簡単にバントを決められ小野に四球を与えてしまう。アウトの計算できる小野だけに、この四球は痛かった。代打真中に同点タイムリー、飯田のスクイズで逆転……。次の回に登板した遠山や伊藤といったベテランたちがしっかりと抑えただけに小野に四球を与えたところで福原を交代させてもよかったのだが。井川の交代機の遅れといい、投手交代のタイミングの難しさを思い知らされた試合だ。
◎スワローズ25回戦……3−2
いやまあしんどい試合でございました。石井一は決して調子はよくなかった。初回、濱中の犠牲フライで先取点。3回には広澤の押し出し四球で2点目。もっともこの3回に続く今岡が打ったいい当たりのサードライナーを岩村に好捕されて流れはスワローズに少し傾く。カーライルは4回にラミレスにホームランを打たれ1点差とされたものの速球がよくのびてスワローズ打線を抑える。特に高めのボール球に手を出した空振りが多かったのが球ののびている証拠。7回表、連打と四球で満塁のピンチで池山に犠牲フライを打たれ同点に追いつかれたが、これはカーライルばかりを責められない。打線の援護がもう少しほしかった。さあこのあとは両チームともリリーフ陣を惜しげもなく投入し、ひたすら守りの野球。延長11回の裏、今岡の高いバウンドのセカンドゴロは内野安打となり、矢野が、和田が、リリーフエースの高津からしぶとく流し打ちでヒットを続け、1死満塁のチャンス。途中から出場していた田中がレフトに犠牲フライを打ち上げ、5時間弱の長い試合に決着をつけた。
◎ベイスターズ23回戦……3−1
長い試合の翌々日は、5回降雨コールド1時間35分という早い試合。ここらあたりが帳尻が合っていて面白い。先発谷中は決して調子がよくなく初回に鈴木尚のタイムリーで1点を失う。しかし、ベイスターズ先発の小宮山も雨で微妙なコントロールがつかなかった。2回裏、桧山の見事な同点ホームランがレフトスタンドに突き刺さる。さらに3回裏、赤星の当たりはライトの頭を超える三塁打。センターの鈴木尚が返球をもたつく間に一気にホームまで陥れ、勝ち越し。雨は次第に強くなる。5回表、ベイスターズが粘ればノーゲームになるかもしれなかった。ところが、ドスター、小宮山、石井琢とあっさり三者凡退。これで試合は成立した。その裏、ヒットの藤本を谷中と上坂が連続バントで三塁に進め、赤星のタイムリーで3点目を取ったところで中断。7分後には主審友寄がゲームセットを宣告して勝利が確定した。
◎ベイスターズ24回戦……4−10
先発の伊達、二番手の金澤と期待の若手投手が登板したのに、めった打ちを食らってしまった。ベイスターズの先発は野村。初回に赤星が31個目の盗塁を決めると桧山の二塁打で生還、幸先よい出だしだったのだが、伊達は2回表に谷繁のホームランですぐに追いつかれる。3回表、佐伯のホームランで2点目を失いズーバー、谷繁にヒットを浴びると伊達は降板、金澤がマウンドに。ドスターの内野安打と野村のライト前ヒットでまたたくまに2点取られ3点差。さらに4回表、石井義の二塁打などで金澤は3失点。4回裏、赤星、濱中の連続タイムリーで3点を奪い野村をマウンドから引きずり下ろしたけれど、中野渡、木塚、川村の前に得点できず、復活を期する藪も8回に2失点と突き放され完敗。せっかく2軍が優勝してもそこから出てきた若手が一軍で通用しないのではどうしようもない。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……グレッグ・ハンセル なんと3ヶ月ぶりの4勝目。ここまで勝ち運に見放されていたけれど、辛抱して投げてきた甲斐があった。来シーズンに期待を持たせる勝ち星だ。
野手……赤星憲広 目前のライバル石井琢(YB)の前で決めた31個目の盗塁。そして連日の猛打賞で打率三割も見えてきた。このまま新人王と盗塁王に向かって突っ走れ。
やっと泥沼から脱出した。次は東京ドームでジャイアンツ3連戦だ。スワローズに一矢酬いたのだから、今度はジャイアンツに引導を渡す番。最下位には最下位なりの意地がある。特に赤星は同じルーキーの阿部からどかどか走りまくって東京の新聞記者の前で「新人王は赤星だ」と印象づけてもらいたい。
(2001年9月17日記)