ぼやき日記


6月21日(日)

 今日は私が代表をしている「たちよみの会」の例会で京都へ行く。
 しかしよく降る。大雨だ。傘なんかずくずくである。
 帰りに「丸善」の京都店に寄る。入り口に傘用のビニール袋を入れる機械が置いてある。名前までついている。
 『入太郎』(いれたろう、と読むらしい)。なんというか、微妙なはずしぐあいがなんともいえないネーミングである。
 これは風を送ってビニール袋の口を開き、そこに傘をつっこむだけでよいという仕組みになっている。ただ、そういう仕組みになっているだけで、実際はうまく袋の口をカットできないようだ。私が傘をつっこんで外すと、年輩の店員さんがすかさず次の袋の口を開けにくる。続いて会員Y氏が傘を入れる。外すとまた店員さんが……。店を出る時もやっていたから、一日ずっとあのために入り口に控えているのだろうな。大変なことだ。
 ふつう、スーパーなんかでは無雑作に引っ掛けてある袋を客が勝手に取っていくものだが、「丸善」ではサービスとしてそういう機械を入れたのだろう。ところが、その機械がうまく働かなくなったので、係の人をつけているにちがいない。なんとも裏目に出たものだ。同じように人をつけるならば、機械のおもりをするのではなく、一つずつ客に手渡した方がサービスがよいのではと思うくらいだ。
 送風機つきだし、量産するようなものでもないから、一台の単価は結構するだろう。しかも雨の日しか使わない。そのうえ人件費までかかる。ちゃんともとをとっているのだろうか。そんな心配を私がしてもしかたないのだけれどねえ。
 ちなみに、そのあと気をつけて他の店を見てたら、「マクドナルド」なんかはペダルを踏むと袋が引っ張られて口があき、そこに客が傘を入れる装置を置いていた。これは電気代もかからないから、すぐにもとはとれそうだ。

6月22日(月)

 なんだか知らんが微熱が出て体がだるい。思い切って休むことにする。一日中、寝たおした。おかげでいくぶん楽になった。ただの寝不足だった、ということでもなさそうだ。体温を計るとまだ微熱は出ている。
 寝転んで昨日買った「本の雑誌」を読む。
 編集者匿名座談会、今月は「幼児雑誌編集者」の巻だ。A・B・Cと三人の編集者が裏話なんかをしているのだが、読んでいるうちにAさんとBさんの雑誌は特定できた。両者とも500円以内で児童書専門の出版社から出ているわけではないらしい。となると、福音館の「大きなポケット」や「こどものとも」は除外だ。
 該当するとすればAさんとBさんは「おひさま」と「ねーねー」である。「おひさま」は読み聞かせ中心の雑誌。「ねーねー」はマンガ家を多く起用していて、絵を楽しむような作り。
 あとは発言から決め手になるものを拾い上げればいい。Aさんが「漫画家さんに原稿を頼みに行く時は…」「絵本作家さん以外のところから書き手を探してきて…」と言っている。どうやらこちらが「ねーねー」だ。また、Aさんはこうも言っている。「Bさんのところは本当に『読み聞かせ』ですよね」! とすると、Bさんは「おひさま」に間違いない。
 Cさんは付録つきの総合誌とある。これだけでは特定できない。「マミイ」「めばえ」「よいこ」と候補はたくさんあるし発言としてもそれらの代表みたいなことしか言っていない。
 しかし、まあ私も関係者の中に含まれるわけだから、こういう材料で特定できるのだが、その業界に関する知識のない人だと何のことやらわけがわからんのだろうね。
 ふむふむ、そうかあ、「おひさま」には毎週2〜3人の持ち込みがあるのか。うーむ、負けてられんぞ。次の作品はこれまでよりも面白くしてやるぞ。
 おいおい、しんどいと横になりながら闘志を燃やすなよ。よけい疲れるぞ。

6月23日(火)

 私の妻は新聞の折り込みチラシのチェックを毎日必ずしているが、特に注目しているのがエステの広告と求人広告である。別にエステに通うとかいうつもりで注目しているのではない。もちろん笑うネタを探しているのだ。
 その妻が今日見つけた求人広告はまたとびきりのネタがつまっていた。二人だけで笑っているのはもったいないので、紹介する。

『在宅地域担当者(内職)募集』
 職種/簡単なNTTのお仕事です。
  ※ご自宅で空いた時間で出来ます。
 年令/年令・性別不問
 収入:当社規定に依る

 「当社規定に依る」という収入が謎だ。「簡単なNTTのお仕事」って、電話をかけることか? 怪しい。絶対に怪しい。こんなところに連絡する人がいるのだろうか。

『サイドビジネス!!』
 店鋪・在庫等一切不要、出社義務なし、在宅可。
 主婦・OL・会社員・自営業・中高年者歓迎。
 ノルマなし、空いている時間で稼げます。〈完全出来高制〉
 テレビ・雑誌などで話題の、日本有数メーカー製品ビジネスをお伝えして頂くだけの簡単なお仕事です。
 商品購入、販売の必要はありません。
 取扱商品/エステ機器、その他(健康食品・化粧品ではありません)

 なぜわざわざ(健康食品・化粧品ではありません)とことわるのだ。そういうので訴えられたことでもあるのか? だいたい「日本有数メーカー製品ビジネス」とわざわざいうのが怪しい。これも電話でなんかするのだろうが、〈完全出来高制〉って、何も売らずにどうやって出来高がわかるのだ。

『全国限定募集キャンペーン』
〜超不況時代に勝つ〜 もう給料だけには頼れない
◆一般有力紙広告掲載中 上半期登録〆切間近!
 家庭と仕事を両立したいあなたにピッタリ!
なぜ安定収入になるか知って下さい
◆男女・学歴・経験不問・子育て中主婦・OL・会社員・自営多数在籍
◆20才以上の方ならどなたでも自宅で始められます
 月収:20万円以上可(月々の収入が安定していきます)
◆日本初の東大・早大・慶大等の有名大学生が個別指導する遠隔地在宅学習に対する社会に貢献できる堅実なお仕事の一部を手伝って頂けませんか
◆営業 販売 指導 出社 パソコン知識 電話番 ノルマ 集金など一切不要! 煩わしい業務は全て本部が代行
 協賛手当50,000円分支給 ※限定につきお早めに
◆米国・ニューヨーク受注センター開設
※今回資料請求の方全員に携帯電話無料&優待券プレゼント
エ××ル慶応三田センター

 「なぜ安定収入になるか知って下さい」って、これだけではちっともわからん。そうか、資料を請求せよということか。携帯電話の手続きを仲介するだけでマージンは入るんだよね。「日本初の東大・早大・慶大等の有名大学生が〜」という文章は明らかにおかしい。中国から輸入した商品についている日本語の解説書みたいだ。「慶応三田センター」というのはそこに事務所を置いているということなのだろうが、これなら「東大本郷センター」だっていいわけだ(これは妻のアイデア)。いったいどんな仕事をするのかまるでわからない。一応ホームページアドレスが書かれていたがリンクははらない。いったいどんなサイトに到達するのかわからないからだ。いやいや実に怪しくて、よい。

 それにしても、今は自分の生活がちゃんと成り立っているからこんなのを見て笑っていられるけれど、切羽詰まったら客観的に見られなくなって、わらにもすがるような思いでこのようなところに電話してしまうかもしれないではないか。まあ、ここまで怪しげだと敬遠するだろうけれど、学校の教師なんてプロにかかったら赤子の手をひねるようにだまされてしまうに違いない。危ないところには近寄らないことが肝心。騙されやすい人間であることは、自覚しているのだ。

6月24日(水)

 相撲雑誌を買う。今月は「名古屋場所展望」。
 現在相撲雑誌は4種類出ていて、私はその全てを講読している。そのうえ「週刊ポスト」の「相撲界内幕レポート」とかいうヨタだかなんだかよくわからないものまで読んでいる。もっともその記事は立読みですましているのだが。
 一番面白いのは「大相撲」(読売新聞社)だ。こちらはちょっとひねた通向きの雑誌だ。例えば、今月号の特集は「横綱」。若乃花勝が第66代横綱に昇進したのを期に、横綱の歴史とか古今最強の横綱は誰かとかを検証している。
 新聞で使われる”雲龍型””不知火型”と呼ばれる横綱土俵入りの名前は残された資料からいっても妥当性のないものなので、それぞれ”梅ヶ谷型””太刀山型”と呼んではどうかというおよそマニアでないと通用しないような話題から、江戸・明治時代の強豪横綱と昭和以降の横綱を単純に勝率で比較するのはナンセンスであるという記録のみに頼る論議への警鐘など、あらゆる面から「横綱」を論じている。
 これまでの特集の中には「八百長」を扱ったものもあったし、年寄制度についても積極的な建言をしている。
 これに対する「相撲」(ベースボールマガジン社)は日本相撲協会の公認広報誌である。こちらは初心者から相撲通までをカバーする紙面構成。今月号の企画は「大相撲カナダ公演詳報」。記者たちが密着取材して力士がどんな興業をしたのかとかどの力士がどんな買い物をしたか何を食べたかまで手に取るようにわかる。私としてはそんなこと別に知りたくないけれど。
 こちらは相撲協会の抱える諸問題を弁護することが多い。毒気のある記事はないかわりに、相撲界の動きは非常に細かくかつ正確につかむことはできる。
 私の好みはもちろん「大相撲」だが、「相撲」も読んでバランスのとれた情報を仕入れるようにしている。こうやって2誌が並立していることはそういう意味ではありがたいし、大事なことではないかなと思う。
 SF界で議論が行われる場合、弱いのはそのあたりではないかなあ。「S−Fマガジン」1誌しか専門誌がないということ、書き手が1誌に集中するため常に同じ論者が発言しがちだとか。相撲雑誌を読んでいるとどちらかの雑誌でしか書いていない古参の評論家がいるのだ。
 相撲とSFを比べるというのが乱暴な話なのだが、まあ、私はいろんな雑誌で相撲というものを楽しんでいるわけで、それができるジャンルというのはよいジャンルだと、そういうことをいいたいわけである。

6月25日(木)

 参議院選挙が公示され、掲示板にポスターがべたベタと貼られていく。大阪の選挙区はケッタイな、いやいや、バラエティにとんだ候補者がたくさんいて、立ち止まってポスターを見ているだけでも楽しい。なにしろ30年以上京都に住んでいたのだ。自民党と共産党とを軸にその他の党がからむというのばかり見せられていただけに、こううじゃうじやと、失礼、数多くの候補者ポスターが貼られているというのは物珍しくもある。
 西川きよしのポスターの実物もはじめて見た。「今こそ! 小さなことからコツコツと」というコピーだ。西川きよしの物真似で必ず使われるフレーズである。それをうまく利用してコピーとして使いつづけるのだから、さすがは芸人だ。
 東京はどうかと新聞を見ると、やはり有象無象が、じゃない、多士済々の候補者が名を連ねている。おやおや、「高信太郎 漫画家 諸派 新」という名前がある。諸派ということは何か政党に属しているのだろう。関西では話題にもなっていないが、東京ではどうなんだろう。しかし、高信太郎が立候補とは驚いた。選挙広報はダジャレ満載のマンガで出すのだろうか。
 何回か前の選挙までは「ミニ政党」というのが多数あったが、今回はえらく少ない。雑民党とか、UFO党とか、選挙広報を読むのが楽しみで仕方ない政党がいくつもあったのに。立候補者を立て、当選者を出すのが難しいということがわかっただけではなく、思ったより金がかかることもわかったのに違いない。「日本福祉党」なるところが資金不足で立候補者をたてられなかったという記事もある。
 その昔、全国区制から比例代表制に制度を切り替えた時、「金のかからない選挙にする」とかいう理由があったはずだが、嘘だったのだな。だったら誰でも立候補できる全国区に戻せばいいのに。選挙広報から笑いを奪ってほしくないものだ。
 ともあれ、しばらくは選挙カーが走り回るやかましい時期が続くのだな。家に帰ったら留守電に「××党の◯◯をよろしく」というメッセージが入っていた。こういう候補にはいれないことにしている。うちにはそういう電話をかけないように。確実に一票減るから。

6月26日(金)

 昨日からプール学習がはじまった。生徒といっしょにプールに入ってばしゃばしゃとやるのである。私の勤務している養護学校は、知的障害児の学校であるが、重度障害の生徒はつきっきりで介助しないと溺れたりする危険もある。
 私はスポーツは苦手だが子どもの頃スイミングスクールにいってたおかげでなんとか水泳だけは人並みにできる。そういう意味ではプール指導は嫌じゃない。実際、指導といっても生徒の体を支えてプールの中を歩かせたりとかそれほどきついわけでもない。
 ところが、プールからあがってからがしんどい。普段運動らしきことをしていないものだから、25mひと泳ぎなどしようものなら、あとで体が重くなり強烈な睡魔に襲われたりする。昨日今日は日も照っていないからいいが、晴れの日などちょっと油断するとひりひりと焼け、皮がむけたりする。二の腕の皮がむけている時など、妻から「汚なあー」などと言われたりして困ってしまう。
 しかし、昨日今日のように湿度が高く気温も30℃くらいあると、水に入ると気持ちいい。私のような汗かきには(なんともはや、水をかぶったようにずくずくに汗をかくのだ)体の火照りを冷しながら運動もできるのだから、具合がいいといえないこともない。
 これであのたまらん疲労感がなければいうことないのだが。普段から運動をしていればいいのだと言われれば返す言葉もないんだけれどね。

6月27日(土)

 蒸し蒸しと暑い。
 夜、タバコを買いに行ったついでにローソンに寄って、デザートやアイスクリームなどを物色。なんと、「ナッチョコ」と「ジャムンチョ」があるではないか。
 いやあ、懐かしいなあ。まだ売っていたんですね。
 高校時代、学生食堂に売っていてよく食べたんですよ。ひとつ50円。
 「ナッチョコ」も「ジャムンチョ」もアイスバーにチョコレートでコーティングしたものなのだが、「ナッチョコ」は表面に砕いたピーナッツがちりばめられていて、歯触りがよい。「ジャムンチョ」はアイスの中にいちごジャムが入っている。ジャムとチョコレートの香りが解け合っていて、なかなかうまい。
「『ナッチョコ』『ジャムンチョ』『カフェッチョ』ホイ! あたりが出たら、もう一本」という調子のいいCMをやっていた。そうだそうです、昔のアイスバーには「あたり」の焼き印があったのだ。もっと小さい頃には「ホームランバー」という四角いアイスバーがあった。あれもあたりつきであった。
 前述のローソンにはその「ホームランバー」もあった。なんと「三色王将アイス」もあるぞ。びんぼったれの子は「ホームランバー」、ええとこの子は「三色王将アイス」を食べていたのだ。今思うとたいした差はないのにね。
 気がついたら「ナッチョコ」と「ジャムンチョ」を手にとってレジへ持っていっていた。
 妻に見せるとびっくりしていた。つい先日「ナッチョコ」と「ジャムンチョ」の話を二人でしていたところだったので、よけいに驚いたのである。ここらへんが同世代の者といっしょにいるよさだろう。昔懐かしいアイスクリームの話題で盛り上がったのでありました。

6月28日(日)

 京阪電車のホームに予備校のポスターがはってある。人気講師の写真と紹介文がついている。いかにも優秀な講師が揃っているという感じで、大げさな紹介文だ。私はこういうのを見るのが大好きなので、ついじっくり読んでしまう。
 なに? 橋元淳一郎?
 なんと、そこの予備校の人気物理講師はSF作家にして相愛大学教授、「S−Fマガジン」に「疑似科学思考実験」という長期連載を持つ、あの橋元淳一郎さんではあるまいか。
 さて、その橋元さんの紹介文だが。
「『物理・橋元流解法の大原則』は君の脳に直撃弾を落とす」
 ううむ、脳に直撃弾を落とすのか。授業のあとはふらふらになって立ち上がれなくなりそうだな。私は橋元さんとは残念ながら面識がないのだ。しかし、「S−Fマガジン」の連載を読む限り、人の脳に直撃弾を落とすような感じの人だとは思えない。いくらなんでもたいそうだなあ。
 これがもし、菊池誠大阪大学助教授だったらどうなるであろうか。
「『物理・菊池流解法の大攻略』は君の身も心もずたずたにする」とか。
「『物理・菊池式解法の大策略』が君の脳を混沌に陥れる」とか。
 いやいやこれでは逆効果だ。
「『物理・菊池式解法の大戦術』は君の常識を破壊する」
 やめときましょう。
 菊地さん、メチャクチャ書いてごめんなさい。他意はないのよ。
 ともかく、この手の紹介文というか宣伝文はたぶん講師の人たちのあずかり知らぬところで書かれているに違いないのだが、ご本人が目にしたら赤面するような代物だなあ。受験生諸君はこういう紹介文で予備校を選んだりするんだろうか。
 私が予備校を選んだ基準は入りやすくて行きやすいというのが基準だった。あとは人気大学への合格率とか。
 なんにせよ、この大げさなところが面白くて、私はついついこの手のポスターをじっくり読んでしまうのである。

6月29日(月)

 6月11日の日記で『◯◯な人、××な人』というタイトルの本を話題にした。
 自分でもいろいろと考えてみたのだが、面白いものが浮かばなかった。だいたいあの手の本というものは説教臭いものだ。説教をからかうには相当な諧謔精神がなくてはならず、どうも私はそこらへんの思考がうまく働かないものとみえる。
 というわけで、なにか面白いものがあれば教えてほしいと書いたところ、TOJYOさんよりメールが届いた。大分間があいて申し訳ないのだが、ここにご紹介する。

「『コイルな人、コンデンサな人(または、インダクタンスな人、キャパシタンスな人)』 コイルな人:外からの刺激に対して即座に激しく反応するが、後腐れ無くすぐに忘れてしまう コンデンサな人:外からの刺激に対して外見上は反応しないがいつまでも忘れずにため込んでいる っていうんですが・・・・・・電気系じゃ大爆笑まちがいなしなんですけど(うそうそ); 売れないでしょうね〜」

 うーむ、なるほど。この対比、なかなか面白いではないですか。
 私の場合はどちらかな。どちらかというと「コンデンサな人」だろうなー。単に反応が鈍いというだけかも知れないけれど。あとから「うーむそうだったのか」などと思い返して、むらむらと怒りがわいてくるけれど後の祭り……これではただの馬鹿である。
 しかし、このタイトルでは一般には何のことだかわからなくて売れないだろうなあ、やっぱり。だからといって、「発散する人、ためこむ人」なんていいかえたのでは微妙なニュアンスが伝わらないし、第一面白くない。
 私にはこういう企画を思いつくセンスそのものがないことを思い知ったのであった。
 TOJYOさん、どうもありがとうございました。ご紹介が遅れてごめんね。

6月30日(火)

 今日、書店に寄ると「おひさま」の8月号が発売されていた。
 これで、私の「おおごえこぞう」が掲載された号は引き上げられたわけだ。
 月刊誌ゆえ仕方がないが、少々寂しい。
 この間、ふだんは絵本雑誌を手に取らない方たちがときには書店員に尋ねたりしながら、私の作品のために「おひさま」を買って下さったわけで、改めてお礼をいいたい。
 ありがとうございました。
 感想のメールをくださった方、そして掲示板で話題にして下さった方、いちいち名前はあげないけれども、感謝の言葉もありません。
 定店観測というわけではないけれど、日、一日と掲載号が書店から姿を消していくのを確かめ、どのくらいの方が「おおごえこぞう」を読んで下さったのだろうかと想像するのは嬉しいものだ。デビュー作のときは、舞い上がってしまってそこまで気持ちがいかなかったし、掲載作が増えていくごとにこういった感動も薄れていくだろうから、この一月の気持ちは忘れてはならないものだろうと思う。
 問題は、かんじんの読者層である子どもたちがどう読んでくれたか、だ。まだ子どもたちの反響が聞かれないのでなんとも言えないのだけれど、小さい子どもにはちょっと難しかったみたいだ。そこらあたりは次回作に生かしていくしかない。
 今回はデビュー以来2年近く相手の掲載だったわけだけれど、これを機会にせめて年に2回くらいは掲載してもらえるように書くペースをあげたいと思っている。むろん、お話の質を大切にした上で、の話だ。
 現在、教員と書評家に加えて童話も書いているわけだが、3足のわらじをはいているということでいえば、童話という形態はわりと自分に向いているように思う。
 書評家としては、同じ土俵で勝負しにくいということもあるしね。
 自分の資質はあくまで批評より創作であると思うのだ。「喜多の書評は作家の視点だよ」と言ったのは三村美衣さん。その通りなのである。
 というわけで、次回作に向けてあれこれアイデアをひねくり回している。勢いがあるうちになんとかしておきたいものだ。これからも、よろしくお願いいたします。


ご感想、ご意見はこちらまで。どうぞよろしく。
過去の日記へ。

ホームページに戻る