ぼやき日記


3月11日(木)

 卒業式の翌日というのは実に張り合いのないもので、ふだんなら朝のHRにいくところなんやけど職員室にそのままいてるというのは所在ないというかかえって落ち着かんというか。それでも昨日卒業した生徒が今日さっそく学校に遊びにきたりしてるのを見ると、昨日流した涙はなんやったんやという気になるね。

 夜、産経新聞の子会社から電話がかかる。なんでも広告企画をしてるところやそうだ。なんの用かときけば、京都版のみの企画で京都の公立高校の特集を1年間、1校ずつ不定期連載していて、その最終回に私の母校を取り上げるという。
 私は学生生活で一番おもろかったんが高校時代やった。かなり風変わりな学校やったし卒業生には芸能人から学者から漫画家から教員兼書評家兼童話作家(わざわざ自分のことまでかかんでもよろしいか)など多彩な人材がそろっている。
 取材ということで思い出の先生のこととかいろいろ雑談みたいに話したあと、先方がちょっと言いにくそうに切り出してきた。
「記事の中に、そのお名前や住所やメッセージを入れられるんですが。これは協賛ということで、まあそのスポンサーになっていただくことになるわけですが、広告の予算の都合で1本が何千円とかいうわけにはいかんのでその」。
 いくらかはっきり言わんかねと思うてたら、1本25000円やという。私がお商売でもしてたらそれはそれで広告料として出すやろし、本の1冊でも出してたらこの際やから宣伝しとくかと金も出すかもしれんけど。今の境遇ではそこまでするメリットはあらへんからね。ちょっと出せんと断る。それでも先方は断られるのは覚悟してたようで、そこでがちゃんと電話を切るというようなこともなく、特集記事がいつ頃出るかというような話を続けてから、きちんとあいさつして切った。
 母校への帰属意識というところをつつくという商法はあれこれあるけど、これは割とましな方やないかね。3月22〜24日あたりに掲載予定とか。残念ながら最寄り駅の売店でその日に産経新聞を買うても、大阪版やからその記事は載ってないなあ。その記事だけ手に入れるという方法はないもんかね。もしここを読んでる京都の方でその記事を手に入れられるという方がいてはったら、ご一報くださればありがたいんですが。

3月12日(金)

 郵便局に行って、落語家切手を買う。山藤章二の絵で東西の名人に得意ネタの登場人物のスタイルをさせたもの。
 我らが桂米朝師匠は「百年目」。帳場で煙管を持った米朝師匠が大福帳を開いて座っている。ちゅうことは、大旦那が番頭に説教をする場面で「あれから帰って帳面を調べさせてもろたけどな、きれいなもんや。手をつけた様子はない」というようなことを言うてるところか。米朝師匠に「百年目」を持ってくるとこなんか、なかなか渋いなあ。「地獄八景亡者戯」「たちぎれ線香」というような線もあると思うんやけど。
 ほかの噺家は「古今亭志ん生の火焔太鼓」「桂文楽の船徳」「三遊亭圓生の小言幸兵衛」「柳家小さんの時そば」というラインナップ。それぞれ2枚ずつ都合10枚が1シートに入ってる。
 残念なんは上方落語が米朝師匠だけということ。ぜひこの企画が当たって、第2弾、第3弾が出てほしい。その時は「笑福亭松鶴のらくだ」「桂春團治の野崎」「桂文枝の天王寺詣り」というような図柄を見たい。米朝師匠が入ったんやから、「上方落語四天王」はぜひ揃えてほしいもんです。ほかには「桂枝雀の鷺とり」もほしいなあ。
 なんですて、その噺家やったらもっとほかの噺があるやろう、てか。そらそうや。ただ、私はこの図柄が見たいの! というだけのことです。
 そやけど、こと落語家ということになると東京落語の噺家がまず来るなあ。今回のラインナップは納得できる線ではあるけど、もう1枚、六代目松鶴も入れてほしかったなあ。

3月13日(土)

 ユーディ・メニューインの訃報に接する。いうたかて、何もんやそいつはと言われるのがおちか。元ヴァイオリニストで晩年は指揮者として活躍した人。享年82。若いころは大指揮者フルトヴェングラーやワルターと協演し、指揮者としてもここ数年の間にベートーヴェンやシューベルトの交響曲全曲を録音したりと旺盛な指揮活動をしてた。フルトヴェングラーといっしょに演奏したといういわば歴史の証人がまた一人亡くなった。残念です。メニューインについてはまたいずれ「鼻歌クラシック」に書くことにしよう。とにかく、謹んで哀悼の意を表します。

 グリコのアーモンドチョコについてるバーコードを2枚集めて送ると抽選で鞄がもらえるというので送ったら、鞄はこないでハガキが送られてきた。はずれましたという通知のハガキかいなと思うたら、こんなことが書いてある。
「応募していただいたお礼に、この『反町隆史スペシャルサンクスカード』をお送りさせていただきます」。
 二つ折りになってるんで開いたら、モノクロ写真で反町隆史のポートレート。
「こんにちは、反町です。
 グリコアーモンドチョコレートのCM、もう見てくれた?
(中略)
 みんなも『カリッといこうぜ!』」。
 なんやなんやこれは。こんなもん送ってこんでもええ。鞄をくれ鞄を。別に反町隆史のサインなんか入ってへんでもかまへんから。こんなカードをもろて誰が嬉しい。反町のファンかてこんなんもろてもそない嬉しないんと違うか。
 こんなんに経費をかけんと製品の値下げでもしなさい。それともよほど儲かってるんか、江崎グリコ。あれこれ懸賞には応募してきたけど、こんなもんもろたんは初めてやね。何を考えている江崎グリコ。
 なすびとかいうタレントはこの懸賞に応募したんやろか。「進ぬ電波少年」とかいう番組は全然見てへんからよう知らんけど、なすびもこのハガキをもろたんやろか。などといらんことまで考えてしまうのであった。

3月14日(日)

 卒業式前後は忙しくてへろへろになってたり、気が抜けてどっと疲れがでたりしてて本がまともに読めへんかったけど、この土日でかなりまとめて読んだ。それから、コンピュータで花札のゲームをしょっちゅうしてる。この花札のゲームはかなりずるいやつでこっちがええ札をとってても間を縫うように大きい手を作ってこっちはボロ負けしてしまう。ええいくそこんないかさま野郎に負けてたまるかとこっちもムキになってゲームを続けたりする。
 そんなことをしててふと思うたけど、私はきっと博打にはまったらぼろぼろになっても「勝つまでやるんや、おらおら、もういっちょう」てな具合に熱くなってオケラになり、財産をすってしまうというようなタイプと違うやろか。自分でそれがわかってるから、博打には手を出さんようにしてるんかもしれん。
 パチンコは、学生時代につれに誘われていったものの、全然穴に入らんのでこんなアホらしいもんに金を使うてられるかとそれ以来やってない。競馬は父が好きで馬券を買うてるのを見てたから、これも割にあわんとやってない。競輪にはもともと興味がない。競艇は遠いので行く気にならん。麻雀は好きやけど、点棒の計算がでけへんので何も賭けへん。宝くじは母がよく買うているのを見て、まず当たるもんやないと知った。買わな当たらんとはよく言うが、買うても当たらん。
 そのぶん本とCDに金を使うてるわけで、これがまあ博打みたいなもんですわ。買うたはええけど読んでみたら破って燃やして灰になったやつをそこらじゅうにまき散らしたくなるというようなもんに当たったりするからね。面白いか面白ないか読んでみんとわからんというのは一種の博打ですな。
 それどころか、教職採用試験を7回も受けたというのは、これは年に1度の大博打やったなあと思う。なんとか最後に大当たりして教職についてるわけやけど、これこそ人生を賭けた大博打ですわ。
 てなことをいうてたら、妻が「結婚も博打やわ」と言う。おお、それはそうやね。しかもこの博打、棺桶に入るまで結果がわからん。
 書評の話が初めてきたときに受けたのも、今思うと博打やったか。これもものかきになるというのに賭けて成功したんか失敗したんか、まだ結果はでとらんね。

3月15日(月)

 知事選挙が近いというんで郵便受けにビラがちょこちょこ入るようになってきた。横山ノック知事のビラ、ではありません。対立候補の鰺坂真関西大学教授のビラばっかし。
 東京は有象無象が10人以上も立候補宣言をしてるというのに、大阪は2人だけですわ。おもろない。だいたい4年前、ノック知事が当選したときかてそやった。現職知事の後継者と共産党推薦という毎度おなじみの故紙回収車にでもくれてやりたいようなパターンやったところへノック師匠がいきなり立候補したんだ。おおこらおもろい、祭りじゃ祭りじゃと投票した人が多かったから、ノック知事は当選したわけね。大阪の人はおもろかったらええやないかというとこがあるからね。
 ところが、今回は4党相乗りとかいう候補が誰もいてへん。最初からノック知事が当選するのに候補をたてたら損やという、そういうことらしい。アホと違うか。なんでも無党派層の票はすべてノック知事にいくそうな。
 「無党派層」というのは前から気になってた言葉ですわ。つまり、特定の支持政党のないその時その時の気分で投票する相手を決める人たちのことをいうんでしょう。それ「
浮動票」のことと違うの。昔は組織がちがちの選挙をやっとったら勝てたけど、今は浮動票が増えすぎて票が読まれへん、それを恐れてるいうことかいな。なんか柳の下に幽霊がいると思いこんで勝手に恐がってるみたいやね。
 今度の選挙はおもろない。たぶん大阪の投票率はがくんと落ちると思うよ。浮動票はみんな棄権してしもて組織で固まった鰺坂教授の得票率が上がるんと違うかな。
 無党派層やなんてきれいな言葉を使うてるけど、要は浮動票をとれるだけの自信がないということやろ。また、鰺坂教授の陣営も「無党派層と手を組んで」とかビラに書いてるけど、浮動票とどないして手を組むんですか。「わしらは無党派だ」と徒党を組んでる人たちがいるみたいやないですか。
 無党派という語感、私にはなんか違和感があるなあ。

3月16日(火)

 野尻抱介さんよりメールが来て、何かよからぬ集まりをたくらんでおられるのでうひひひと参加することにした。どんな集まりかというのは、いずれ書く。うひひひひ。

 3月3日の日記にも書いたように、私は「だんご三兄弟」という歌は傑作やと思うてるし、大好きや。そやけど、2週間で300万枚も売れたとかいわれると、そこまで売れる曲かなあというようにも思う。こういう曲はひそかに人気になり、いつの間にかスタンダードとして定着してほしいと思うんやけど、このままいくと「ああ、あの曲はやったなあ」「なんであんなにはやったんかなあ」というような存在になってしまうと思う。
 皆川おさむを今さら引っぱり出してきてカヴァーヴァージョンを歌わせ、しかもそれに「黒猫のタンゴ」を復刻してカップリングするというから驚くやらあきれるやら。せっかく市井のいちグラフィックデザイナーとしてひっそりと生きてる人を巻き込むかなあ、実際。もっとも皆川氏はOKを出したそうで、本人にやる気があるんやったら別に私がとやかく言うべきことやないんやけど。まあ、皆川氏にしたら軽いお遊び気分なんやろうと思うが。レコード会社は強気で最初に100万枚もプレスするとか。そんなに売れると思うてるんやろか。
 私は買うかもしれん。実はぼやきつつもそういう遊びは好きなんです。レコード会社も本気やなしにお遊び気分で出すぐらいやったら、私かて「わはは、それおもろい」と支持する。そやけど、スポーツ新聞の記事を読むとけっこう本気みたいで、そうなると「なにを考えてるねん」とぼやきたくなるね。お遊びはあくまでお遊びとしてやってほしい。ついでに新曲「黒猫のダンゴ」という「恋のぼんちシート」みたいな曲を作るとか。「たいやき三兄弟」を作るとか。ああしょうもなと開いた口がふさがらなくなるようなものを作ってくれれば、私も素直に面白がれるのに。芸がないぞ。

3月17日(水)

 書きとうてうずうずしてるのに、封印しているネタがある。
 プロ野球阪神タイガースのネタだ。
 浮かれたらあかん、文句を言うたらあかん、シーズンが始まるまで静観しとくんやと心に決め、昨年10月以来書かんときている。
 ところが、大阪のスポーツ紙は野村監督就任以来やれくしゃみしたの鼻をほじくったのと一挙一動を微にいり細を穿つように報道する。毎日毎日ノムさんのアップばっかり見せられてええかげん見飽きた。オープン戦が始まって、やっと選手中心の紙面になってきてほっとしてるのに、今度は書店にタイガース関係のグラフ誌が並びはじめた。これがまたノムさんの写真ばっかり。
 だいたい「サンケイスポーツ」は毎年その手のグラフ誌を出している。「優勝祈念号」というタイトルのものが毎年出てて「今年もあかんで」と思うてても、つい期待させる罪なもの。そのサンスポ、今年はタイトルを「がんばれタイガース! 野村阪神優勝や!」と変えた。「祈念」どころやあらへんがな。「優勝や!」と断定しとる。そらないで。中身はというと板東英二の監督インタビューに野村克也ヒストリー、ダンカン、松村邦洋、山田雅人、千秋、泉ピン子、橋田寿賀子の虎キチ座談会など。
 で、「優勝祈念号」というグラフ誌はどこが出してるかというと、なんとあのベースボールマガジン社。「週刊ベースボール」ではタイガースが何をやってもボロカスに書くくせに、売れるとなったらなんでもやるのだ。こちらにも野村克也ヒストリーが掲載されてる。私、野村監督の生い立ちについてごっつ詳しくなりました。嬉しいのは過去の名選手や優勝したシーズンの記録などが充実してるところ。なんとベースボールマガジン社はA5判のムックで「猛虎伝説」というのも出してる。いったいどないしたんや。社長でも代わったんか。
 今日本屋に行ったら、なんと朝日新聞社まで「アサヒグラフ特別増刊 阪神日本一大予言」というとんでもないタイトルのを出してる。やめてくれ、今年は最下位やなかったらそいでええねん。優勝やとか日本一やとか今から書きたてんといてくれ。
 ところで、これらを読んでると、たいてい川藤かダンカンが顔を出してる。できたら吉田、藤田、中村、安藤といった歴代監督にコメントさせるとか、ほかにアイデアはなかったんか。同じような記事ばっかり読まされて、飽きてきたぞ。
 それやったら買わへんかったらええてか。わかってるがな。わかってても買うてしまうんやがな。どないもならん。さてさて、この手の雑誌、あと何冊ぐらいでるんかなあ。また本屋でみたら買うんやろなあ。

3月18日(木)

 今日は入学検査の日で一日忙しかった。養護学校の場合、入学検査というても試験で落とすことはなくて出願したら入れる。そしたらなんで試験みたいなことをするかというと新入生の障害の程度がどのくらいか調べて学級編成やカリキュラム編成の参考にするためとまあそういうことです。なにしろ言葉を扱うことのできない生徒から就職可能な軽度の傷害の生徒まで入学してくるわけやから、その程度をある程度把握しておかんといきなりなんもなしで受け入れるとえらいことになる。
 一人の教師が1〜3人の生徒に半日びったりついて一人で着替えができるかトイレに行けるか食事ができるか計算ができるか字が読めるか書けるかひもを結べるか逐一記録しておかんといかんので、生徒が帰ったらそれだけでぐったり。そのあと残って新年度のクラス編成。リーダーになるのはどの生徒か予測したり障害の重い生徒が一つのクラスにかたよらんようにしたり半日見ただけでわかるわけがないんやけどそこをなんとかやってしまわんならんので、これもまたしんどい。
 で、ちゃんとバランスをとってクラス編成をしたつもりでも実際に新学期になったらクラスごとになんかかたよりが出てしまったりするんやね、これが。
 それにしてもつい1週間前に卒業生を送り出したと思うたらもう新入生の試験か。なんか気ぜわしいなあ。毎年のこととはいえ、しんどい季節ですわ。

3月19日(金)

 なんと「プレジデント」までタイガースの特集を組んでるぞ。何を考えてんねん。もうあおるのはやめてよ。

 急に暑うなったかと思うとまた急に冷えてきて、この季節には当たり前のことやけどこう極端やとホメオスタシスの調子がおかしいになって体がだるうてだるうてたまらんわい。
 おまけに目はかゆい鼻水は出る。おかしいな。私は確かにアレルギー体質ではあるけど、検査の結果ではアレルゲンはハウスダストで花粉症やなかったはずやのにな。いつ検査したかというと8年ほど前のことやね。ああそうか、花粉症というのはある年突然でたりするんですか。検査し直してみたらわかるな。
 そやけど、体がだるいんで病院に行くのもしんどい。ああそうか、しんどいから病院に行かんならんのか。
 もう仕事が忙しいて私の頭はオーバーフローしてもうてなにがなんやらさっぱりわからずわてほんまによう言わんわ。日記のネタも思いつかん。こういうときは妻ネタだ。今晩はロールキャベツを作ってくれました。なにやら白い細かいもんがかかってる。これ豆腐かときいたら一言「ヨーグルト」。そらそうや。ロールキャベツに豆腐をかけて食うことはないわな。やっぱり頭がオーバーフローして働かんのだ。このままやったらなんかものすごいチョンボをしそうやね。ああ怖い怖い。

 明日は所用で遅くなるので次回更新は21日の深夜の予定です。21日は「たちよみの会」です。近辺の方はのぞいてみて下さい。


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