ぼやき日記


6月11日(土)

 どうにも体が重い。家に帰ったらついごろごろだらだらしてしまう。体温をはかっても、特に熱があるわけやない。鼻の調子もそれほど悪くないから、アレルギーとも違うみたいやし。なんでこんなにだるいんかなあ。
 で、この前ちょっと前屈したりブリッジしてみたりしたら、背筋が引きつって痛い。つまり単なる運動不足やったんですね。
 以前は朝起きたらラジオ体操を軽くやってから食事をしたりしてたんや。いつからせんようになったかな。ここ2年ほどしてないぞ。
 おかしいなあ、その分、朝、時間に余裕ができてなおかしいのに。ああそうか。ラジオ体操をやめた分の時間は、コンピュータを立ち上げてメールのチェックをしたりいつも見るホームページを巡回したりしてるぞ。つまり、体を少しでも動かしてた分をモニタの前で縮こまっているのであった。そら筋肉もかちかちになるはずじゃ。
 ラジオ体操というのは、けっこう体を動かすよ。どんな運動でもたいてい腕をぶらぶらと動かしてるから、肩の筋肉も多少はほぐれるし。
 もう少し早起きしてラジオ体操復活させようか。そのためには夜更かしをやめて早寝をせんといかんね。そのためには寝る前にインターネットに接続する時間も短くせんといかんね。この日記もくだらんことをだらだらと書いてて時間がかかるわけやから、もっと簡潔に過不足のない達意の文章でかかないかんね。
 タイガースの試合を見ているときはずっと投手や打者に合わせてモーションの真似をするとかしたらかなりの運動量になるぞ。ただし、妻がアイロンがけをしている横でしてはいかんね。足がアイロン台にひっかかっりたなんかしたらたいへんなことになる。
 待てよ、そしたら私はいつ本を読めばいいのだ。今でも読書時間の捻出に苦労をしているというのに。
 部屋の中をうろうろ歩き回りながら本を読むというのはどうやろう。それやったらただの迷惑なおっさんか。
 学校の休憩時間にちょっとでも体操するというところから始めるべきやね。本格的に夏バテする前になんとかせないかんな。

 今日も簡潔で過不足のない達意の文章とはほど遠いものになってしまいました。

6月12日(土)

 昼寝をしていて、妻に起こされる。
「5時30分やよ」。
 なんですてえ。
 今日は
「日本芸能再発見の会」の例会。場所は心斎橋。開場は5時30分で開演が6時ちょうど。間に合わへんやないかあ。今日は林家染丸師匠が寄席囃子の話をするんや。前々から楽しみにしてたんや。何を置いても行きたいんや。
 これは私の失策。妻に「4時に起こしてね」とも言うてないし、目覚まし時計もセットしてない。
 ここから後の行動は迅速でしたな。心斎橋への最短のコースは門真南駅から地下鉄に乗ったらええ。ただし、直通のバスはあるけど本数は少ない。原チャリでいくという手もあるが、一度もその駅に行ったことがないから最短コースもわからんし、単車置き場もどこにあるか知らん。で、手段は選んでられん。幸いタクシー乗り場が家の近くにある。タクシー、地下鉄と乗り継いで、午後6時10分、会場に滑り込む。ちょうど話が始まったところ。話の前振りをしてる。ああよかった。一時はどうなることかと思うた。
 例会が終わって家に帰ったら、まだタイガースは試合をしてるやないですか。なんと午後10時45分までかけて、最後は新庄が敬遠のボール球を打ってサヨナラ勝ち! 実は例会があるから試合をTVで見るのはあきらめてたんです。こちらも間に合うてよかったよかった。
 というわけで、今日は間に合わんと思うてたところを2つも間に合うてごっつええ気分。
 ブラボー!

6月13日(日)

 アメリカ人というのはおもろいね。
 大リーグ、ニューヨーク・メッツのボビー・ヴァレンタイン監督というと、数年前に日本の千葉ロッテマリーンズの監督をやって積極的な采配で人気のあった人。このおっさん、審判に退場を食らうたらいっぺん引っ込んで、サングラスにつけひげという出で立ちで再度ダッグアウトに入ったんですな。
 もちろんルールではどんな変装をしようと退場を食らうた監督、コーチ、選手がもう一度ダッグアウトに入ったらあかん。なんでもロッカールームで変装したら選手に受けたんで調子に乗ってそのままダッグアウトに行って「おれ、ヴァレンタインじゃないよ」とやったそうです。しかしこれ、シャレのきついいたずらやね。
 ただ残念なんは、そういういたずらをした上でちゃんと処分を受けたらええのに、「おれはダッグアウトには入っていない。通路までしか行かなかった」とだだをこねたことやね。処分は処分、いたずらはいたずらと割り切らんと、後味が悪いな。
 もっとおもろいのは、次の日の試合に子どもたちがサングラスとつけひげをして観戦に来て「ボビー・V・ファンクラブ」と書いた紙をもって応援してるところやね。きみらは子どもやのに、ようわかってるやんかというところかな。
 大阪の球団やったらこういうギャグは大笑いで受け流してもらえるかもしれへんよ。やるとしたらブルーウェイブの仰木監督あたりかな。あの人は見るからに粋やから、どんなしょうもないボケをかましてもけっこうさまになりそうやね。ブルーウェイブも最近パッとせんから、仰木さんここらでなんか一発やってくれへんかな。

6月14日(月)

 東京創元社より「火星シリーズ合本第1集」をいただく。
 何が嬉しいというて、武部本一郎画伯の美麗挿画が全点収録されていることやね。本巻は「火星のプリンセス」「火星の女神イサス」「火星の大元帥カーター」の3冊を1冊にまとめてるんやけれど、表紙の「火星のプリンセス」のデジャー・ソリスが何ともたおやかというのが、よろしいな。
 口絵も3冊分全て収録。他2冊の表紙もちゃんと口絵に入れてある。「火星シリーズ」のファンというのはたいていは武部画伯の挿絵のファンであるということを十分にわかってるね。
 で、感じたことやけど、画家による挿絵というのは、こうやって改めて見ると、実に味わいのあるものやということだ。最近の「イラスト」つきのものとはまた違う。
 だいたいヤングアダルト文庫の「イラスト」は漫画家やアニメーターの方が描くのが主流やね。レイアウトやなんかはいわゆる画家の絵とは違う。スクリーントーンを使用しているかどうかというとこらあたりも、絵が与える雰囲気に大きく影響しているね。
 強いていえば画家の挿絵は一枚絵、漫画家のイラストは一コマを抜き出したようなもの、というてもええかもしれん。
 どちらがよい、というわけではない。漫画家の絵がいいものもあれば、画家の絵がいいものもある。ただ、文化の違い、性質の違いというものが強く感じられる、ということですわ。
 漫画やったら多少のデッサンの狂いは大目に見られるし、キャラクターの顔のアップばっかりでもそれはそれでいい。そやけど、画家の挿絵ではそれは(私としては)許されへんというようなところがある。逆に、画家の挿絵の場合、細部はかすれ筆なんかでごまかしててもそれほど気にはならん。
 それはともかく武部画伯の絵はほんまによろしい。これは、私が「少年少女世界の名作」というような本を幼少時に読んで育ったというのもあるかもしれんね。武部本一郎をはじめとして、梁川剛一、柳柊二、古賀亜十夫というような挿絵画家の質感のある絵がどのページにも載っている、そんな本をあきもせずに毎日読んでたんですわ。そら「本というのはこういう絵がついてるものや」というような意識が定着してもおかしくはないわね。
 そやから、今回の「火星シリーズ」の復刊は実に実に実に重要やと思う。本の「挿絵」というのは本来はこういうものやったんやということを若い読者に認識していただけるのやないかという期待を、ほんの少しやけどもってしまうんだ。

6月15日(火)

 牛がいる。麦藁帽をかぶった農民がいる。牛が農民になにやら説教をする。ただそれだけなのに、妙におかしい。ここでは村(ソン)と呼ばれる風景も牛も農民もただの記号に過ぎない。意表をつくアップ。口からとぶ唾のしぶき。口からストロボ写真のように舌が描き並べられる。単純な線がいかに雄弁で躍動的であるかということを知った。ナンセンスのセンスとはいったいどういうことかということを知った。
 牽強付会かもしれんが、手塚治虫がヒョウタンツギやオムカエデゴンス(スパイダー)、ママーなどのナンセンスなキャラクターだけで漫画を描いたとしたら、いったいどのようなものが生まれていたか、その解答の一つがその漫画やったのと違うやろうか。
 谷岡ヤスジ死す。享年56。最後まで円熟という言葉とは無縁で終わった希有な存在やった。しかし、ギャグ漫画というのは、命を削るようにして描くもんなんやなあと、そう思わずにはいられない。でも、まだ死ぬ年と違うよ。ショックやったなあ。
 謹んで哀悼の意を表します。

6月16日(水)

 蒸し暑いねえ。早くも夏バテですわ。こういう時はナイターを見てタイガースが勝つと気分がスカッとするんやけどね。
 ところが今日はTV中継がない。甲子園のゲームやったらUHFのサンテレビがほとんどカバーしてるんやけど、今日は広島市民球場やから、ぜいたくはいわれへん。昨日はテレビ大阪が中継してたけど、サンテレビと違うて試合終了まではやってくれへんかったから、最後のええとこはラジオで聞いてた。アナウンサーは当然広島の放送局が担当してる。ところが、タイガースが逆転したらえらい興奮してる。まるで大阪の放送局のアナウンサーみたい。桧山がホームラン性の打球をもぎ取ったときにも「取ったか入ったか取ったのか取ったのか入ったのか取ったのか?……取った取った取ったあああ!」とカープがホームランを損したのにえらい嬉しそうだ。
 で、今日、ラジオを聞いてたら、試合前にスタジオと球場をつないでその裏話をしている。実はそのアナウンサーは関西の出身で、広島の放送局にいるから広島ではカープ党やけど実家に帰ったらタイガースを……ということやそうです。
 アナウンサーの入社試験かてそうかんたんやないやろうから、アナウンサー志望の人たちは全国いろんなところの放送局を受けるやろうしね。そうなると関西の人が東北に行ったり東京の人が大阪に来たりというようなこともあるよね(大阪の朝日放送で高校野球の中継を長年担当した植草貞夫アナウンサーは東京は葛飾柴又の出身というのはけっこう有名)。
 そうなると日本テレビのアナウンサーでも実はタイガースファンかもしれへんし、東海テレビに所属しながら心はジャイアンツなんちゅう人もいるかもしれん。そう思うと、ロードの試合の中継を聞いて、そのアナウンサーが実はどこのファンかというのを実況の調子から推理するというのも面白いね。他球場の経過を知らせているときに「4−0でダイエーがリードしています」という時の声がやけに明るい、ははあ、この人はホークスのファンや! なんてね。

6月17日(木)

 昨夜は午前1時頃に布団にもぐりこんで妻から「いつもより早く寝られるねえ」などと冷やかされておったのに、ついついさる人物の悪口を妻と二人でえんえんしゃべってしまい気がついたら2時30分やおまへんか。こらいかんと寝たのはええんやけど、半ズボンのパジャマをはいて寝てたせいか足をやたらと蚊に咬まれてかゆいのなんの、目がさめたら3時30分頃や。妻がベランダから取ってきてくれたアロエを塗りつけてかゆみは治まったけど、そこからまたすぐには寝られへんのや。そのうちにまた蚊が出てきて今度は土踏まずを咬みよるんだ。これがまたかゆいかゆい。頭がおかしなるんと違うかというほどかゆい。またまたアロエを塗りつけてもっぺん寝たのが4時頃や。うつうつとしてたら目覚まし時計がなって起きたんが6時15分。完全に寝不足。
 あんた寝不足でプールになんか入るもんと違いまっせ。仕事やから入らなしゃあないけど、それまで曇ってたのがなんやしらん私らが入るときに限って晴れてくるんやで。その上風が強いからプールから出たら直射日光に当たって背中は熱いのに風で気化熱が奪われて全体は寒いという、これ拷問と違うか。
 帰りにどうしても今日やないと間にあわん用があって梅田に寄ったりして地下街をうろうろうろうろ歩きまわって、ああしんどいだるいえらい。今日は早う寝るぞ。体に悪いのはわかってるけど蚊取り線香三本くらいいっぺんにつけたら蚊も咬みよらんやろう。しっかり寝んともうたまらん。
 ほんまに、人の悪口は言うもんやおまへんで。えらい目におうたわい。

6月18日(金)

 作家の林譲治さんと会食。居酒屋で例によって架空戦記の新ネタの話をしていると、いきなりミニスカートのお姉さんが話しかけてくる。若い女性から声をかけてくれるなんてなんと幸運なことと思うと、彼女はたばこの試供品を差し出して立て板に水で口上を述べ始める。相槌を打つ間もあらへん。えらい長いこと説明をしてくれた。どんな説明やったかというと、つまりその早い話が新製品のたばこはタールが少ないというようなことやったと思う。私の手元にあるたばこを確認してから説明を始めたんやけど、私がすうてるのは「ホープライト」という比較的重いたばこ。そんなたばこを持ってるものに軽いたばこをすすめるか。お姉さんは一気に説明を終えると私に試供品を手渡し、「スモーキンクリーンキャンペーンです」と言うてポケット灰皿もくれた。
 居酒屋で酔っぱらいにからまれたらどないするのやろと思うてたら、入り口のところにいかにも客ではありませんという感じの背広姿の男性が2人突っ立ってそのお姉さんをじっと見ている。いざというときはその人たちが登場するんでしょうな。
 その後カラオケボックスへ。歌いはしません。以前職場の宴会の二次会で見つけた歌をBGMにアホな話の続きをしようという趣向。その歌はしらん人が聞いたら翌日から私を見る目が変わるような歌で、その時はリクエストでけへんかった。今日はいい機会やからその歌を入れてやろうと、まあこういうわけ。林さんも「ええーっ。それはぜひ聞きたい」と言うてくれはったんで喜び勇んでカラオケ屋さんに。入るなり数字を打ち込む。
「死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね、死んじまえ〜」。
 そう、「レインボーマン」の「死ね死ね団の歌」であります。他にも「コンドールマン」やの「スターウルフ」やの「アイアンキング」やの「サンダーマスク」やのそんな歌ばっかり入れて歌詞を見ながら感想を述べあうという私らなにしにカラオケ屋さんに行ったんやというようなことで、実に楽しかった。しかし「セガ」は何を考えてこんな曲をリストに入れてるのやら。

6月19日(土)

 いつも通っている京都の医者に行く途中、四条京阪の駅で漫画家のおがわさとしくんにばったり出会う。時間があったらもう少しゆっくり話もしたかったんやけど、残念ながら駅の構内でありましたのでちょいと立ち話程度。
 彼の話によると、京都駅の南北をつなぐ地下通路にポスターが貼ってあるけど、なんとその中に小松崎茂の絵を使ったポスターがあるらしい。それも、サインには99という数字がふってあったというから、最新作や。まだまだ現役やねんね。京都駅に行く機会があれば見てみたいけど、まさかそこにしかそのポスターは貼ってないということもないやろうから、どこか近くにないか探してみたいな。
 おがわくんの話によると、描かれているロボットのデザインとか、なかなかすごいらしい。ポスターを制作した代理店によほど好きなお方がいらっしゃるんやろうね。わざわざ小松崎さんに新作を依頼するというんやから。自分が企画の中心になるような年齢に達したときに、子どものころに心躍らせた画家、作家、役者、芸人というような人たちが現役であるというのは、なんというか嬉しいことやろうね。よう間に合うてくれたというような、そんな感じかもしれへん。
 私の場合は物書きというてもたかがしれてるから、そういう経験というのはないんやけれど、それでも自分の書いた童話が掲載された雑誌の同じ号の目次に長新太さんの名前があったりしたのは感慨深いものがあったなあ。自分の書いた話に絵をつけてもろうたわけやないけど。「同じ雑誌の目次に同じ大きさの文字であの長新太と私の名前が書かれている!」。そらもうなんというてええやら。また、長さんとは新人賞の授賞式でお話をさせてもろうたわけで、同じ部屋にいて同じ空気を吸っているということが信じられへんだなあ。
 ちょっと話がそれたけど、ポスターを制作した人もきっと感慨深かったやろうと、勝手に決めつけてしまおう。どんなポスターか、ぜひ見てみたいなあ。やっぱり京都駅に行かんとあかんかなあ。

 明日は「たちよみの会」。毎回書きますが、よければ一度のぞきに来てみて下さいね。

6月20日(日)

 本日は「たちよみの会」細井威男さん、会員Y氏、かつきよしひろさんとそろったところで野球の話ばっかり。なんといってもホークスの快進撃で、ファンのかつきさんがうらやましい。ところが、かつきさん曰く「喜び方がわからないんですよ」。ふむふむ。南海ホークス時代から数えても四半世紀優勝のないチームでありますから。また、昨年Aクラスに入ったけどそれが20年ぶりやとか、そんな話題しかなかったわけやからね。「貯金が10あるなんて、初めてですからねえ」。にこにこしながらそんなことを言う。嬉しいんやねえ。それにひきかえタイガースは……それは言うたらいかん言うたらいかん。
「今年はダイエー優勝やで」「なんでや」「球団社長が死んだ」「タイガースが優勝したときも確かに球団社長は死んだけどなあ」この理屈でいくと優勝するチームは毎年球団社長が死ななならんやないか。
 とにかくまあ、野球の話ばっかりしている。そこへ京大SF研岡田さんと漫画家のおがわさとしくんがやってきて、やっと本の話になった。だいたい本と関係のない話をしだすのは私とY氏。そんな我々に若い人たちがよくまあ合わせてくれるものよと感謝している。
 新聞の懸賞で当たったといってY氏は「タイガース田中秀太選手愛用の手袋」を見せてくれた。愛用の手袋にしてはきれいなもんや。「今はこれと違う白い手袋をしてるんや。いらんから懸賞に出したんと違うか」とY氏。まあええやないの。ちゃんと”Shuta”と刺繍してあるんやから。
 こんな話ばかり書いてたらいったい何の会かわからんな。ちゃんと本の話もしてます。それが例会終了後の夕食の時やったりするのが難点かもしれへんけど。


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