ぼやき日記


7月21日(水)

 7月16日の日記で書いた左足の親指の怪我ですが、痛みは完全になくなりました。ただ、爪の内出血はその周辺に広がり、赤黒いところは鬱血してふくれてる。爪が浮き上がった感じになってるんだ。数日前まで痛かったから触ることなど考えもおよばんかったけど、痛みがなくなると、ちょっと触ってみたくなる。
 指で浮いてるところを押してみる。なんかこの、ぷにゅぷにゅと柔らかい。うへへ、こらおもろい。ぷにゅぷにゅぷにゅ。おほっ、跳ね返してきよる。ははは、おもろいおもろい。
 いやいや遊んでる場合やない。下手に触ると爪一枚きれいにはがれそうな感じやね。このままほっといてはいかんのやろうね。鬱血している部分が壊死してしまうかもしれん。となると、指を切断せんならんということもあり得る。そらあかん! 嫌! かなん!。
 そろそろ1週間になることやし、医者に行って診てもろうた方がええやろう。もしかしたら「爪ははがした方がいいですね」などと言われそうやなあ。それはしかたないかなあ。
 しかしこの、みごとに爪が浮いてるなあ。色の赤黒いのも実に気持ち悪いなあ。写真にとってこのページにはりつけといたろかと一瞬思うたけど、人格を疑われそうなのでやめにする。でも自分が怪我したら、そこを人に見せたくなりませんか。そんなん私だけですか。

7月22日(木)

 通勤時に毎日通る道の途中に古本屋ができた。コミックス主体のこぎれいな大型の古本屋で、今どきはこういう感じの古本屋が多いみたいやね。チェーン展開をしているところもあるし。
 で、開店からしばらくしてからのぞいてみる。コミックスの前巻揃いで安いのが出てないかと思うて行ったんやけど、一般書籍の100円コーナーで「鶴書房」のジュブナイルSFシリーズを何冊かみつけたんで、ついそちらを買う。あまり古本屋に行かんのでここらあたりの相場はようわからんのやけれど、「なぞの転校生」(眉村卓)「時をかける少女」(筒井康隆)「人類のあけぼの号」(内田庶)というラインナップやったらこの3冊で300円は安いか高いかどちらでしょう。くわしい方は教えて下さい。ほんまはこのシリーズやったら「続・タイムトラベラー」(石山透)がほしいんやけど、これはもともとが部数がでてなかったんかしらん、あまり見ないねえ。
 こういう古本屋はマニュアルがあって、それで値を付けるということをきいた。そやから、バカにせんと時々足を運ぶと意外な本が自分が考えた値段より安くで手にはいることがある。それから、文芸書でも実用書でもジュニア小説でもエロ本でもちゃんと整理して並べてくれてあるから、ヤングアダルトの絶版本で読んでみたかったのが手にはいるということもあるから、やっぱりバカにはでけへんね。実際、私はここで「おお!」と声をあげてあるジュニア小説の文庫を何冊か買うた。まあ、運が良かったら、という感じでまたのぞいてみよう。

7月23日(金)

 夕刊を読んでたら、「最近、関西で『冷コー』という言葉が死語になりつつある」というような記事があって笑うてしもうた。今日はわけのわからんハイジャックやら現金輸送車襲撃というようなでかいニュースがあって記事のネタに困ることはあるまいに。緊迫感あふれる記事の間にこういう呑気な記事がはさまっておるところがなんか面白い。「緊張と緩和」の好例かもしれんね。
 アイスコーヒーという言葉が関西でも一般化してることなんか、周知の事実やと思うてましたけどねえ。なんで今さら記事にするのかようわからん。私も以前は「アイスコーヒー」という言葉は意地でも使わんと「冷コー」と注文してた。ところが、チェーン店の喫茶店が増えてきて、若いアルバイトに「冷コー」というても通じんようになってきたんで、いちいち言い直すのもめんどうやということもあって、最近は「アイス」というように言う。
 私が高校生の頃、というとざっと20年ほど前のことになるけど、京都のたいていの喫茶店のメニューには「コールコーヒー」という表記がされておったという記憶がある。特にお年寄りのマスターのいるところなんかはそうやった。多分そのころからやと思うけど、夏になったら喫茶店に「愛すコーヒー」というポスターが毎年のように貼られるようになった。そこらあたりからかなあ、喫茶店のメニューに「アイスコーヒー」が増えてきたんは。あのキャンペーンはいったい何やったのか、いまだにようわからへんのやけど。私は、これはもう完全に東京文化の侵略やと思うたね。なに関西の喫茶店はそんな戦略に負けるわけはないわいとその時分は考えたけど、これは完全に負けてしもうたね。
 大学生の頃東京に行ってつい「冷コー」と言うてしもうたこともあった。でも今はほんまに「冷コー」は使わんようになったなあ。今度喫茶店に行く機会があったら「冷コー」と注文してみるかな。まわりの客から「こいつおっさんや」と白い目で見られるかもしれんな。ちょっと悲しいな。

7月24日(土)

 今日は、妻といっしょに神戸へ。友だちがグループ展を開いているので、三ノ宮の画廊まで足を運ぶ。
 実は、妻も私もあの地震の後に神戸へ行くのは初めて。地震直後、行こうかという話をしていたんやけど、用事もないのに行くのは失礼と思い、結局行かへんかった。それ以降、なんとなく行く機会もないままに今日まできたのであります。
 グループ展では友だちと久しぶりに歓談し、実に楽しかった。
 で、その帰り、食事でもしようと地下街におりる。「なんか、新しくなって、きれいやねえ」と妻が言う。それはそうなのである。街中がいっぺんつぶれてしもうたのである。新しく立て直さんといかんかったんである。ただ単にきれいやきれいやと感心しているわけにはいかんのである。
 食事の後、手洗いに行く。妻が出てくるのを待っててふと気がついた。自分が立っている壁はどうやらもともとエレベーターのあったところやったらしいのだ。入り口のところは黒い板が貼ってあって、ボタンがあったとおぼしきところはガムテープを巻いて封をしてある。
 きれいなところからちょっとはずれると、今でもそんなものが残ってる。ひとつのものから全体を類推するのは非常に危険やということはわかってるんやけど、これが神戸の現状なんであるなあと思う。

 えらい人出が多いなあと思うたら、今日は「天神祭り」の宵宮やった。浴衣を着た若者が駅の階段を自分らの椅子みたいに思うてか占領しておる。これ女の子、浴衣を着てそんな座り方をしたら、すそが乱れるやないですか。ふだんは着物を着ないんやから、着るときは常に着物を着ている人にお行儀を教わらなあかんと思うよ。

7月26日(月)

 「S−Fマガジン」の9月号が送られてくる。そろそろ原稿〆切であるなあ。今月はまだどの本をとりあげるか全然決めてないなあ。ぼちぼち決めておかんと編集長から電話がかかってくるわなあ。どないしよう。
 それはまあそれとして、筆者の近況欄で、水玉螢之丞さんが「大阪方面出身の人の耳元で『パルナス』とささやくと、ほぼもれなく全員が歌を歌い出す」とあって、思わず私も歌ってしもうた。

 そっとかみしめてごらん。ママの暖かい心が、お口の中にしみとおーるーよー。パールナース。

 そういうたら、最近あのCMをみないなあ。というので、ネット上を検索してみたら、ここでパルナスの近況がわかった。いやなんとまあ、パルナスはもうケーキを作ってないんやそうですな。妻の実家の近くにパルナスの店があって、そこで素朴な味のパンを食べたと言うていたが、そこもとうに閉店してるらしい。今はパルナス経営の喫茶店が2ヶ所あるだけやという。
 桂米朝師匠の「はてなの茶碗」の枕に「番傘や蛇の目なんか誰も使わんで売れんもんやから、作らんようになってしもうた。かえってそれで貴重品になってびっくりするような値が付いてる」というくだりがあるけど、パルナスの宣伝もそうですな。日曜の朝の「世界名作劇場」の再放送の提供はパルナスと決まっておったのに、それがないとなると急に寂しくなってくる。「パルナスひなケーキ」にはなんでかしらん必ず「一休さん人形」がついているということまで知っていた。なんで「ひなケーキ」に「一休さん」が関係あるのか、今でも不思議に思う。私は食べたことがないんでわからんのやけど、あの宣伝のおかげで長い間「ロシアは『おとぎの国』や、『お菓子の国』や」と思いこんでしもたんですな。ないとなるとむしょうにあの宣伝を見たくなる。以前この日記で話題にした「ロバのパン」といっしょですわ。
 幸い「ロバのパン」も「パルナス」も細々とではあるけれど営業を続けてる。栄枯盛衰は世のならいではあるけれど、一企業とはいえ子どもの心に残るなにかを残しているという意味では、これらは立派な文化やと思う。
 今から25年もしたら、ちょうどわれわれくらいの年になった今の子どもたちが「たれぱんだ」の研究本を出したりしてるかもしらんね。そんなことをふと思う。あと数年したら「なめ猫」のムックが突如売れたりするかもしれへんぞ。

7月27日(火)

 お医者の先生には診てもらわなならんもんですな。7月16日の日記7月21日の日記で書いた足の指の怪我やけどね、爪が鬱血して真っ黒になってるんで先日病院に行った。これねえ、爪に穴をあけてくれはったんだ。注射器の針かなんかやと思うけど、アルコールランプで熱してこりこりこりと錐をもむみたいにね。みごと貫通したら、血がじんわり出てきたね。
「もう1ヶ所、開けときますわ」。大工さんが家をなおしてるんやないねんからね、開けときますわもないもんやけど、まあ職人仕事みたいなもんかいな。「痛いですか」。いえいえ、痛くもかゆくもござんせんよ。あの針、お医者さんの手に力が入ってぶつっと肉までいったら痛いやろうなあ。そこはそれ、プロです。うまいこと穴を開けはるねえ。
 穴から黴菌が入ったらあかんので、まだ当分は風呂にはいるときも直接濡らしたらあかへん。足をビニール袋で包んでゴムでとめて入ってます。湯船につかるときなんか、片足あげて入ってるからね。私は股関節は柔らかい方なんで風呂桶に片足つっこんで、怪我をしてる方は高々とつっぱらかしてる。人には見せられん格好やね。シンクロナイズド入浴ですか。
 しかしこの穴、いつふさがるんかな。妻が「アロンアルファでふたをしたら」と無茶なことを言う。私も負けてへんよ。「砥の粉でふさいで上からニスを塗ったらええねん」。妻もつっこむね。「ほんまにやるんやね。『ホームセンター・キッコリー』で砥の粉を買うてくるよ」。この人、ほんまに買いかねん。「砥の粉みたいなもんで埋めたら、黴菌つめこんでるようなもんやで」。
 こういう冗談が出るぐらい具合がようなって、やれやれであります。でも、まだしばらくはシンクロ入浴やろうなあ。めんどくさいなあ。

7月28日(水)

 前々から気になってたんですけどね、角川文庫のカバーの背表紙があるでしょう。4月頃からかなあ、てっぺんのところにへんなマークがつくようになりましたね。あれ、なんのマークなんでしょう。
 まじないかいなと最初は思うたんやけどね。角川文庫だけやない。角川グループであるところのメディアワークス電撃文庫にもついてる。富士見ファンタジア文庫にもついてる。
 天眼鏡でもあれば拡大してみることもできるんやけど、持ってない。目を凝らしてみたら、なんか地図みたいにも見える。角川書店のマークというと、昔から鳳凰ですわな。そやけど、それをかたどってるというわけでもないみたい。「角川」という文字を意匠化したものでもないみたい。なんだか皆目わからんのだ。
 夏のブックフェアの小冊子に書いてあるかと思うて探してみたけど、そこには何も書いてない。いったいあのマークは何をかたどっておるのか、なんで一斉にグループの文庫や新書につけるようになったんか。私一人で考えててもしかたないな。どなたかごぞんじの方がいらっしゃったら教えていただけませんか。私は角川文庫の棚を見るたびに悩んでおるのです。
 もしかしたら、世の中の人はみんな知ってるのに、知らんのは私一人ということはないやろな。ここを読んでるあなた、「こいつこんなことも知らんのか。
あほ」てなこと言うてんと教えてちょうだいな。
 なんです? ほんまにみんな知ってるの? 知らんのは私だけ?
 うわあああ。知りたい知りたいよぉ。

7月29日(木)

 昨日の日記で角川文庫のマークについて書いたら、風野春樹さんの日記でもやはりかのマークについてわからんと書いてはる。わかってないのは私だけやなかった。よかったよかった。いや喜んでいる場合やない。私は漠然とマークがついているということしか見てなかったけど、風野さんはそのマークが一冊ごとに違うということまで観察してはる。私のような雑な人間とは違うのです。しかしそこまでは気がつかなんだなあ。いったいあれはなんなんだ。

 てなことを書いてこの日記をUPしてから「てなもんや掲示板」を見たら、深井龍一郎さんという方からの書き込みがあって、あのマークは「二次元バーコード」なるものであるとのご教示をいただいた。勉強不足でそういうものがあることも知らなんだ。深井さん、どうもありがとうございます。しかし、せっかく新しいバーコードをつけてても、読みとる機械はどこまで普及してるんかな。

 髪の毛が伸びて寝起きのベートーヴェンみたいになってきたので、散髪に行く。昔から床屋政談というけれど、理容師さんの話はなかなか面白い。いろんな人の頭を刈りながら、いろんな話を聞いてるから、思いもよらんことを知ってはったりしていて、いつも楽しみにしてる。
 今日聞いた話で面白かったのは、理容師さんの専門分野の話。なんでも床屋の世界でも東京と大阪は流儀が違うんやそうだ。例えば、散髪のあとに頭を洗うてくれますね。あれが東京と大阪ではやり方が違うたそうだ。私の子ども時分は、頭を洗うときはわざわざ流しのところにいって頭を洗うてもろうたもんやけど、実はそれが大阪の流儀やそうで、最近みたいに椅子ひとつずつに洗面台がついているのとは違うたらしい。剃刀も大阪では日本刀を使うけど、東京は違うとか、あるんですな。
 理容師の学校では、大阪の学校と東京の学校では流派の違う先生が教えてるわけで、それが代々受け継がれていくということらしい。
 こういうことは、もちろん理容師さんにしたら知ってて当然のことなんやろうけど、私たちにはわかりにくい。東京に行ったときにわざわざそこで散髪してもらうということはないわけやからね。やっぱり、自分の気に入った地元の床屋さんで刈ってもらう。出張なんかで東西を往復する仕事ならともかく、私みたいに近畿圏にへばりついてる人間には、絶対わからん。
 ジャンケンの話題の時にも感じたんやけど、こういうマスメディアにのりにくいことというのは地方ごとの特色というものがちゃんと残ってるんやね。料理なんかはマスメディアの格好のネタになって、半可通がTVで喧伝されているイメージそのままを求めたりすることもあるやろうけど、散髪やとそういうことはないやろうね。髪型はかっこいいタレントのと同じにしてくれというたりするやろうけど、「ヒゲをあたるときは日本刀の剃刀にしてくれ」というような注文は普通はしませんわな。

7月30日(金)

 あすは、勤務先の学校の「夏祭り」。PTAのバザーやら障害者共同作業所の店やら生徒の店やらいろんな模擬店を出し、教職員バンドや音大生(音楽の先生の後輩)の演奏やら盛りだくさんの内容で盛り上がろうという催し。私は係にあたっていて、夏休みに入っても毎日学校に出向いては準備をしていた。夏休みの学校というのは、当たり前やけれど、静かです。生徒もおらない、教師もおらない。毎日きてるのは事務職の方たちと校長教頭といった管理職のみ。
 今日は、グランドに出てライン引き。模擬店の担当なもので、グランドに店出しをするところのために位置を決めておかねばならんのだ。また今日はええ天気ですわ。太陽はかんかんてるし風はないしで、わずか数十分しかグランドに出てなかったのに、汗びっしょり。
 だいたい私、汗かきですねん。夏はちょっと歩いただけで服がずくずくになる。かないまへんで。前にも書いたように、私、黒い服が好きなもんで、ポロシャツも黒いのを持ってるんやけど、この時期はあまり着られへん。なんでかというと、服に汗がしみこむわね、それが乾くと、塩だけが残ってしみになるんだ。みっともないよ、なんかこぼしたみたいで。なるべく白いのを着る。これやと塩はめだたんからね。
 パソコンの前に座ってキーボードを叩いてると、その上にぽたぽたと汗が落ちる。こわれたらあかんから、身を乗り出さんようにしてます。鼻の下に生やしているひげもじとっと湿ってしまう。タオルハンカチは何枚か常備してる。1枚だけやとじきにじっとりしてしまい、汗をふいてるのやら塗りつけてるのやらわからんようになるからね。
 これでまた昼飯を食いに向かいのドーナツ屋に行ったら、冷房がきいてて汗が急速に冷える。さぶイボが出る。あ、さぶイボではわからんか、鳥肌が立つことです。寒い時に肌にイボができるみたいになるから、さぶイボね。もともと冷房には弱い上に、気化熱で体温が下がる。貧すりゃ鈍する、泣き面に蜂がさす、痛い上に塩を塗る、藁打ちゃ手を打つ、便所に行ったら人が入ってる、てなもんですな(ここの部分は米朝師匠の口調で読むこと)。
 ほんまに毎日準備のために学校に行くでしょう。当然給食はあらへん。もう毎日向かいのドーナツ屋でドーナツを買うてきては食べている。おかげでポイントカードが貯まって小さいクーラーバッグがもらえた。しかし、かなり栄養の偏った食事ではある。
 いよいよ明日は夏祭りの本番。月曜に後かたづけをしたら、やっと本格的に夏休みや。これで毎日ドーナツを食わんですむぞ。嬉しいな。
 しもた、今月は原稿の〆切があるんや。一行も書いてないぞ。私の夏休みはいつくるんでしょう。ああ!

 夏祭りは夜までやるんで帰ったらたぶん日記なんか書いてる余裕はないと思うので、明日は更新をお休みいたします。次回更新は日曜深夜の予定です。


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