大相撲小言場所


平成十四年秋場所展望〜貴乃花再起なるか〜

 横綱貴乃花が8場所ぶりに出場する。今場所の話題はまずこの1点にしぼられたような感じさえする。横綱審議委員会は11勝しろのなんのとやかましいが、正直なところ、そんな声は無視していいと思っている。進退を決するのは本人の自由だろう。今さらとやかくいうのなら、昨年夏場所、14日目に怪我をした時点で休場勧告をすればよかったのだ。あの決定戦がなければ、貴乃花の怪我はここまで悪化していなかったはずだ。それどころか、横綱審議委員会はあの時の貴乃花の優勝をほめたたえたではないか。私は、たとえ今場所途中休場となっても、貴乃花は引退すべきではないと思う。体調を万全にして、今度こそ同じ条件で武蔵丸と優勝決定戦のやり直しをすべきなのだと考えるからだ。再度書く。貴乃花は引退してはならない。彼のやり残したことはまだまだ多いのだ。
 さて、他には話題はないのかというと、実は今場所も千代大海が優勝するようだと、来場所横綱昇進ということになる。横綱審議委員会の内規では、大関で2場所連続優勝すれば横綱に昇進できるとあるからだ。では、千代大海優勝の可能性はどうか。壁は多い。武蔵丸がいる。武双山、魁皇、栃東の大関陣も休場さえなければそう簡単に勝たせてはくれまい。さらに新大関の朝青龍も今場所は負けてはいないだろう。先場所は大量休場などでライバルが自滅してくれたからこそ優勝できたというような謙虚な気持ちがあれば、千代大海に勝機はある。しかし、自分の力が大きくアップしたと思っているようだと難しいだろう。私自身は、千代大海には安定感がまだ足りないと感じているので、連続優勝は難しいと思うのだが。
 新大関の朝青龍は、大関になったからといってよそいきの相撲をとらないこと。大関らしくというような声に気をとられ、持ち味を失ってしまった大関のなんと多かったことか。まだ年齢も若いのだから、「土俵の暴れん坊」ぶりをなくさないようにして、徐々に大関らしさを身につけていけばいいのだ。
 優勝争いは、横綱武蔵丸と5人の大関中心になるだろう。関脇以下でからむとしたら、若の里あたりか。新小結の高見盛も楽しみだが、優勝争いにはまだちょっとという感じがする。ダークホースで貴ノ浪。序盤戦突っ走る可能性はある。ただ、横綱大関戦になると、力の衰えは隠せないのが寂しいところか。
 注目すべきは、寺尾と貴闘力の両ベテラン。それこそ引退を賭けての土俵になる。一場所でも長く彼らの現役の姿を見ていたい。だからこそ、テレビさじきで熱く応援したい。

(2002年9月7日記)


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