大相撲小言場所


平成十六年夏場所展望〜朝青龍を倒すのは誰か?〜

 2場所連続全勝優勝。向かうところ敵なしの朝青龍の連勝記録はちょうど30である。今場所の争点は、朝青龍を誰が倒すかに絞られてくる。本来なら、千代大海、魁皇の両大関が14勝以上したら横綱昇進という場所でもあるのだが、どうも盛り上がりに欠ける。13勝でもよいから朝青龍に土をつけたら横綱という条件をつければどうだろうか。たとえ14勝したとしても、1敗が朝青龍からのものであれば値打ちが下がるような気がする。というのは勝手な言い種かもしれないが。しかし、朝青龍と並んで綱を締めるのならば、ライバル的な存在であってほしいのだ。新十両の萩原や琴欧州が出世してくるまでのつなぎというのなら、別に東西に横綱が揃っていなければならないということもあるまい。
 さて、朝青龍に勝てる力士はいるのか。先場所の展望でも同じことを書いたので、こちらを参照してもらえばよいだろう。状況はさほど変わっていない。栃東が休場しているから、その分倒す可能性を秘めた力士がかえって減ったほどだ。つまり、それだけ朝青龍が充実しているということである。
 両大関に話を戻そう。私はどちらの昇進も可能性が低いと思う。千代大海は先場所13勝したものの、前半は引き技が多く、今場所も同じような状態が続くならば序盤で下位力士相手に引いて墓穴を掘るという場面も見られるだろう。魁皇はどうしても欲を出すと相撲が強引になりポカが出るという悪癖がある。場所前の横審のけいこ総見では二人とも不調で早々と土俵から降りたという。もっとも、場所前に調子が悪くても本場所の一発勝負に強い両者だけに、総見の様子はあてにならないのだが。
 結局楽しみは萩原と琴欧州がどこまで力をのばしていくかということになるのか。もちろん将来が有望な両力士ではあるが、怪我や慢心など先に何が待ち受けているかわからない。現時点でののびのびとした相撲ぶりを楽しむことにしたい。武双山や琴光喜だって、一時はどこまで強くなるかと期待した時期があったのだが、現状はその期待を裏切っているわけだし。
 朝赤龍、白鵬らモンゴルの若手力士たちの活躍も楽しみだ。特に白鵬はここ数場所で地力をつけてきての入幕だけに、どこまでのびてきているかに注目したい。
 大関栃東は、肩の怪我が治りきらず、全休。名古屋場所での再起に賭けることになった。それでよい。先場所の前にも書いたが、完治して元の相撲の切れ味が戻ってきたら、再度横綱昇進を狙える技量の持ち主なのである。長い目で見て、今場所の休場は正解だと思う。

(2004年5月8日記)


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