愛すれどTigers


坪井、首位打者に接近

 もう楽しみは坪井がどこまで打率をあげるかしかなくなったみたいな感じで迎えた今節、まずは甲子園でスワローズ3連戦。川崎や石井といったリーグを代表する投手から積極的に打ってでてヒットを稼ぐ坪井の頼もしさ。しかし、打線全体は両投手を攻略しきれない。初戦の先発、山村は立ち上がりはもうひとつだったがまずまずのピッチング。しかし、打線も投手も勝負どころで踏ん張りきれない。
 この原因ははっきりしてる。
 目標がないからだ。
 そこそこの力はついていて、接戦もする。しかし、勝とうという執念がないのでここというところでその力を発揮できない。この時期、最下位で5位と8.5ゲームも差が開いているチームにそれを求めてもしかたない。
 やる気が見えないというほどではないのが救いといえば救いだ。
 第3戦、川尻はよく集中して投げた。辛抱して集中しつづければ打線もこたえてくれるのだ。山村もメイも井上もそこまで打線を信頼できていない、または集中しきれない弱さがあるのだろう。でも、私はそれを責められない。
 やはり目標を失うどころか、来季の監督まで発表されたカープとは福井、富山で3連戦。初戦は中込の2ヶ月ぶりの勝利に酔う。あれだけ迫力のあったカープ打線がまるで打てなくなっている。第2戦、第3戦とも打ち負けたという感じが全くない。2連敗こそしたが、第2戦でサヨナラ内野安打の正田は今季限りで引退をすでに発表していて、打席一つ一つに賭けるものが違い、その執念の差が出たものだ。第3戦で完封したミンチーも最多勝利という目標があってその差が出たと見る。
 まあ、そういうことだ。
 だから、目標のある坪井が生き生きしているのは当然ではないか。
 今週のMVP、投手ではAクラスという目標のあるスワローズに対して完投勝利の川尻投手、打者では打率.333で2位に浮上し首位打者も夢ではなくなってきた坪井外野手というところでいかが。
 2軍は優勝までマジック3です。こうなると、来季は優勝の味を知っている2軍選手たちを中心に編成したらどうですか。勝ちたいとう欲求がより強い方が勝つのだから。

 渡辺省三スカウトが自殺した。小山投手コーチなどとともに1950年代のタイガースを支えた、名投手である。低めのボールでゴロを打たせるのがうまく、またきびきびとした投球で彼の投げる試合は早く終わるという定評があったという。むろん、私は現役時代を知らないが、タイガースの歴史を彩り、引退後はスカウトとして九州地区の好選手を数多く発掘してタイガースを支えてきた人物として、その死を惜しむものである。

(1998年9月7日記)


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