愛すれどTigers


主砲欠場で左腕に苦戦

 開幕戦の勝ち越しで波に乗るかと思われたタイガースであるが、今週は主砲ブロワーズが義母危篤という事情でアメリカに帰国、右の大砲を欠いたためにどんどん左投手をぶつけられ、かなり苦戦をした。広島市民球場でのカープ戦が1勝2敗、甲子園でのドラゴンズ戦が1敗で、都合1勝3敗と、数字だけ見ると大きく負け越してはいるが、試合の内容は悪くない。昨年ならズルズルと完封負けを食らっていそうな試合も終盤で追いついたりするという、勝負への執念というものが感じられた。ブロワーズの存在の大きさというものを感じさせた週であった。

◎カープ1回戦……2−8
 先発は中込。初回にカープ先発の黒田からブロワーズが2点タイムりーを放つも、小刻みな継投にあとは沈黙。対する中込は浅井、江藤、ディアスにホームランを打たれ、4回で降板。翌日には2軍落ちという厳しい結果になった。こう大差がついてはどうしようもない。カープはここまで3連敗。勝利への執念でカープがタイガースを上回っていたという感じの試合。
◎カープ2回戦……6−2
 先発の吉田豊彦は7回まで小刻みに2点を取られたが、試合をぶちこわしにすることなく責任を果たした。一方、カープ先発のミンチーに手も足も出なかったタイガース打線だが、8回表、坪井の今季2本目のヒットを足がかりに平塚のタイムリーでミンチーを打ち崩す。ミンチーの暴投、浅井のエラーなどでカープは浮き足立ち、1死満塁から星野が2ランスクイズを決め、だめ押し。そのあとは小刻みな投手リレーでリードを守り、前日の敗戦を帳消しにした。この2ランスクイズが今年のタイガースの真骨頂か。何をしてくるかわからないタイガースという印象を相手に与えたに違いない。苦手のミンチーを攻略したのも収穫。この試合からブロワーズが欠場。その影を感じさせない勝利だったのだが……。
◎カープ3回戦……3−5
 カープ先発の左腕、菊地原に手も足も出ず。藪は開幕戦の雪辱を狙ったが、6回に2つの四球を与えた上に連打を浴び降板。タイガースはリリーフの横山から3点を奪い追い上げたが、小林幹英に抑えられ、惜敗。左投手でも左打者の星野を引っ込められないところに、ブロワーズの欠場の大きさを感じさせた。疑問なのは、ここがチャンスというところで出てきた代打が北川。八木は最終回、ランナーのいないところでの代打。これは逆でしょう。八木はせっかく通算1000試合出場だったのだから、もっといい場面で使うべきだった。
◎ドラゴンズ1回戦……3−6
 どんな試合にもツキのない選手というのはいるもので、この試合はそれが平塚。チャンスにまわってきたら、ことごとく併殺。1試合3併殺では勝てない。
 先発の川尻は5回を3失点。いずれも1点ずつじわじわととられたもの。ドラゴンズの先発左腕、野口の前にやはり手も足も出ない。従来ならここで打線は完全に沈黙してしまうところだが、7回に坪井のタイムリー、8回に大豊の代打同点2ランと粘りを見せてくれた。9回、一死満塁とサヨナラのチャンスに平塚が併殺。これで流れは再びドラゴンズに。遠山、山崎、福原と負けている場面でのリリーフがていねいな投球をしたのに対し、延長戦になってから弓長、リベラとつなぎ、それが失敗。特にリベラは満塁のピンチに登板させられたことで怒りを爆発させたということだが、登板したからにはちゃんと抑えてこそリリーフエースだ。起こるのは筋違い。

 ブロワーズの欠場が響いている。相手が安心して左投手を使える。八木の起用法に疑問が残る。一番いい場面で使うか、先発で使ってほしかった。濱中では主砲の穴を埋めるのには力不足である。とはいいながらも、点差がそう大きく開いていなければ、終盤追い上げ、追いつくようになってきた。この粘りを大事にしていけば、主砲不在でも互角に相手と戦える。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……吉田豊彦 谷間の先発となったが、7回を投げきり今季初勝利。先発勝利はホークスから移籍して初めて。このヴェテランの踏ん張りでローテーションがずいぶんと楽になった。
野手…… 大豊泰昭 ドラゴンズ戦の代打2ランはおみごとの一語。代打の切り札的存在になってきた。つり球に手を出さずに四球を選べるようになったのも大きい。ブロワーズ欠場の間は先発で起用してみてもいいのでは。

 ほんとは星野の2ランスクイズにもMVPをあげたいところだが、後の試合で好機にいいところがなかったのが残念。坪井が少しずつ安打を打てるようになってきたのも今週の収穫か。

 次節は不調のベイスターズと甲子園で3連戦。昨年の借りを返してほしい!

(1999年4月12日記)


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