今節は甲子園でスワローズに１勝１敗、ドラゴンズに２勝１敗、トータル３勝２敗。数字だけ見たら１つの勝ち越しだけだが、首位のドラゴンズに勝ち越して２．５ゲームとその差を縮めて２位をキープしているというのが光るね。
正直なところ、今年のタイガースは決して強くないと思う。しかし、弱くてもなんとかすれば勝てるんだという自信みたいなものが選手に少しずつ芽生えてるように見えるね。だから、大きく放されてもなかなかあきらめないし、逆転することもある。なんとも頼もしいことだ。
◎スワローズ７回戦……４−０
藪が完封勝ち。危ない場面は何度もあって、ヒヤヒヤしながらテレビを見ていたが、ここというところでも逃げなかったのが完封につながった。特に７回の無死満塁、副島と真中を連続三振に切ってとったところはぞくぞくしたね。新庄が３番に入って２塁打を２本。４点目はその新庄を３塁に置いて矢野がスクイズ。投手の正面に転がってあかんと思ったが、新庄の走塁がすばらしく、セーフ。一番の見せ所でああいう走塁ができるようになったのである。
◎スワローズ８回戦……０−７
この試合は捨てゲーム臭い。先発はルーキーの部坂で、わずか３回１失点でベンチに退き、伊藤につないでいる。中継ぎ投手だけでしのげればそれでよし、だめでもともと、そんな継投。それにしても中込は四球を連発して満塁押し出しなんてやっているんだから、いくらなんでもひどすぎる。スワローズの先発高木は野村監督がテスト生としてスワローズで採用し再生した投手。恩返しされてしまったね。結局首位ドラゴンズに３．５ゲーム差で挑むことになった。
◎ドラゴンズ５回戦……５−４
吉田豊彦が９回２死まで完封。３回に今岡と和田のタイムリーで３点先取し、７回には今岡の２号ホームランでだめ押し。楽勝と思いきや、完封を意識しすぎた吉田は四球を連発。急遽登板したリベラも打たれて一気に同点にされた。もうあかんかと思ったら、９回裏、落合から代打大豊のサヨナラホームラン！ 今年の大豊はひと味違うよ。ホームランを打つ前、落ちる変化球を２本続けてファウルにしていた。昨年ならあれにひっかかって三振してたよ。勝ってよかったよ。これでドラゴンズの出鼻をくじいたし、たぶん相手にしたらいやな負け方だったと思うよ。
◎ドラゴンズ６回戦……６−９
川尻が２試合連続のＫＯ。１回３分の２で４失点降板とはいったいどうなったのか。６点リードされながら、桧山の代打１号ホームランなどでなんとか１点差まで追いつく。ところがゴメスにホームランを打たれて突き放される。まあ、これまでなら６点とられたところで選手がやる気をなくしてたことを思えば、ここまで善戦したんだから、いいか。
◎ドラゴンズ７回戦……７−５
この日はメイが誤算。５回で５失点。ところが、新庄のタイムリーなどで７回には同点、８回には坪井と新庄のタイムリーで逆に勝ち越し。あきらめないタイガースの典型みたいな試合だ。新庄は守備でもファインプレーを見せたし、絶好調だ。ここのところ当たりのなかったブロワーズも久々に２塁打で打点をあげたし。ドラゴンズの落合はなんかもうタイガースのカモみたいになってきたよ。岩瀬が出てきたら嫌な感じがするけど、落合ならひょっとして……と思わせるね。落合が苦手意識を持ってくれるようだと、今後の展開で大きな意味を持つと思うね。
◎愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……藪恵壹 先発もリリーフも今節は総崩れ。だからこそ完封が光る。自信に満ちあふれたエースの風格が出てきた。
野手……大豊泰昭 新庄剛志 大豊の代打サヨナラホームランには、心からしびれました。あの一振りで十分でございます。新庄は、とうとう３割に打率を上げた。しかもあの大振り男が今節は三振を一度もしてない！ 嘘みたい。それだけでＭＶＰや。
次節は３連勝と波に乗るカープと米子で２連戦。地方球場での試合にめっぽう弱かったのがこれまでのタイガースだが、今年はどうかな。今後の地方遠征を占う意味でも注目したい。まあ、ここで負けても、甲子園でのジャイアンツ３連戦で取り戻せると思ってのびのび戦ってほしいね。
（１９９９年５月１７日記）
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