愛すれどTigers


首位攻防戦で惜敗

 見応えがありましたね、福井、金沢、富山と戦った首位ドラゴンズとの3連戦。1勝2敗と負け越しはしたけれど、全力を尽くしたというのがブラウン管を通じてもわかる。それだけに精根尽き果てたか東京ドームのジャイアンツ戦には2連敗。昔なら、ジャイアンツ戦で精力を使い果たしたあとのカードでは負け越すということが多かったけど、今回の連敗は逆と違うかな。いわゆる「貯金」は4に減り、首位とのゲーム差は2.5となったけど、シーズンは長い。まだあと4ヶ月はある。今節の敗戦は今後Aクラスに残っていくためのいい教訓になるだろうし、またそれが野村監督の標榜する「TOP野球」の大事な点だろう。

◎ドラゴンズ8回戦……1−2
 雨で試合開始が1時間12分も遅れ、先発の藪と山本昌の調子は必ずしもよかったとはいえない。しかし、エースは悪いときでも抑えるものだ。1点線抗された8回表、ダブルプレイでチャンスは潰えたかと思われたが、和田の三塁打に新庄のタイムリーで追いつく。しかし、この重い展開で新人の福原は緊張したか、1死満塁から中村にサヨナラ安打を打たれてしまう。しかし、負けはしたものの、調子はよくないとはいえ首位チームにこれだけの試合ができたのだ。
◎ドラゴンズ9回戦……5−1
 20試合ぶりに出たブロワーズのホームランが試合を決めた。1点先行するもすぐに追いつかれ、再び1点リードしたが、昨日のような展開になりそうな予感がした。しかし、ブロワーズは川上の失投を見逃さず、左中間スタンドに放り込む。
 先発川尻が肩の違和感を訴えて3回途中でいきなり降板。緊急リリーフの竹内が好投した。これで流れがタイガースに。中継ぎの踏ん張りが勝利を呼んだといえる。
◎ドラゴンズ10回戦……6−7
 壮絶な試合。初回、新庄が無死1、2塁でサードゴロを打ち、なんと三重殺! 2回にもジョンソンが併殺でチャンスをつぶす。先発吉田豊彦は山崎にホームランを打たれるわ、満塁で新庄にエラーは出るわと前半は散々な内容で7点先行される。。しかし、今年のタイガースはここからが違う。新庄、ブロワーズのホームランを含む猛攻で、6〜8回で一挙6点を取り返す。最終回も同点のランナーをサードまで進めたが、惜しくも追いつけず。最終回、ソンに対して新庄がバットを短く持ちファウルで粘ってついにセンター前に弾き返したヒットのすばらしさ。結果は負けたけれど、ここまでやってくれたのだから大満足。
◎ジャイアンツ9回戦……2−3
 首位決戦で力を使い切ったタイガースに対し、最下位ながら故障選手が帰ってきたジァイアンツ。メイは球道定まらず3死球を与える。しかし、なんとか2失点で切り抜け、ブロワーズの3試合連続のホームランで同点に追いつく。福井のドラゴンズ戦同様、新人福原が松井にサヨナラタイムリーを打たれ、惜敗。ここ一番で新人に頼らなければならないというのは厳しいなあ。同点でリベラというのはいけないのだろうか。
◎ジャイアンツ10回戦……2−5
 先発藪は中4日の登板。坪井の犠飛、新庄のホームランと打線が1点取るごとにすぐその裏追いつかれ、清水に決勝3ランを打たれ、降板。やはり疲れが出ていたのか。いつもは先手先手の継投が成功していたのだが、この試合に限っては藪に任せたのが裏目に。最終回、槙原を攻め立て無死1、3塁と迫ったのが今季のタイガースらしかった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……竹内昌也 川尻の降板に対し急遽登板、みごと抑えて勝ち投手になった金沢でのドラゴンズ戦が光る。他の試合も好リリーフを見せ、先発復帰も近いか。
野手……和田豊 3試合連発のブロワーズや今節2ホーマーの新庄の活躍が目立つが、和田の粘り強いバッティングにあきらめない姿勢を見る。この姿勢がある限り、次節以降の立ち直りにも期待できるというもの。

 思わぬ3連敗だが、どの敗戦も最後まで戦い抜くという気迫が感じられるのだ。長いシーズン、投打のかみ合わせが悪いときはあるというもの。昨年の現時点では5位。スワローズと最下位争いをしていたのだ。今年は違う。まだ首位争いをしているのだ。ちょっと負けたくらいでがっくりくることはないのだ。

(1999年5月31日記)


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