愛すれどTigers


ジョンソンの代打逆転サヨナラホームラン

 怖れていたわけである。いつまでもうまくいくわけはないと思っていたのである。ドラゴンズに3連勝して一気に首位に肉薄するという夢も持ったけれど、現実の壁にみごとにはねかえされてしまったのである。甲子園のスワローズ戦で2連敗したときに、気づくべきであった。負け方が、昨年のタイガースを思わせるものだったのである。奇跡の逆転勝利で連敗をストップしたときに勘違いをしてしまったのだ。やはり今年のタイガースは違うなどと。奇跡に頼るのは弱いチームである証拠。案の定、ナゴヤドームのドラゴンズ戦は3連敗。またまた5割を割ってしまった。がっくりきたものの、なぜか心が平静を取り戻していく自分が悲しい。

◎スワローズ14回戦……5−8
 ローテーションを崩し、藪が中4日で先発。これがいかん。藪を今週2回先発させて確実に星を拾うという監督の計算だったのだろうが、そうはいかなかった。佐藤とペタジーニに初回いきなりホームランを打たれる。すぐに新庄のホームランで1点返したものの、そこで藪が踏ん張れずに簡単に点をやる。ローテーションを崩したらあかんのである。
◎スワローズ15回戦……0−3
 ハッカミーって、そんなにいい投手かね。ずば抜けた速球も鋭い変化球もない投手に手もなくひねられる。いつでも打てると安心したのかな。先発メイは3失点だが、よく投げたと思う。だのに打線の援護がない。去年と同じではないか。
◎スワローズ16回戦……7−6
 今週はこの試合のみ。先発山崎は悪い中なんとか辛抱して投げたが打線の援護がなく、ズルズルと失点。9回表終了時点で2−6で、ああ今日も負けたわいと思いつつ、テレビだけはつけていた。奇跡が起こった。9回裏、先頭の矢野が四球を選べば、4番のブロワーズがヒットで矢野は3塁に。八木の捕邪飛を古田が落球。このプレーで流れがタイガースにきたと確信したね。八木の四球で、好投の石井は降板。変わった広田から新庄がヒットでまず2点。今岡はエンドランでランナーを進め、そして代打ジョンソンが告げられた。投手は左の高木に。打った。打球はぐんぐんセンターへのびる。入った。サヨナラだ。釣り銭なしの代打逆転サヨナラホームランだ。しびれた。泣きそうになった。しばらく動けなかった。これこそが野球の醍醐味だ。
◎ドラゴンズ13回戦……0−7
 野口の前に手も足も出ず。先発の吉田豊彦は前回の好投が嘘のよう。ストライクがはいらん。6失点で降板し、そのまま2軍落ち。前日の興奮はなんだったんだ。きれいに醒めてしまい、淡々とした心境となる。
◎ドラゴンズ14回戦……2−6
 山本昌の前に何もできず。でも、先発の杉山は3失点でまずまず。1点取ってさあ反撃、というところでなぜ片瀬。そのあとで遠山を使うのなら、先に使えよ。ゴメスに3ランを打たれて試合が決まってしまった。この失点がなかったら、ひっくり返せる可能性が残っていた。片瀬は今季初登板。もっと楽な場面で使って一軍の勘を取り戻してからいい場面で使う、というわけにはいかなかったのか。
◎ドラゴンズ15回戦……1−2
 この試合は勝てたはず。ブロワーズのタイムリーでとった虎の子の1点を、藪−田村−福原−リベラとつないで守りきる、はずだった。ところが計算通りにいかないのが野球の恐さ。9回裏、今岡のエラーで先頭打者を出し、足でかき回される。捕手の矢野は焦ったか二塁に悪送球でランナーを三塁にまで進めてしまった。鈴木の犠牲フライで同点。渡辺に盗塁され、李のサヨナラタイムリー。唖然呆然。そう、これが野球だ。今年の優勝は決まったね。ドラゴンズ万歳!

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……舩木聖士 前回、あと一人というところで勝利を逸したが、スワローズ戦で目のさめるような投球を見せて流れをタイガースに引き戻し、サヨナラのお膳立てをした。2年ぶりの勝利におめでとうといいたい。
野手……マーク・ジョンソン あのサヨナラホームランだけで十分。今シーズンこのままズルズルいくようなことがあろうとも、あのホームランだけで許すぞ、俺は。

 次節は甲子園に戻って地元で6連戦。ベイスターズ、ジャイアンツともにここのところ相性がよくないが、なんとか5割ラインだけは死守してほしいものだ。このままズルズルいくのかなあ。あかんのかなあ。そう思ったとたんに突如盛り返すのが今年のタイガース。まだ信じてもいいよね、せめてオールスター戦までは。

(1999年7月12日記)


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