まだまだ虎は死んでないよ。横浜球場のベイスターズ戦は惜しくも1勝2敗と負け越したけど、東京ドームのジャイアンツ戦には2勝1敗と勝ち越し、トータルで3勝3敗の五分。勝ち方がいい。若手はチャンスをものにしようとファイトを前面に押し出し、ベテランがそれに負けじと存在感を見せる。これが活気のあるチームの姿というものだ。苦しい長期ロードだったが、少しずつ光明が見えてきたかな。
◎ベイスターズ20回戦……3−1
2回裏、セカンドの塩谷がダブルプレーの間に一塁ランナーの谷繁と交錯、靭帯損傷で登録抹消。波に乗ってきたハッスルボーイの欠場は痛い。しかし、チャンスがめぐってきた田中が7回2死から2点タイムリーを放ち、辛抱強く投げていた中込を助けた。締めくくりは田村。かつて抑えのエースであった。リベラ不在でもリリーフ陣は万全。投手が辛抱してていねいなピッチングをしていれば、打線は必ず応えてくれるのだというお手本のようなゲーム。
◎ベイスターズ21回戦……0−2
先発の杉山が初回に駒田のタイムリーで2点を失う。それでも、後はよく持ちこたえた。続く山崎も無失点リリーフ。しかし、打線が福盛を攻略できない。特にジョンソンのスランプが大きい。ここで1発、というところで打てない。1本ヒットが出れば、そのうちホームランもまた出るようになると思うのだが。
◎ベイスターズ22回戦……3−4
湯舟はなにか初回にびびってた感じ。コーナーを狙いすぎてボールになり、満塁に。駒田は満塁では絶対的な自信があるようで、高めの球を軽く降り抜いて満塁ホームラン。その後、湯舟は開き直ったように攻めの投球ができるようになったので、あまりにも初回の4点が大きかった。打線では、塩谷に変わって一軍復帰の星野が奮起。2回には2ランホームランでいやなムードを振り払い、6回にもタイムリーを打ってこの試合の全打点を叩き出した。チャンスは自分でつかむ、そういう気迫が感じられた。試合には負けたが、こういう星野の姿勢を他の選手たちも持てば、と期待できる内容。
◎ジャイアンツ19回戦……1−2
初回、藪は先頭打者の仁志にホームランをあびる。3回には投手の三沢に打たれた二塁打が高橋のタイムリーを呼び、2点のリードを許してしまう。タイガースは6回にジョンソンの久々のヒットがタイムリーとなり、なんとか1点を返すが、ジャイアンツの先手を打った継投に抑えられた。終始主導権を握ったジャイアンツが勝ったものの、継投などを見てもどちらが下位チームかわからないくらい、相手に余裕がない。藪のトンネル脱出は近いと見た。
◎ジャイアンツ20回戦……4−1
今岡が負傷欠場。しかし、ショートに入った田中が攻守に活躍。チャンスに進塁打も打てない今岡よりもよかったのではないか。初回、連打で出たランナーを桧山が先制二塁打でまず2点。4回には満塁のチャンスで田中が外した球をのけぞるようにしてバットにあて、スクイズ成功。先発の舩木は高橋のホームラン1点に抑える好投。新人の年以来の先発勝利をあげる。連敗中、善戦しながら勝てなかったが、少しずつ形ができてきたものが答えになって出てきたという感じがする。気持ちいい勝利。
◎ジャイアンツ21回戦……2−1
先発のミラーの一人舞台。3回、二岡のホームランで先制されたものの、内外角に投げ分けるピッチングでジャイアンツ打線を翻弄する。相手の桑田もいいピッチングをしていたが、4回にジョンソンのタイムリーでまず同点。和田が相手の守備の弱さを突いて思い切った走塁をしたのが光る。そして、8回、二死で打者はミラー。桑田は油断したね。ど真ん中の速球をみごとに弾き返した決勝ホームラン! 後をつないだ遠山、福原は完璧。しかし、ジャイアンツの元気のなさはどうだ。ずっとこの調子なら、残りの試合全部いただけるのではないかという気がする。新聞や雑誌ではタイガースの選手が野村監督にそっぽを向いてバラバラだとか書いてるけど、逆じゃないのか。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……カート・ミラー 参りました。こんなにいい投手とは知りませんでした。投げて打って、ジャイアンツに引導を渡して。これまでは不安いっぱいだったが、慣れてきたのか持ち味が出てきた。これからもこの調子で頼むで。
野手……田中秀太 ショートの守備がすごい。セカンドの時も守備のよさは光っていたが、ショートに入ってそのフットワークのよさがますます冴える。センター前に抜けそうになった打球をことごとく内野ゴロに。今岡の守備のまずさを考えると、秀太の値打ちはますます上がる。
岡山と広島で眼下の敵カープと戦った後、いよいよタイガースが甲子園に帰ってくる。相手は目前の敵スワローズ。次節5試合をうまく勝ち越せば、Aクラス挑戦の芽も出てきますよ、いやマジで。FAの資格を取得した進藤(YB)や鈴木健(L)もタイガース移籍を希望しているというじゃないか。これみな野村監督の存在あってこそだ。
(1999年8月23日記)