愛すれどTigers


熱いぞ熱いぞ首位攻防戦

 甲子園でのカープとの首位攻防戦は死闘という言葉がふさわしい、熱く素晴らしい試合であった。1勝1分で勝率でカープを上回り、一度は首位に立った。しかし、その反動からかナゴヤドームのドラゴンズ戦で3連敗。連勝は9でストップしたが、順位は2位をキープ。3、4月を12勝10敗1分と勝ち越した。これは昨年を上回る成績であり、1992年に最後まで首位争いをしたときと同成績である。
 いやつまり、5月以降もこのペースでいけば、ファンはシーズン最後まで楽しませてもらえることになりそうでありまして、1日だけでも首位になったこと、3連敗してもまだ2位にいるというツキなどを考えると、今後も楽しめること間違いなしであると、そういいたい。

◎カープ4回戦……4−4
 先発の福原が4失点し打線が黒田の前に沈黙していたときには、連勝ストップを覚悟した。初回、いきなり大豊がエラーで先頭打者を出し、ランナーを警戒した福原は球を揃えにいき、そこを狙われた。しかし、あとをつないだ吉野が2イニングをぴしゃりと抑え、流れはタイガースに。6回に大豊が2ランで反撃開始。そして9回裏、代打構成が実る。先頭の和田が技有りのヒットで出塁、続く佐々木が四球を選び、坪井のライトフライの間に、二塁走者の和田だけでなく、代走で出ていた高波が一塁からタッチアップをした。いやおみごと。代打広澤の内野ゴロの間に和田が帰って1点、続くタラスコのタイムリーで同点!その後は、ミラーが気合いの入った投球でカープ打線を抑えきる。カープも若い苫米地、河野が前田のファインプレーなどにも助けられてタイガース打線を抑え、5時間34分、15回同点で引き分けた。両チームともベンチ入りの野手を全員起用する文字通りの総力戦となった。まさに首位攻防戦にふさわしい好ゲームであった。
◎カープ5回戦……1−0
 雨で1日休み、15回延長戦の疲れをとった両チームが、2試合続けて素晴らしいゲームをした。タイガースの先発藪が10回を4安打完封すれば、カープの先発高橋も9回を2安打完封。どちらも完璧な投球。延長10回裏、変わった小山田から先頭の矢野がヒットで出塁、バトルがバントで送ると、カープは河野にスイッチ。代打の星野修が一二塁間をきれいに抜くヒットでランナーを三塁に進める。ここで代打はベテラン佐々木。高く弾んだセカンドゴロを木村拓が懸命にバックホーム。三塁走者矢野は果敢にホームへ滑り込む。捕手の西山が落球、審判のセーフのコールに矢野と次打者の坪井が思わずジャンプして万歳した。
 この時点で、タイガースはゲーム差はないが勝率でカープを上回り、首位に立った。
◎ドラゴンズ3回戦……3−4
 先制はタイガース。3回の表に無死満塁からタラスコがセンターに犠牲フライを放つ。ドラゴンズの先発バンチに大豊、矢野は連続三振に打ち取られ、大量得点のチャンスを逃す。これがあとあと響く。湯舟は3回にエラーで同点に追いつかれる。しかし、タイガースの勢いは止まらない。6回に新庄が2ランホームランを放ち、再びリード。このまま抑えきるかと思われたが、湯舟が1点を取られ降板。つないだ川尻は渡辺にタイムリーを打たれてとうとう追いつかれる。延長戦になればタイガースのものと思われたが、9回裏、吉田豊から大西がバントヒットを狙う。大豊はボールをつかんだが、誰もベースカバーに入っていない。それなのに送球をして、大西は二塁に進む。李のライト前の平凡な当たりは、タラスコ目の前で弾み、二塁走者が生還し、ドラゴンズがサヨナラ勝ち。勝っていたはずの試合を守備の乱れで落とした、実にもったいない試合だ。
◎ドラゴンズ4回戦……2−3
 先発ハンセルは初回に四球を連発、無死満塁の間に立浪の併殺崩れで先制点を与えてしまう。しかしこの回1失点で抑えたのが大きく、タイガースは2回には新庄のホームランで同点、3回にはタラスコのタイムリーで勝ち越した。しかし、以後は小池の前に1安打しか打てず、追加点がとれない。一方ハンセルも好投を続け、このままいくかと思われた8回、代打愛甲に同点ホームランを打たれてしまう。福留に続いてヒットを打たれ、降板。伊藤がつないで山崎をサードゴロ併殺に打ち取ったと思われたが、一塁はセーフ。左の立浪をむかえて遠山が登板。しかし、センター方向にうまく打ち返されて再びリードを許してしまった。9回の表、新庄がヒットで出塁、矢野とのエンドランが決まる。三塁手福留の送球が遅いと見た新庄は一気に三塁へ走る。一塁手愛甲から三塁ベースカバーの久慈に球は送られたが、タッチは一瞬遅くセーフ……だったのに、塁審はアウトを宣告。明らかに立ち位置が悪い。べーが久慈の影に隠れて見えていない。同点のチャンスはあえなく崩れ、悔しい2連敗。
◎ドラゴンズ5回戦……2−7
 星野伸が4回につかまった。李、山崎、立浪に3連打をくらい1失点。渡辺のヒットでまた1失点。中村を敬遠して二死満塁とし、武田と勝負。ショートゴロに打ち取ったと思ったら、ランナーの足がわずかに早く内野安打となり満塁。久慈には変化球をねらい打たれて走者一掃の三塁打。この6点で勝負が決まった。新庄は元気に2打点で、この3連戦全て打点を稼いだけれど、他の選手は完全に武田に手玉に取られた。新庄が打つと負ける、みたいなジンクスができなければいいのだけれど。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藪恵壱 今月4勝目となるみごとな完封勝ち。しかも、10回延長戦を投げ抜いたのは素晴らしい。これで防御率はリーグトップに躍り出た。カープの佐々岡と並んでリーグの月間MVPの有力候補である。
野手……新庄剛志 怪我が治り、いよいよ本領発揮。打つ方は2本塁打、守備では好返球、走塁では審判にはアウトと言われたけれど本当はセーフの果敢な突撃。新庄が打てばムードが盛り上がる。

 次節は甲子園に戻り、開幕3連敗を食らったベイスターズにお返しをする番だ。私も3日には甲子園に行く。ここ数年、私が見に行った試合はいずれも勝ちゲーム。安心なさい、選手諸君、勝利の運を私が甲子園に持っていってあげようぞ。

(2000年5月1日記)


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