誰ですか、前節で今後に光明が見えたなどと楽天的なことを書いたのは。それは、私です。光明どころか6連敗というトンネルにすっぽりともぐり込んでしまった。なんとか連敗はストップしたものの、1勝4敗と苦しい週であった。
甲子園球場で、今季まだ負けていなかったお客さんのスワローズになんと3連敗。最悪の形で苦手のベイスターズと横浜球場で対戦。1勝1敗でしのいで、なんとか連敗を6でストップ。先発が好投すれば打線が沈黙し、打線が奮起すれば先発が崩れる悪循環。なんとか1勝してこの悪循環をむりやり断ち切ったが、まだちょっと苦しいな。
◎スワローズ5回戦……1−4
川尻と石井一の投手戦で試合は進んだ。先制したのはスワローズ。4回にペタジーニのタイムリーで1点取る。その裏、4番の新庄がホームランですかさず同点。試合は1−1のまま膠着状態に。こういう場合は得てして一発で試合が決まる。8回、川尻の不用意な一球を佐藤は逃さない。大きなホームランでとうとう均衡が破れた。それでも1点差ならなんとか……と思っていたら、リリーフのミラーは連続三振で2死を取った後、岩村を歩かせ、盗塁を許し、宮本に三塁打を打たれ、ワイルドピッチでその宮本までホームイン。せっかくの緊迫した試合をぶちこわしにした。
◎スワローズ6回戦……0−3
福原は完璧な投球で7回を完封。つないだ伊藤も1回をきっちり抑える。特に福原は途中で停電のために2度も中断したにもかかわらず、みごとな投球。今後、先発として再び活躍してくれるという期待を持たせた。ただ、タラスコが二軍落ちした打線は伊藤智と五十嵐の前に完全に沈黙。このまま延長戦かという緊張感のある試合が、またまた最終回にぶちこわしに。吉野が先頭ペタジーニを歩かせたところで葛西にスイッチ。古田のバントの後、副島を歩かせ塁を埋める。岩村の打球は二塁手星野修の前に転がった。やった、ゲッツーだと思った瞬間、前に突っ込みすぎた星野はその打球を後ろにそらす。これで二塁走者は生還。バックアップした右翼手桧山は三塁に悪送球、三塁手ハートキーが球を追う間に一塁走者が本塁に向かう。焦ったハートキーの送球は矢野捕手のミットにかすりもしないでバックネット方向へそれる。一塁手大豊のバックアップがもたつき、なんと打った岩村までホームイン。プロ野球では非常に珍しいトリプルエラーで試合が決まった。なんなんだ、これは。テレビの前で私は脱力してしまった。
◎スワローズ7回戦……3−4
今季まだ負け星のない藪なら、この連敗を止めてくれるだろうと期待が集まる。先制したのは2回裏、新庄のホームランだ。石井弘の速球をもののみごとにレフトスタンドに運んだ。ああそれなのに、藪は全くボールが走らない。4回には4安打を集中されて2点を失いあっさり逆転される。5回には佐藤とペタジーニの連続ホームランでさらに2失点。これで降板。打線はそれなりに健闘した。6回には岡林から桧山が三塁打を放ち矢野の犠牲フライで1点、7回には五十嵐から坪井がバックスクリーン横に飛び込むホームランでまた1点。9回にも先頭の和田がライト前にぽとりと落ちる執念のヒットで出塁して同点のチャンス。しかし、大豊の大きな当たりはわずかにスタンドに届かない。坪井の鋭い当たりはショートの真正面に。代走の高波が飛び出していて帰塁できずにダブルプレイとなった。藪が本調子なら楽勝の展開だっただけに……。
◎ベイスターズ8回戦……5−10
初回、新庄の先制3ランホームランが飛び出した。ベイスターズの先発野村はあっぷあっぷ。矢野、広澤とヒットでつなぎ田中のタイムリーで4点目。楽勝パターンのはずが、今季初先発の中込はじわじわと点を取られる。3回に波留に2ランを打たれて1点差に迫られた。しかし、6回に広澤が高めの球をレフトスタンドに運んでまた突き放す。絶対的な勝ちパターンではないか。なぜその裏に先頭のローズにあんな甘い球を投げる。あのホームランが試合の流れをベイスターズに呼び戻した。金城という選手がいたことすら私は知らなかったが、この選手に同点タイムリーを浴びてしまう。この金城がラッキーボーイとなった。8回裏、金城は吉田豊から四球を選び、そこからマシンガン打線が炸裂。鈴木の3ランホームランなどであれよあれよという間に5失点。対ベイスターズは昨季から通算14連敗。
◎ベイスターズ9回戦……1−0
ラッキーといえばラッキーでしたね。初回に波留が足をひねって退場。4回にはローズが寝違えたところが痛むとかで退場。先発投手の矢野は2回の途中でひじを痛めて退場。4回に河原から濱中が内野安打を放ち、これを足場に田中がタイムリー。この1点を必死の継投で守り抜く。先発の湯舟は6回途中で降板、伊藤、吉野に加えて先発要員の川尻までつぎ込む。圧巻は9回。8回に登板していた遠山を一塁にまわし、葛西を投入。その葛西が金城に二塁打を打たれたら一塁手の遠山がマウンドへ。このパターンはこれまでにもあった。ところが、葛西が今度は一塁を守る。遠山が2死を取ったところで代打進藤に対して再び葛西がマウンドへ。みごと三振に打ち取った葛西。この瞬間に連敗が止まった。なにがなんでも勝つのだという執念の継投が実った。相手の故障に助けられたとはいえ、マシンガン打線を完封したのだ。よかったよかった。ほんまによかった。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 本当なら完封勝ちしてたはず。不運だった。しかし、素晴らしいピッチングだった。アクシデントでの中断をも乗り切った精神力をたたえたい。
野手……新庄剛志 なんと5試合で3ホーマー。松井(G)、前田(C)に次ぐホームランダービーの三番手につける大活躍。4番打者らしい働きだった。勝ちにつながらなかったが、投打がかみ合ってきたら、きっと報われるときがくる。
勝率五割まであと4勝。リーグ最下位とはいえ首位のドラゴンズとジャイアンツまでゲーム差はわずかに4。次節はそのドラゴンズと甲子園で3連戦だ。ドラゴンズは10連勝の真っ最中と好調だが、今季のセリーグは連勝連敗の繰り返しで混戦になっている。まだまだわからんよ。
(2000年5月22日記)