愛すれどTigers


熱闘!連日の延長戦

 甲子園のドラゴンズ3連戦は2試合が延長戦となった上に3試合とも1点差試合。まるで首位攻防戦のようだった。2勝1敗と勝ち越し、波に乗れるかと思ったけれど、千葉マリンスタジアムのスワローズ2連戦は疲れが出たのかあえなく2連敗。打線が波に乗りきれないこと、特に坪井の不振が痛い。それでも上位のチームが星のつぶしあいをしてくれているので、ペナントレースから取り残されないでいる。そこらあたり、まだ運が残っているのかも。

◎ドラゴンズ8回戦……1−0
 星野伸とバンチの両先発投手が小気味よいテンポで投げ合い、試合は0−0のまま延長戦に。星野の投球はみごとの一語に尽きる。伊藤、吉野、葛西とつないで守り切る。バンチもよく投げた。12イニングを無失点だ。しかし、タイガース打線はとうとう延長14回、岩瀬を捕まえる。先頭の今岡がヒットで出塁。四球もからんで1死満塁のチャンス。ここでドラゴンズはギャラードを投入。ハートキーの一打はセンター返し。二塁ベースの上を飛び越えていく。みごとなサヨナラ安打。見応えのある投手戦であった。
◎ドラゴンズ9回戦……2−3
 福原は不安定な投球ながら7回を無失点に抑える。ドラゴンズも小池、山本昌で7回を0封。昨日に続いてまた0−0のまま延長戦になるかと思ったら、8回に福原がつかまった。先頭の関川を歩かせ、立浪にもヒットを打たれる。ランナーをためてゴメスに甘い球を打たれ、2点を失った。これは負けパターンかと思ったところ、やってくれました新庄。ヒットの佐々木を一塁において、同点ホームランをレフトスタンドに叩き込む。ドラゴンズの小刻みな投手交代に対して、タイガースは延長戦にはいると吉田豊がロングリリーフ。4回を7奪三振と完全に封じ込めた。しかし、延長15回にマウンドに登ったのは葛西。もう1回吉田豊でもよかったと思うが。疲れの残る葛西は先頭の李に二塁打を打たれ、バントを許し、結局代打荒木に犠牲フライを打ち上げられてとうとうリードを許した。負けはしたが、投手陣を責められない。試合終了は0時2分。6時間を超える見応えのある試合。こんな試合を毎日していたら、両チームとも損耗しきってしまうぞ。
◎ドラゴンズ10回戦……2−1
 先制は今岡のホームラン。初回にいきなり先制点とは嬉しい。川尻も好投していたが、5回に先頭の山崎に二塁打を打たれ、井上の内野安打で同点にされた。この1失点だけで川尻を責めるわけにはいくまい。6回にはまた先頭打者を出してしまう。李に死球を与えたのだ。続く立浪はピッチャーゴロ。ダブルプレイと誰もが思ったが、なんと川尻は二塁に悪送球。無死一三塁のピンチを招く。ゴメスがレフト方向にフライをあげたときは、犠牲フライになると誰もが思ったが、なんと坪井の目の前に新庄が走り出てきて捕球するやいなや本塁へ絶妙の返球。三塁ランナーは憤死し、ピンチをしのいだ。そして8回、坪井を塁においてハートキーがレフトへ大飛球。深追いしすぎた李がクッションボールを追いかける間に坪井はホームイン。リリーフ投手陣の疲れもあって、締めくくりは中込。なんとか抑えてプロ入り初セーブを記録した。この3連戦は今シーズン全体を振り返ったときにも必ず思い出すものになりそうだ。
◎スワローズ8回戦……1−10
 せっかく2回に先制して勝ちパターンかと思ったら、その裏に岩村の逆転3ランを打たれた藪。6回にもペタジーニと古田に連打を食らってまた1点失う。こうなるとスワローズの川崎は楽なもの。タイガース打線を手玉にとる。7回には吉野が古田に満塁ホームランを打たれて、勝負あり。
◎スワローズ9回戦……4−6
 千葉マリン球場はこの日は風がきつく、湯舟は投球モーションの途中でよろけるほど。風を嫌がった湯舟は変化球を狙い通りに投げられず、2回に高橋智から3ランを打たれ、3回には2死球2安打で2点を取られて降板。つないだ中込も岩村にタイムリーを打たれて合計6失点。4回には広澤の満塁ホームランで2点差と追い上げたが、桧山のバント失敗など拙攻がたたって追いつくことができなかった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……星野伸之、吉田豊彦 初戦に先発で9回を完封した星野と、2戦目に延長戦で好リリーフを見せた吉田。両ベテラン左腕には勝ちも負けもつかなかったが、内容的には今節の他のどの投手よりも素晴らしかった。
野手……ジェイソン・ハートキー ドラゴンズ戦で見せた2本の決勝打が光る。体調を崩して2戦目は欠場したが、あの試合もハートキーがいてくれれば……と思わせた。それほど頼りになると誰が予想しただろうか。

 今節の途中、タイガースは杉山賢人投手と交換でバファローズより吉田剛内野手、西川慎一投手を獲得した。平尾、田中の欠場で内野が手薄になり、新人的場も頑張っているが計算が立ちにくいだけに、吉田剛の存在は大きくなるかもしれない。もっとも、私に言わせたら、平塚を出してまでして獲得した杉山をこう簡単にトレードしてしまうとはなんたることか。
 次節は甲子園で6連戦。地元にじっくり腰を据えて五割復帰を目指してほしい。

(2000年5月29日記)


目次に戻る

ホームページに戻る