東京ドームのジャイアンツ3連戦、2連敗したときはもう今季はおしまいかと思わせたが、第3戦を新庄のホームランなどで勝ち1勝2敗としたあとは、はずみがついたか運がついたか札幌のベイスターズ戦に2連勝。今節はトータル3勝2敗と勝ち越した。嬉しいのは、北海道遠征から復帰したタラスコ。彼一人はいるだけで打線が締まる。あらためてタラスコの存在の大きさを感じた。
◎ジャイアンツ10回戦……1−4
星野伸が2回には仁志の二塁打で2点を失い、4回にはマルティネスと仁志のホームランでまたまた2点を失う。なにか力で封じ込めようとするような投球で、いつもの人を食ったような駆け引きができなかった。ジャイアンツ戦ということで力が入ったのか。
打線は左の工藤に対して根本や松田といった左打者を並べ、全くつながらない。わずかにハートキーのホームラン1本では勝てない。
しかし仁志はタイガース戦となると張り切るね。なにか恨みでもあるのか。
◎ジャイアンツ11回戦……1−6
メイの前に打線は沈黙。速球を空振りばかりしていて、なんとか崩そうと工夫をするのだがエンドランは失敗続き。ならばじらし戦法でと7回に代打の和田は打席にはいると再三タイムを取る。いらついたメイは打席をはずした和田めがけてボールを投げた。無防備な者にこの暴挙。結局メイは10日間の出場停止処分を受けた。こんなことをされても元気のないタイガースの選手は指をくわえて座っているだけか。和田はお返しに二塁打を打ち、カツノリの犠飛で生還した。反撃もこの1点のみ。先発の福原は決め球が甘くなり打ち込まれた。ランナーが出ると投球が苦しくなるのにわざわざ四球でランナーを出すから打たれるのだ。
◎ジャイアンツ12回戦……6−5
新庄がやりました。3回に先制2ラン。その後にも矢野、根本、田中の3連打で1点を加え、桑田から都合3点を先取。続く4回、無死満塁からまたまた新庄がセンター前に弾き返して1点を追加。大豊も犠飛で続く。5点先取ですよ。これで藪は楽々完投かと思いきや、仁志にホームランを打たれるやらで3失点。結局リードしたまま7回途中で降板した。珍プレイは8回に出た。二塁打の平尾をハートキーがバントで送る。投手の河本は三塁に送球したが、球がそれて三塁手の元木はそれを追うように倒れる。倒れたところに平尾がいた。元木はそのまま平尾に抱きついて離さない。伊原コーチが思わず元木を突き飛ばして平尾を解放したが、もう内野に返球されてしまっていた。元木の走塁妨害で労せずして1点追加。しかし三塁コーチとしてはベテランの伊原さんが三塁手を突き飛ばしてしまうほどあわてるとはね。
結局この1点がきいた。8回から野村監督お得意の葛西と遠山のジグザグリレー。ところが、疲れが出たか二人とも打たれ、1点差に詰め寄られた。それでも葛西は9回をきっちりと抑えて連敗をストップさせた。
◎ベイスターズ11回戦……7−6
新庄が2回に先制ホームラン。ベタンコートが気の毒だったのは、その後1死満塁で川尻を内野ゴロにしとめたと思ったら、金城がバックホームを焦って悪送球。タイガースは労せずして点差を広げる。快調川尻は、4回に味方のエラーや審判の厳しい判定で四球を連発。佐伯の二塁打や谷繁のホームランなどで6失点降板。嫌なムードだったが、5回にタラスコが足で二塁打を稼ぎ広澤が死球で続く。根本の平凡なセンターフライを波留が落球、2点を返して1点差に詰め寄る。6回には二死一二塁でタラスコがショートフライを打ち上げたと思ったら石井が背走しながらも捕れず、一塁走者の平尾も長躯ホームインして逆転。中込がリリーフしてよく抑え、最後は遠山葛西のジグザグリレーで締めた。新庄のホームラン以外はみんな相手のエラーで得点という珍しい試合。このツキは大事にしなければ。この試合がきっかけでタイガースが一気に波に乗りそうな、そんな予感がする。
◎ベイスターズ12回戦……6−1
新庄が3試合連続の先制ホームランを2回に放つ。この勢いはどうですか。しかしその裏、湯舟は四球を連発し無死満塁から佐伯に押し出し四球で同点。絶体絶命かと思われたが、なんとそのあと三者三振でピンチを断ち切る。圧巻でしたな。5回には苦手の三浦から平尾がタイムリー三塁打で勝ち越す。これはライト横にあまりいい当たりではなかったけれど、佐伯の守備がまずかった。いくら打っても守備がこうお粗末ではベイスターズも勝てませんな。8回にはリリーフの横山と野村から新庄、和田、広澤、矢野が4連打で一気に4点を追加。湯舟は楽々完投。分の悪いベイスターズに2連勝は大きい。これで苦手意識をなくしてくれるのではないか。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……湯舟敏郎 リリーフ投手にへばりが見えてきているだけに、ここでの完投勝利は大きな意味がある。マリーンズの小野のようにはいかないが、日曜男としてこれからも今日のような開き直った投球をしていってほしい。
野手……新庄剛志、平尾博司、根本隆輝 今節は3人並んだよ。3試合連続ホームランの新庄は当然ながら、怪我で欠場の坪井のかわりに一番を打ってのびのびとプレイしたムードメイカーの平尾、移籍後外野の一角を勝ち取り猛打賞も記録した根本も3連勝には大きな貢献をしたぞ。しかしこんなによく打つ根本が二軍とは、ファイターズのビッグバン打線というのは凄いのだなあ。
ムードは上向きだ。特にベイスターズから2連勝したのはこれからのタイガースを占う上でも重要だ。なにしろこれまではいいところでベイスターズに邪魔されてきて、波に乗りきれなかったのだ。今節を分岐点として、タイガースが一気に浮上してくれるのではないかという予感がする。さて、次節は首位ドラゴンズ、そしてジャイアンツと甲子園で6連戦。勢いはついている。一気にいってよ、一気に。
(2000年6月12日記)