大阪ドームでのカープ３連戦でファイターズから移籍のマイカ・フランクリン選手が出場。１勝２敗と負け越したものの打線につながりができて期待して見られるようになってきた。反面、これまで安定していた先発投手陣が崩れるパターンがでてきた。神宮球場のスワローズ戦は１勝１敗でなんとか連敗をストップした。今節は２勝３敗。勝ったり負けたりと苦しい戦いが続くが、一時の投手が抑えながら貧打で負けるという重苦しい空気は脱することができた。投手陣で星野伸、野手でタラスコが故障で欠場しているが、幸い軽傷らしく復帰してきて戦力が揃うとどうなるか……。少しずつトンネル脱出の兆しが出てきたぞ。
◎カープ１４回戦……５−６
藪よ、せっかく味方が４点も先制してくれたのだから、慌てることはないではないか。初回には新庄が大阪ドームの天井に飛球を当てるという珍プレーのタイムリーヒット。４回にはランナーを三塁に置いてミンチーの暴投で１点もらい、矢野の欠場でチャンスをつかみたい山田が１号２ラン。これは楽勝と思いきや、５回表に藪が突如連打を食らい始める。去年までの藪に逆戻りだ。三塁を守るフランクリン悪送球でランナーを許したら、なにをあせったか高めにストライクを取りにいく、そこを狙われる。５安打を集中されてたちまち同点に。
しかし、フランクリンがやってくれました。左腕佐竹から右打席で完璧なホームラン。あとは豊富な中継ぎ陣が抑えて……と思ったら、左打者を抑えるために起用した吉野が金本に逆転２ランを浴びてしまう。その後で伊藤や中込をつぎ込んでいるのだから、あえて吉野で引っぱらなくてもよかったのでは。吉野はこれで二軍落ちしたが、この経験を生かして次に上がってきたときにはきっちりと抑えてくれることを期待したい。
◎カープ１５回戦……６−１
理想的な試合。先発の澤崎から３回に田中の三塁打で先制したのを皮切りに、４回には山田のタイムリーで２点目。５回には変わった山崎慎から新庄が突き放す２ランホームラン。このホームランはファールで粘った末に外角低めの難しい球を技で運んだ一打。新庄は完全に４番打者らしい選手になったぞ。６回にも連打で２点を奪い、６点差。あとは川尻の完封を期待したけれど、残念ながら金本のホームランで１失点。それでも吉田豊がリリーフで９回を先頭打者に二塁打を打たれながらも粘りの投球できっちり抑えた。フランクリンの加入で、相手投手が打線を警戒し始めている。相手をびびらせたら勝ちですわ。
◎カープ１６回戦……６−１１
湯舟は初回から３回まで完璧な投球。打線もそれにこたえる。来日初登板のラドウィックから、初回は三塁打の坪井を置いてフランクリンのタイムリー。３回は四球の田中を置いてフランクリンの２ランホームラン。これはもう左うちわと思った。ああそれなのに湯舟どうした。４回、野々垣に死球を与えると、もうめろめろ。町田に打たれ、金本にびびって歩かせ、無死満塁。ロペスを追い込みながら、勝負球が甘く入ってなんと逆転の満塁ホームラン。５回には金本に２ランを浴びて降板。もうあかんと観念したら、５回、佐竹から大豊が特大の３ラン！ 同点に追いついたではないか。これはもうあいてのリリーフの弱さを考えたら勝機は十分と喜ばせてくれた。これをぬか喜びにしたのが久々の登板のミラー。１イニングもたないんですからね。よくまああんなに器用に真ん中に投げられるものだ。なぜミラーを一軍に上げたかね。同じ外国人投手なら、二軍で好投を続けるラミレズでしょう。慌てて登板した吉田豊も準備不足か球が走らず失点を重ね、１イニングで５点も取られてしまう。せっかく打線が調子づいたのに。それともこれまで大量得点をもらいつけていない投手陣には勝手が違って調子がおかしくなったかな。
◎スワローズ１２回戦……０−８
福原は４回まで全力でとばす。４回の三者三振なんか圧巻でした。しかし、５回、ペタジーニに四球を許したとたんになにか投球がせせこましくなった。高橋智には内角をつくことができず外角にばかり投げてねらい打たれて二塁打で先制点を許す。自らの暴投もからんでこの回２失点。圧巻は６回。あれよあれよという間にペタジーニ、古田、高橋智と３者連続ホームラン。打線はハッカミーの前に力のない内野ゴロばっかり。古田の術中にまんまとはまってしまった。これで対スワローズ戦８連敗。
◎スワローズ１３回戦……７−４
スワローズはローテーションの谷間か。先発はレモン。なめたらあかんで。１点を先行されたものの大豊の同点ソロと勝ち越しの２打席連発の満塁ホームランで一気に４点差。ところがハンセルがしまらない。池山のホームランなどで１点差に迫られる。ここからが野村監督の継投策。５回途中でハンセルを見切り、西川、伊藤、中込とつないでスワローズの反撃を断つ。打線も取られたら取り返す。６回の坪井のタイムリーといい、７回の新庄のホームランといい、これまでの苦手意識を払拭するように思い切りのいいスイングでスワローズのリリーフ投手を打ち崩した。最後は葛西が難なく抑えて久々のセーブ。これでスワローズ戦の連敗をストップした。１つ勝てば相手を怖れることはない。これはベイスターズ戦もそうだった。いい形で次節につなげられる勝利だ。
◎愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……川尻哲郎 惜しかったなあ、あと一歩で完封だった。しかし、打線の援護もあってほぼ完璧な投球。次のドラゴンズ戦も頼みましたよ。
野手……大豊泰昭 今節も好調は変わらず。とくにスワローズ戦の２連発はきいたなあ。フランクリンも２ホーマーしているけれど、いずれも負け試合。その差で大豊にＭＶＰだ。
どうもペナントレースはジャイアンツが首位を走り出した。全くもって面白くない。こうなった責任はタイガースにもあるのだ。次にジャイアンツに当たるまでに少しでも調子を上げて、絶好調となったときにぼこぼこに叩いてほしい。そのためには星野とタラスコが早く一軍に復帰することだ。それまでは現有勢力で乗り切るしかない。とはいえ、野村監督はちょっと打線をいじくりすぎてはいないか。私としては田中を二番に固定して成長させるべきだと思うのだが。
（２０００年７月１０日記）
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