オールスター前最後の３連戦は、甲子園に首位ジャイアンツを迎え撃つ。第３戦こそ凡戦だったが、最初の２試合はともに延長戦という白熱したゲーム展開。フランクリンとタラスコを欠いた打線でよくやったと思う。結果は１勝２敗と負け越したが、十分に楽しませてくれた。
◎ジャイアンツ１７回戦……７−９
藪とメイの先発。藪は立ち上がり不安定で、初回に松井の犠牲フライで１点は取られたものの、間を抜けたと勘違いした元木の暴走でダブルプレイ。これで流れはタイガースに。その裏、平尾が二塁打で反撃開始。新庄の三塁打で同点、大豊もうまい流し打ちを見せ、タイムリーで勝ち越す。３回には先頭の坪井がセンター前にうまく弾き返して出塁、ランナーを気にするメイから平尾がバスターエンドランを決めて二塁打でチャンスを広げ、ハートキーのタイムリーで１点追加。さらにメイのワイルドピッチで４−１とリードを広げる。藪の６回までの好投からいけば、このまま楽勝と思われた。しかし、タイガース打線はかわった三沢、柏田、岡島から追加点を奪えない。７回には藪の悪い癖が出た。ヒットを１本打たれるとカッときて一本調子になり、球が浮いてつるべ打ち。３本のヒットで１死満塁となり、打者は川相。ここで川相はスクイズ。予想もしていなかったバントに野手は大慌て。１点取られてなお満塁。ここで福原にスイッチ。仁志をショートゴロに打ち取ったが併殺が取れず、ランナーが残る。清水の二塁打、元木のホームランで一挙４点を取られ、この回６失点。この３点差の壁は大きく、ここで負けを覚悟した。ところが、ところがですよ。９回の裏、抑えに出てきた桑田から代打の田中、代打の桧山が連続ヒット。そして出てきた代打は八木。見事でした。難しい球をうまくとらえてレフトスタンドに。一気に同点だ！ 急遽登板の木村から続く代打の根本もヒットを放ち、坪井が送ってサヨナラのチャンス。しかし、平尾もハートキーもいい打球を打ちながら野手の正面をつき、チャンスをものにできなかった。結局葛西が１０回表に杉山のタイムリーで２点を取られて負けたが、勝っていたはずの試合をひっくり返され負けムードになったところを一気に追いつく展開はとても楽しかった。八木がダイヤモンドを１周する間のジャイアンツナインの茫然とした表情を思い出すだけで気持ちいい。
◎ジャイアンツ１８回戦……３−２
川尻は立ち上がり不安定。仁志と清水のヒットなどで１死満塁に。しかし清原をサードゴロに打ち取り、ゲッツーかと思いきや、ハートキーのまずい守備で１死しか取れず、先取点を許す。高橋由のタイムリーも出て、２点のビハインド。守備が助けてやらんといかんよ。ジャイアンツ先発の西山に手も足も出ない感じだったが、勝ち星を意識した５回、今岡の死球と山田のセンター前ヒットでチャンスを作り、代打根本がこれもきれいにセンター前に弾き返して１点を返す。ここで投手は柏田に。坪井が送って田中が死球とチャンスが広がるが、ハートキーが今度は打撃で足を引っ張る。なんとショートゴロ併殺。勝ち越しのチャンスをつぶしていやなムード。川尻は３回に打球を手に当てて降板、細かい継投でなんとかしのいだが、圧巻は８回の福原。１死満塁のピンチで開き直り、徹頭徹尾速急で押しに押し、１５０kmを連発。代打佐々木は見送り三振、仁志は球の力に押されて凡フライと見事ピンチを脱した。その裏、昨日もやられた岡島の前に二者凡退といやなムード。そこへでました代打和田。レフト前へポテンヒットはベテランの味。代走は新人の松田。しかし、新庄の当たりはセンターへの平凡なフライ。万事休したところが、深く守っていた松井の目の前にぽとりと落ちるヒット。全力疾走の松田は一塁から長躯ホームへ。村田捕手のタッチをかいくぐり、同点のホームイン！ 試合は２日連続の延長戦に。１０回の裏、桑田が今日もやってくれた。二死から新庄が軽くヒットを打って出塁。そして盗塁。大豊敬遠で打者は吉田剛。ここで吉田は左中間を破るクリーンヒット！見事なサヨナラ勝ちで溜飲を下げた。
◎ジャイアンツ１９回戦……２−９
なにもいうことなし。中込が悪すぎた。二岡のホームランなどで２点先制され、その二岡のエラーなどもあって自らのタイムリーで同点にしたのに、３回には高橋由に二塁打を打たれてまた突き放される。辛抱していた野村監督もここで断を下した。つないだ投手陣も今日は調子が悪く、失点を重ねる。打線は高橋尚の前にランナーは出ても続かない。大豊などはタイムを取って打席をはずしたのに認められず激昂。審判に暴言を吐いたということで退場に。今岡をはじめとしてエラーも目立って散々な負けっぷり。オールスター前なんだから、星野伸など先発投手陣をつぎ込んででも勝ちにいく姿勢が欲しかった。
◎愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……福原忍 第１戦のことは忘れよう。第２戦で見せた速急一本槍の投球、これに尽きる。そう、その球を投げ続ければ、打てる打者はいないのだよ。後半戦はこのスタイルでがんがんとばしてくれ。
野手……八木裕、吉田剛、根本隆輝 八木の代打同点３ラン、吉田のサヨナラタイムリー、しびれました。ベテランの味を堪能しましたよ。そして、代打で確実にチャンスをつかんでいる根本も忘れてはならない。今岡はこの３人のしぶとさを見習え！
大豊は後半戦１週間の出場停止処分。以前なら認めていたタイムを、メイとの一件があったとはいえ突如厳しく取らなくなるとは理不尽な。しかし、オールスター明けにはフランクリンとタラスコが復帰する。実力を発揮してくれれば、こんなに頼もしい選手はいないのだ。大豊の穴は八木や根本で埋めてもらおう。
オールスターの第２戦、藪と坪井が優秀選手賞を受賞する活躍。遠山もイチローにヒットは許したが、あとはきっちり抑えていいところを見せた。この勢いを後半戦に持ち込んで欲しいものだ。次節は甲子園のカープ３連戦から。
後半戦はなるべく打線を固定して選手が落ち着いて試合に取り組める環境を作ってほしいものだ。
（２０００年７月２４日記）
目次に戻る
ホームページに戻る