連敗を9でストップさせた後は3連勝で最下位脱出。しかも2試合連続のサヨナラ勝ちと、やっぱりタイガースは甲子園やねえ。大阪ドームのスワローズ戦は2勝1敗、甲子園に戻ってのカープ戦も2勝1敗。2カード連続の勝ち越しで今節は4勝2敗。勝率5割まで10勝というところまで引き戻した。特に塩谷、井川ら若手選手の活躍がみられて、いい雰囲気になってきた。残り1ヶ月、この調子でいけば5割も夢やないぞ。
◎スワローズ17回戦……4−7
スワローズの先発は谷間のレモン。これなら攻略できると思ったが、その前に川尻が自滅してしまった。先制したのはタイガース。初回にタラスコのヒットを足がかりにレモンの暴投、古田の捕逸とバッテリーミスで点をもらう。しかし、2回、1死一二塁でレモンのピッチャーゴロ併殺を、ショートの田中が一塁へ悪送球して同点に追いつかれる。これで川尻がペースを乱し、土橋とペタジーニの二塁打で4失点。3回から登板の湯舟もエラーで足を引っ張られた。3回、二死二塁でレモンの平凡なライトフライをタラスコが落球。ドームの天井の色で球を見失ったのか。湯舟は4回にも稲葉に2点打を許して前半で7点を失い、勝負は決した。5回で退いたレモンの後の投手も打てず、6回に飛び出した新庄のホームランも焼け石に水。湯舟はこの後に軍落ちし、代わりに弓長が昇格した。
◎スワローズ18回戦……8−0
ハンセルがすばらしかった。無駄な四球もなく、矢野の構えたところにずばりと決まるコントロールの良さ。いやいや文句なし。さらに打線も苦手左腕の高木を攻略。2回に塩谷の投手強襲安打で先制。5回には満塁でまたまた塩谷が今度はライトにうまい流し打ちで走者一掃の二塁打。大豊と新庄のホームランもすばらしい当たり。最後は一軍に昇格したばかりの弓長をテスト登板させる余裕まであった。できたらハンセルに完投させてやってほしかったなあ。気持ちよく連敗ストップ。
◎スワローズ19回戦……5−4
星野伸は初回にペタジーニのヒットと古田の犠牲フライで2点を失った。せっかく連敗をストップさせたのに嫌な雰囲気だと思ったら、スワローズも投手のやりくりは大変みたいで、先発宮出からその裏新庄の3試合連発となる自己最多タイの23号2ランで一気に同点。しかし2回表、星野のスローボールにタイミングの合っていた岩村がソロホームランを放ってまたリードを許す。と思ったら、3回に坪井がまたまた同点となるホームランをライトスタンドに叩き込む。5回には田中のライト前ヒットを足がかりに和田が右中間を抜く技ありの三塁打。決して当たりはよくないが、野手のいないところに計ったように打つのだからたいしたもの。5回で星野伸は降板。西川は2回をぴしゃりと抑え、三番手は福原。なんてことだ。岩村を速球で追い込みながら変化球を狙われて同点ホームランとは。この後、両チームのリリーフがよく踏ん張って延長戦に。特に弓長が11回から14回の途中までよく投げた。中継ぎ男の復活だ。14回に高橋一から田中が四球を選び、代打松田がバントで送る。途中からマスクをかぶっていた山田が見事な流し打ちを見せ、球はライト前に。5時間40分の今季最長試合は選手会長の一打で決まった。福原が岩村に不用意に投げた一球がなければ延長戦にはならなかったはず。先発なのかリリーフなのか、はっきりしない起用法にも問題がある。勝ったからよかったけれど、福原をどう育てようとしているのか、それが見えないのが課題だ。右手首に死球を受けた大豊が欠場したのも痛い。
◎カープ23回戦……3−2
藪は勝ち投手になってもいい投球。8回二死まで1失点と好投していたのだから。初回に苦手金本にタイムリーを打たれたけれど、この日は左打者の胸元をつくスライダーが効果的。2回には先発ミンチーから四球の桧山、ヒットの矢野を塁に置き、塩谷がレフト線へ引っぱって同点の二塁打。4回にもまたまた塩谷が新庄を二塁に置いて今度は流し打ちの勝ち越しタイムリー。右に左に打ち分ける巧打が光る。このまま1点差で逃げ切るかと思われたが、8回に二死一三塁となったところで苦手の金本を迎えて西川にスイッチ。その西川は金本を歩かせて満塁。ロペスのところで葛西が登板。ここで葛西の内角高めの逆球を矢野が後逸して同点に追いつかれてしまった。8回裏からカープは高橋がマウンドに。9回、田中が四球を選ぶと昨日のヒーロー山田が代打に。うまいセンター返しでランナーは一死一三塁。坪井の打球はライトへ。これがサヨナラの犠牲フライとなり、3連勝を決めた。坪井は牽制死やライナーで飛び出して併殺になるなど走塁ミスでチャンスをつぶしていたが、最後の最後で決めた。
◎カープ24回戦……1−3
佐々岡の好投に打線が沈黙。いい当たりが正面をつく不運もあったが、それだけ球威に押されていたということだ。対する井川は初回に金本のタイムリー、2回に佐々岡の併殺崩れでそれぞれ1点ずつとられたものの、それ以降はランナーを出しながらも要所を締めて佐々岡と堂々と投げ合った。8回には大豊の替わりに不慣れな一塁に入っている桧山がロペスのフライを捕れずに1点を献上したが、前節の好投がフロックでないことを証明した。打線の援護がなかっただけで、勝ちに匹敵する好投だった。リリーフの藤川も1回をきっちり抑えた。若手がチャンスをものにしていくのを見るのは気持ちがいいぞ。
◎カープ25回戦……4−2
川尻が久々に好投。打線も今季初先発の長谷川から、初回には先頭の坪井のヒットを足がかりにタラスコのタイムリー、新庄がレフト前ヒットでつないで桧山がタイムリーと続き2点を先制。4回にはタラスコがライトスタンドにきれいな弾道のホームランを放てば、負けじと桧山も掛布を彷彿とさせる流し打ちホームランで4点目。川尻の失投は4回のロペスの2ランくらい。完投は逃したが、相手の打ち気をそらす技能的なピッチングであった。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……グレッグ・ハンセル 後半戦、一番安心してみていられるのはこの投手ではないか。この調子でいくと、ぎりぎり10勝まで届くかもしれない。コントロールの安定と切れのいい速球がよく決まっている。来シーズンの残留は確定ですな。
野手……新庄剛志 塩谷和彦 新庄の3試合連続ホームランは嬉しい限り。9連敗中は新庄のところで打線が途切れていたからね。やはり4番が打たないと。塩谷はいいところで打っている。特に場面によって引っぱったり流したりと自在のバッティングがいい。相手捕手がリードで悩んでいるのがわかる。将来の3番打者と期待されていた男がいよいよ真価を発揮しはじめた。
ジャイアンツはマジックナンバー点灯を前にベイスターズに3連敗。全体の歯車が悪くなってきている。そこに投打がかみ合ってきたタイガースがぶつかる。今年の対戦成績では既に負け越しが決まっている相手だが、今のムードはタイガースの方が上。 好調のハンセル、調子を戻しつつある星野伸と藪というローテーションになる。ここらで一泡吹かせてほしい。その後は甲子園でベイスターズと。むむむ。前節で6連敗したときと同じカードではないですか。ここはもうリターンマッチ。お返しをそのままもらいましょう。
(2000年8月28日記)