愛すれどTigers


最後のG戦、互角の戦い

 へえ、野球なんかやってたん。というくらいオリンピック一色に染まった今節、甲子園での最後のジャイアンツ戦は1勝1敗。広島市民球場でのカープ戦も1勝1敗。一進一退を繰り返してはいるが、5位まで1.5ゲーム差とまだまだ最下位脱出のチャンスはあるし、選手の士気も衰えているわけではないと感じさせる週でもあった。

◎ジャイアンツ26回戦……4−1
 ハンセルが力投。6回を3安打無失点。前日水害の影響で新幹線の中で一夜を過ごしたジャイアンツ打線は時差ボケもなんのそのの江藤が3安打したのが目立つくらい。さすがカープ育ち、猛練習で体力をつけている。打線は左のメイが先発とあって坪井をベンチに引っ込め、俊足ルーキー上坂をトップバッターに入れる。この上坂が猛打賞の大活躍。4回に新庄のタイムリーで先制。この時もトップバッターで出塁して足場を作った。圧巻は6回。三遊間を破るクリーンヒットで出塁したら、いきなり二盗。無警戒のバッテリーをあざ笑うかのようにすぐさま三盗。動揺したメイは和田を歩かせ、ハートキーと勝負。レフトポール際に飛んだ打球はだめ押しの3ランホームラン。あとはお得意の継投。福原が代打後藤にホームランを打たれたのみ。どちらが首位だかわからない勝ちっぷりだった。
◎ジャイアンツ27回戦……7−8
 藪がいきなり初回に3失点。仁志を歩かせ清水にライト前に運ばれ、高橋由にはさんざん粘られたあげくに先制タイムリーを打たれ、松井を三振に取ったものの清原の内野安打をハートキーが悪送球して2点目を献上し、江藤のレフトライナーで三塁走者が帰って3点。結局この回は打者一巡。苦手の高橋尚ではあるが、3回、吉田剛の流し打ちのヒットを足場に、上坂のヒット、和田の四球とランナーをためて四番の新庄。平凡なレフトフライと思いきや、深めに守っていた清水の前に落ちるラッキーなタイムリーで2点を返す。1点差に迫って、さあこれからというところで藪はまたまた連打され、仁志のタイムリーで点差を広げた。藪はここで降板。タイガースもジャイアンツも小刻みな投手リレー。8回、山崎が清原にホームランを打たれて3点差に開いたときはもう負けたと観念した。ところがその裏、奇跡は起きた。この回登板の野村が桧山に四球を与えると、南を投入。矢野はフルカウントから一二塁間を破る技ありのヒットでチャンスを広げ、ここで代打はタラスコ。初球を軽く打つと、打球はレフトスタンドへするするっと伸びて一気に同点になる3ラン! ところが、9回表、ベテラン伊藤が代打後藤に出会い頭の一発を浴びてまた突き放される。9回裏、抑えの切り札岡島が登板。ハートキーは四球で出塁、新庄がヒットで続く。代打八木も歩き、満塁サヨナラのチャンスに矢野登場。フルカウントから矢野が見送った球は真ん中低めの変化球。三振と思った村田善は一瞬ガッツポーズ。ところが判定はボール。長嶋監督が血相変えて怒っても、判定は覆らない。あれは正直なところストライク。でも審判がボールとコールしたらボールなの! 押し出しの四球で同点に。続くタラスコは肩に力が入ってサードフライ、延長戦に。しかし、こちらも切り札の葛西が打たれる。清原への四球でピンチを作り、元木、二岡のタイムリーで2失点。その裏、タイガースは反撃、元木のトンネルなどもあってランナーをため、星野修の犠飛で1点を返す。しかし、サヨナラのチャンスに大豊が凡退し、残念ながら敗れてしまった。しかし、優勝目前のチームに対してこれだけ苦しめたのだから、よしとしたい。
◎カープ26回戦……3−2
 川尻は今回も好投したが、打線が見殺しに。先制したのはタイガース。ミンチーから2回に矢野のタイムリーで1点。しかし、4回、川尻は金本に死球を与えたあとロペスに手痛い逆転ホームランを浴びる。この回だけ、この回だけです。6回に大豊の二塁打などでチャンスを作るが、矢野は三振。川尻が降板し、西川と福原のリレーでカープ打線を抑えると、8回にとうとう出ました。代わった山崎健から新庄がバックスクリーンに放り込む自己最高の25号逆転2ラン!これで対カープ戦の勝ち越しを決めた。川尻に勝ち星をつけてやりたい試合。
◎カープ27回戦……3−5
 苦手の佐々岡を初回に攻略。和田は四球で出塁するとすかさず盗塁。新庄のタイムリーでまずは先制の1点。さらに満塁のチャンスを作るが山田が見逃し三振でチャンスをつぶしてしまった。井川は前回よりもボールが真ん中に集まる不安定な投球。せっかく先制してもらったのに、初回にいきなり木村拓に同点ホームランを浴びる。2回には新井にもホームランを打たれ、3回にはヒットで出塁のディアスが盗塁、山田の送球を和田が弾いてボールが外野に転がる間になんと走者生還で3点目を失う。若手が投げてるときにベテランが足を引っ張ってどうするの。しかし、タイガースもじわじわと反撃。4回にはタラスコの内野安打を足がかりに相手のエラーもからみ、山田のタイムリーで1点差に迫る。7回にとうとう追いついた。吉田剛の内野安打で先頭打者が出塁、東出のエラーなどもからみ、三塁まで走者を進める。ここでハートキーが同点タイムリーをセンター前に。残念なのは4番の新庄がここでピッチャーゴロと一気に勝ち越せなかったこと。8回にも走者を三塁まで進めながら返せない。9回には代わった紀藤から矢野が内野安打で出塁、和田が送ってハートキーのレフト前ヒット。矢野は思いきってホームへ突っ込むが、タッチアウト! だんだん嫌なムードになる。9回裏、前回もリリーフ失敗の葛西が、この試合もやられた。浅井のサヨナラ2ラン……。一気に相手を攻めきれない今年のタイガースを象徴するような試合だった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……グレッグ・ハンセル この人しかいないでしょう。今や安定感ではタイガースの先発陣1番手。
野手……上坂太一郎 坪井をはずしてまでして使ってもらったジャイアンツ戦に売り物の盗塁で全国のファンにその勇姿を見せつけた。来季に向けて一番の明るい話題であります。

 とにかく残り試合を15勝1敗で乗り切り、5割に……。あかんかなあ。
 上坂の活躍は嬉しいけれど、坪井がなんだかいっぺんに老け込んだみたいになっている。切磋琢磨して将来のタイガースを背負う外野手コンビになってほしいのだけれど。

(2000年9月18日記)


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