愛すれどTigers


鬼門ナゴヤで3連続完封負け

 甲子園でのスワローズ戦を1勝2敗で乗り切りなんとか5割で迎えた鬼門ナゴヤドーム。ここでなんとも情けない3連続完封負けを喫し、5球団とひとまわり当たったところで3つの負け越し。とにかく打線が淡白。初球狙いは悪くはないけれど、相手投手の調子が悪い時はよく球を見て粘り、崩していかないと、結局調子づかせてしまう。せっかく当たりの出てきた沖原は骨折で2ヶ月は欠場、クルーズも死球の後遺症か再びタイミングがとれなくなってしまった。
 誰ですか、タイガースは打線が弱いと開幕前に言うたのは。私です。やっぱり打線が弱い。一人が打てなくなるとあっというまに全員がダメになるのはなんとかならんものか。

◎スワローズ1回戦……0−2
 古田のリードにまんまとしてやられた。打てないと見ると執拗にそこをついてくる。クルーズにしても広澤にしても沖原にしても苦手な球で徹頭徹尾攻められて凡退を重ねていった。スワローズ先発の伊藤は決してよい出来ではなく、故障で降板したくらい。5回裏、一死満塁のチャンスに井川に打席がまわってきたのも痛かった。三振してくれた方かまだましという併殺打。これで落胆したのか、井川は次の回の6回表にあれよあれよというまにランナーをためられ、池山の犠牲フライとラミレスのタイムリーで2失点。しかし、8回まで投げてこの2失点に抑えたのだから責めてはいけない。とにかく古田に打線が翻弄されたという印象の残る試合。
◎スワローズ2回戦……2−4
 初回、二塁打の坪井を置いてクルーズが先制タイムリー。この1点を守り切れなかった川尻だが、惜しいといえば惜しかった。4回表、二塁打の稲葉、連続死球のペタジーニ、古田を塁に置き、ラミレスに同点タイムリーを打たれた。そこで一気に崩れずノースリーから打ってくれた岩村はファウルフライ、土橋も三振。次打者は投手の藤井。打ちにくい変化球をボールになるコースに投げればよいのに、相手を甘く見たか真ん中に打ち頃の球を投げなんとライト前のクリーンヒット。この2点が痛かった。結局タイガースの反撃は広澤の第1号ホームランだけ。これもしつこい速球攻めに広澤の目が慣れたものと見ることもできる。藤井、島田、高津のリレーに抑えられ、今季初の連敗。ハンセルが風邪で登録抹消ということもあり、嫌なムードが漂った。
◎スワローズ3回戦……4−3
 初回、坪井がスワローズ先発石井一の速球を狙い打ち。続く上坂のバントが相手のエラーをさそう。クルーズが前日に続き見事な先制2点タイムリー。これに乗ったカーライルも好投。しかし、3回には飯田の好走塁もあり1点返され、4回にはラミレスに同点ホームランを、そして6回にはペタジーニにもホームランを打たれてリードを許す。速球派投手の落とし穴と言える被本塁打はやむを得ないか。しかし、この日のクルーズは乗っていた。6回裏、特大の同点ホームラン! 二塁打で続いたペレスを沖原がうまい右打ちのタイムリーで返し、逆転に成功。あとは、伊藤、弓長、葛西、成本のリレーで逃げ切った。8かいにヒットで出塁した沖原だったが、好事魔多し。オーバーランで帰塁した時に指を骨折してしまった。復帰まで2ヶ月はかかるという。堅実な守備に加え、持ち前の打撃センスが本領発揮してきだしただけに、この鮮烈離脱は痛い。
◎ドラゴンズ1回戦……0−7
 山本昌の前に5安打完封負け。チャンスにまわった今岡が2併殺したのが敗因。開幕戦の頃の積極的なバッティングもスランプとなっては全てが空回り。おまけに主砲クルーズは最初の打席に死球退場。前日の沖原に続いて、調子のよい打者が負傷とは……。5回表、チャンスに打席がまわった先発投手の星野伸に代打を出せなかったのは仕方ない。そこまで1失点で踏ん張っていたのだから。しかし、結局その裏に変化球をつるべ打ちされて連打を食らい4失点。打線の援護があれば踏ん張れたかもしれない。
◎ドラゴンズ2回戦……0−2
 野口の前に5安打完封負け。今岡を六番に下げ、ペレス三番で臨んだが、効果なし。クルーズも死球の後遺症か振りが鈍く、三振3つ。先発の福原はよく投げ、7回を2失点に抑える。先取点は四球がらみで取られたのだが、ここぞという時の細かいコントロールに課題が見えた。沸いたのはペレスのラフな走塁に立浪が怒ってもみ合いになった時だけという、なんとも淡々とした展開。ラフなプレイはいただけないが、ペレスのファイトを見習って奮起してほしい。
◎ドラゴンズ3回戦……0−6
 武田、岩瀬、正津、ギャラードの前に3安打完封負け。スワローズ3回戦から数えると29イニング得点なし。カギは初回。坪井のヒット、ペレスの四球、クルーズのヒットで一死満塁となったところで桧山がセカンド併殺打。立浪が待っているところにまんまと打たされた。この拙攻が響いたか、今季初先発の薮は初回に連打を食らって2失点。それでも5回まではそれだけに抑えていたのだ。ところが、6回に悪い癖が出て、ムキになって打たれた球を投げ続け、四球などでためたランナーを連打で返され4点を追加される。好材料は前日に続けて好投した中継ぎ吉野。次は先発させてみてはどうか。嫌な材料はハンセルに続いて葛西も風邪で離脱したこと。泣き面に蜂とはこのことか。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……バディ・カーライル 今節唯一の勝ち投手。前回の好投よりは速球の走りはよくなかったものの、イキのいい投球が光る。打たれてもいいから、これくらい気合いの入った投球をベテラン陣は見習ってほしい。
野手……イヴァン・クルーズ 死球を受けるまでは、ほんとに打棒が上向きになってきてさあこれからと思った。苦手な球にも対応できるよになってきたのに、山本昌のせいでまたおかしくなってしまった。星野監督はペレスのラフプレーに怒る前に山本を叱りなさい。

 「週刊現代」に、塩谷内野手が松井ヘッドコーチを殴ったとの記事が出た。真偽はともかく、ベンチの雰囲気が悪いのは嘘ではないだろう。野村監督はことあるごとに「阪神の選手はなにを教わってきたのか……」というが、少なくともこの2年に台頭してきた選手は野村監督、あなたに教わった野球をしているはずですぞ。教育者を自認するなら、この発言は自殺行為。負けてもいいから、選手を固定してじっくり使ってやれよと言いたい。
 次節は甲子園でドラゴンズ3連戦がある。ナゴヤの仇をぜひ甲子園で討ってほしい。このままでは情けないの一語に尽きる。

(2001年4月16日記)


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