愛すれどTigers


伊達プロ初勝利!最下位脱出!

 ええい、1週違うだけでどうしてこんなに変わるのだ。前節のふがいないチームが一転して投打の噛み合った理想的なチームになるなんて、予想もつかなかった。それくらい今節のタイガースは見事だった。倉敷で1試合、大阪ドームで2試合のドラゴンズ戦には3連勝、甲子園に戻ってベイスターズ戦には2勝1敗。今節は5勝1敗。ベイスターズを勝ち数で抜いて5位に浮上した。いや、次節には4位に上がれるところまできている。1番赤星、2番藤本、3番濱中の「平成少年隊」が生き生きとプレイし、チームを引っ張っている。積極果敢な姿勢が見られ、チーム全体に活気がみなぎってきた。これですよ、これ。こういうタイガースが見たかった。ほんとに気持ちよい1週間でありました。

◎ドラゴンズ11回戦……3−2
 先発はハンセルと川上。1回表、井端の死球、立浪のヒットでピンチを招いたハンセルは、ゴメスにタイムリーを浴び、さらに山崎武にも四球。しかし井上をピッチャーライナー、ティモンズを三振に切ってとりなんとか1点に抑え切った。これがよかった。このあとハンセルは6回までランナーは許してもなんとか失点を防ぎ、打線の奮起を待つ。6回裏、桧山の技ありのレフト前ヒットを足場に矢野の四球などでチャンスを作ると藤本が前進守備の間を破る左中間へのタイムリー二塁打で2点を返し、逆転。リリーフの伊藤がティモンズにまさかの同点タイムリーを浴びた時は嫌な予感がした。しかし、8回裏、完全に高いボール球を今岡が大根切りで振ると、打球はレフトポール際に飛び込む決勝ホームラン。成本が締めて連敗脱出。ドラゴンズも打てないとはいえ、よく辛抱して勝ち取った勝利である。
◎ドラゴンズ12回戦……4−2
 立ち上がり、ワンチャンスをものにしたタイガースの集中打で試合が決まった。開幕から8連勝のエース野口を崩したのはゴメスのエラー。今岡が生きて濱中がセンター前に打ち返してつなぐ。クルーズが歩き満塁に。広澤は三振したものの、続く矢野が四球で押し出しの先制点。エバンスの加入で危機感を持ったペレスが低めの球を左中間にもっていく。走者一掃の二塁打でなんと初回4点。今季初先発の谷中は内角を思い切ってつく攻めの投球でドラゴンズ打線を翻弄。7回までは完封ペースの好投だ。8回、勝ち星を意識したか連打を浴びて2点は失ったが、葛西、成本とつないで後続を断ち切った。2回以降、タイガース打線は1安打しか打てなかったのだから、初回の4点は大きかった。野口が相手ということで谷間の先発となった谷中が予想以上の投球をしたのが嬉しい誤算。捨てゲームを拾うことが連勝につながる。
◎ドラゴンズ13回戦……9−0
 先発は井川。前日肩に違和感があって登板を回避したという監督談話は完全に三味線ですな。スピードがなく7安打を打たれたが、要所要所でチェンジアップが決まり、得点を許さず7回を投げ切った。対するバンチはコントロールが定まらず3回につかまえた。藤本が俊足をとばしてセカンドゴロを安打にすれば、濱中は甘い球をセンター方向に打ち返し、あわやホームランという先制三塁打。クルーズが歩いてランナーをため檜山がライトスタンドに3ランホームラン! 6回にも藤本が出て濱中が二塁打で返すというパターンで追加点。今岡と星野修にもタイムリーが出て7バンチから7点を奪いKOした。8回にも宮越から桧山のホームランなどで2点を奪い、伊藤、面出の完封リレーでドラゴンズを3タテ。なんとこれは13年ぶりのことだそうだ。
◎ベイスターズ11回戦……3−6
 カーライルが四球で自滅。初回先頭打者に四球はないでしょう。2、3回も先頭打者を歩かせ、いずれも失点につながってしまった。2回の小宮山に打たれた2点二塁打なんか、初回に同点に追いついてもらっただけにもったいない失点。3回で5失点、そのままKO。吉野、伊達、弓長のリレーか成功して追加点を許さず、5回にヒットのペレスと赤星を塁に置いて濱中が2点タイムリーを放ち2点差に詰め寄る。赤星と藤本が足でかき回し、濱中が長打で返すというパターンが作られつつある。反撃ムードにはなったが、9回に伊藤がドスターに打たれたホームランでそれもつぶれてしまった。しかし、負けはしたが先発さえちゃんとしていれば打線はそれに応えてくれるという感触を得た試合。
◎ベイスターズ12回戦……4−2
 福原は序盤変化球を打たれて先制される。2回表、ズーバーのタイムリーで1失点。しかし、谷繁、三浦を連続三振に切ってとるなど速球主体の投球に切り替え追加点を許さない。これが大きく、そのあとは危なげない内容。打線がそれに応える。苦手の三浦から5回、先頭打者の赤星が四球を選びすかさず盗塁、藤本のセンター前ヒットで二塁から長駆ホームインして同点に。さらに濱中がセンターに打ち返し、藤本が一気にホームをついて逆転した。「平成少年隊」の見事なコンビネーションだ。7回表、種田のタイムリーで同点に追いつかれた時は嫌な感じがしたが、それを吹き払ったのは桧山。元同僚の杉山賢からライトスタンドに突き刺さる鋭い打球の決勝2ラン! 成本がぴしゃりと締めて快勝。
◎ベイスターズ13回戦……3−2
 プロ入り初先発の伊達に、打線が先制点をプレゼント。というか、ベイスターズ先発のバワーズが赤星にいきなりヒットを打たれたあと3連続四球で押し出しの1点をくれて1死も取れずに降板するという独り相撲で点をいただいたという感じ。替わった米から桧山が鋭い打球のセンター前2点タイムリーで3点先取。伊達は4回に佐伯の2ランで1点差に迫られ鈴木尚、ズーバーにヒットを許すなどつかまりかけたが、落ち着いたプレートさばきで後続を断ち5回2失点でマウンドを先輩たちに託す。打線はそのあと6回、7回にそれぞれチャンスを作るが、積極果敢な走塁も本塁で刺されるなど惜しいところでチャンスを逃し、追加点が取れない。吉野、谷中、弓長のリレーで1点差のまま9回成本にスイッチ。成本は鈴木尚、井上のヒットで1死一三塁のピンチを招く。ドスターの打球はライト前に落ちそうな当たり。同点かと思われたが、二塁手の田中が背中向きでこれを好捕、代打中根の強い打球も田中への真正面のライナーに終わり、なんとか逃げ切る。成本は12セーブ目。なんと今節4セーブの荒稼ぎ。そして、伊達は嬉しいプロ初勝利。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……谷中真二、伊達昌司 谷中のマウンド度胸、伊達の落ち着いたプレートさばきで。先発の人数がなかなか揃わないところでこの2人が見事に勝ち星をあげたのは今後の投手陣の建て直しを考えても光明である。次回の先発登板でその真価が問われるだろうが、この日の投球を自信につなげていけばローテーション入りも期待できそう。
野手……桧山進次郎 「平成少年隊」の活躍もさることながら、桧山の3ホームランを含む大活躍に拍手を送りたい。やはりこの選手はスタメンで使い続けてこそ力の出る人。そして、チームの柱となるべき人。

 調子が上がってきたところで、苦手のジャイアンツ、スワローズとの6連戦を迎える。今節の勢いがあれば、これまでのようにやられることはないだろう。要は今節に形のできた「平成少年隊」がのびのびと自分のプレイをすればよいだけのことだ。どうやらエバンスが一軍に昇格しそうだけれど、1番から5番までの打順がうまく機能しているうちはエバンスにいきなり3番を打たせるようなことをする必要はない。あくまでカンフル剤と心得て、今の形が崩れかけた時に投入するという方向で起用してほしいものだ。

(2001年6月18日記)


目次に戻る

ホームページに戻る