甲子園でのジャイアンツ戦、初戦は雨で中止となったが残る試合は連夜のサヨナラゲームで2連勝。最下位チームとは思えない緊迫感あふれるゲーム展開で、好調タイガースを印象付ける連勝だった。ところが、舞台を神宮球場に移したスワローズ戦にはなすすべもなく3連敗。今シーズンは決まってジャイアンツの後にスワローズと試合をする。ジャイアンツ戦に神経をすり減らし、消耗して試合に臨んでいるのだろうか。しかし、ジャイアンツよりもスワローズの方にすきのなさや自信のみなぎりを感じるのは事実。今シーズンの優勝はスワローズではないかという感じがしてきた。
◎ジャイアンツ15回戦……2−1
先発は井川とメイ。初回に両チームが1点ずつ取り、後は膠着状態に。ジャイアンツの先取点は三塁に二岡をおいて松井がサードへのファウルフライを打ち、来日初出場のエバンスが飛びついて取るとその体勢の悪さを見た二岡がタッチアップからホームインしたもの。これは二岡の判断に脱帽するしかない。一方、タイガースは先頭の上坂が三塁打でチャンスを作り、赤星がきれいにライト前に引っ張って同点のランナーを迎え入れた。さてその後の井川の投球はみごと。速球とチェンジアップを巧みに使い、ジャイアンツ打線を翻弄。タイガースは何度もチャンスを作りながら肝心のところで今岡らが再三バント失敗をしチャンスをつぶす。試合は延長戦に。延長12回、成本を投入しジャイアンツを抑え切ると、その裏、ツキはタイガースに。投手は木村。先頭の矢野のファウルフライを仁志が落球、矢野は直後ライト前ヒットしすかさず盗塁。星野修敬遠のあと、上坂がこの試合初めてバントを成功させる。内野安打となり満塁のチャンス。先取点をたたき出した赤星は、今度はレフト前に流し打ち、見事なサヨナラヒットだ。再三のバント失敗がなければ、こうもつれることもなかっただろうが、井川の好投に打者が応えたといっていい。
◎ジャイアンツ16回戦……1−0
ハンセルと上原の投手戦は圧巻。タイガース打線は7回までノーヒットに抑えられ手も足も出ず。一方のハンセルは4回に二死満塁のピンチを迎えるが、縦に割れる変化球で阿部を三信に打ち取り、以後は快調にとばす。8回、桧山が上原から初安打。球に食らいつく必死の打撃。ここで一三塁のチャンスを作ったが、代打の八木がショートゴロに打ち取られる。ハンセルのあとを吉野と伊藤がよくつなぎ、いよいよ9回裏。先頭の赤星がよく粘り四球を選ぶと、2球バントをファウルにしてしまった藤本がバスターに切り替えライト線を抜く二塁打。濱中は敬遠で無死満塁。ここで上原が降板し、岡島がマウンドに。4番クルーズのところに代打は広澤。岡島がストライクを取りにくる球を狙いすましてセンター方向へ。松井がジャンプしても届かず頭上を抜ける。赤星がサヨナラのホームイン。ベテランがやっと期待に応えてくれた。ジャイアンツ戦の2試合連続サヨナラ勝ちはなんと21年ぶりだそうだ。その時は、佐野、竹之内がそれぞれサヨナラ打を打っている。うわあ、凄い昔の話だなあ。
◎スワローズ11回戦……1−9
福原が変化球ばかり投げてそれを狙い打たれ、沈没。5回を6失点……。なんかスワローズ打線は福原が次に投げてくる球を知っているかのように打つ。福原もおどおどしている。一方スワローズの入来は大量の援護に守られて6回を投げて3安打無失点。低めに球を集められて内野ゴロの山。交代した松田や河端といった二線級にまでなめられたようなピッチング。9回、寺村から桧山がタイムリーを打って完封を免れるのがやっとだった。気が抜けたような試合で4連勝の波に乗ることができない。
◎スワローズ12回戦……0−3
スワローズ石井は最高の投球。球は速い変化球は切れるコントロールはいい。4番クルーズ3三振、5番広澤2三振。カーライルは6回まで岩村のホームランの1点だけに抑えてたんだから合格点ですよ。7回に先頭の岩村にヒットを打たれるとがたがたっときてラミレス、土橋の2連打で追加点を奪われて降板した。好投報われず……。しかしスワローズ戦となるとどうも古田のリードにいいようにやられてるという感じだな。
◎スワローズ13回戦……4−5
先発の谷中は悪くはなかったよ。初回には稲葉にタイムリーを打たれ、2回にはラミレスにホームランを打たれ2失点。しかし6回を投げ切り責任は果たした。藤井から初回に濱中がホームランで先取点、3回にも上坂を三塁に置いてまた濱中が犠牲フライで同点に。そして4回、エバンスの来日初ホームランが飛び出し、2点差に。こうなるとタイガースはお得意の逃げ切り体勢。ところが、この日はリリーフ陣総崩れ。7回、左対策で登板した吉野が岩村にホームランを打たれ、流れはスワローズに。右対策で出た葛西がラミレスに二塁打を許しバントの後池山の犠牲フライで同点に追いつかれる。左対策でマウンドに登った弓長は真中に決勝ホームランを浴びた。甲子園なら外野フライという当たりだったのだが。魔物に魅入られたような7回だった。9回、高津に対してタイガース打線は粘る。星野修の四球、エバンスのヒット、クルーズの四球で満塁に。しかし赤星は三振。不調のクルーズを外して4番に八木を入れる苦心の打線も最後まで追い切れず。勝ってた試合ですよ。あの7回、なんであんなに簡単に打たれたんだろう。神宮という地の利を生かし切ったスワローズが一枚上手だったということか。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶、グレッグ・ハンセル ともに勝ち星はつかなかったが打線の援護がない中でジャイアンツ打線を抑え切り、勝ち試合にもっていった功績は大きい。
野手……赤星憲広 スワローズ戦こそ古田の老獪なリードに翻弄されたが、ジャイアンツ戦ではサヨナラ安打を含めその存在感をアピールした。既定打席には不足しているが、今、最も打率のいい打者でもある。
さあ、次節は甲子園でスワローズとリターンマッチ。カープ戦の後だけにそう消耗もしていないはず。せっかくいい波が来かけているのだから、カープ戦で調子を取り戻し、神宮の仇を甲子園で討て!
今週の「週刊ポスト」に来季田淵監督のもとで清原をFAで獲得するとかいうたわけた記事が載っていた。清原なんか要らない! FAで獲得するなら松井でしょう。つまらぬ憶測記事にまた江本さんが嬉しそうにコメントしてるんだ。もうやめて! そっとしといて! やっとチームがいい形になりつあるのにそれを妨害するなといいたい! がんばれノムさん、負けるなノムさん!
(2001年6月25日記)