相性のよいはずのカープに地元甲子園で３連敗し、６連敗となった。万事休したかと思われたが、甲子園でのスワローズ戦で２勝１敗と同カードの今季勝ち越しが決まった。しかもスワローズのリリーフエース高津を打ち崩してサヨナラばかりでの勝利。もう死に体と思われ、本社の株主総会でも野村監督の進退が取り沙汰されるに至ってのこの勝利は大きい。そう、シーズンはまだ中盤、勝負はこれからだ。
◎カープ１１回戦……５−６
先制したのはタイガース。２回裏、山田のタイムリーでエバンスを返し、高橋を攻める。３回裏、上坂がバントヒットで出塁すると赤星の送りバントは高橋のエラーを誘い、濱中のセンター前ヒットで２点目、続くクルーズもセンター前に弾き返し３点目、さらにはエバンスがセカンドの頭上を超すタイムリーで４点目。３回までパーフェクトに抑えていた井川のできからいって、勝利は確実と思われた。ところが４回表、悪夢のような連打が井川を襲う。先頭の木村拓に粘られ内野安打を許すと、東出のセーフティーバントでかき回され、ディアスの二塁打で２点を返される。金本の一塁ゴロは送球間に合わずヒットになり、ロペスの犠牲フライで１点差に。そして新井の２ランで逆転された。しかしその裏、上坂のホームランですぐさま同点に追いつき、試合は膠着状態に。７回表、西山の二塁打を足場に攻め立てられた井川は東出に犠牲フライを許し、これが決勝点になった。タイガースは二番手の山内をうちあぐみ、最終回はシュールストロムを満塁に攻め立てサヨナラのチャンスを作ったが、エバンス、根本が球威に押されて凡フライで逆転はならなかった。４回表の井川の乱調が全て。
◎カープ１２回戦……１−４
ハンセルが３回表にディアスに２ランを浴びて先制される。佐々岡はコントロールよく狙い球を絞らせてくれない。４回裏、三塁打の藤本を濱中がライト前ヒットで返したが。反撃もそこまで。７回表には一死二三塁でハンセルの牽制球をエバンスが後逸、２点を許して試合は決定的に。佐々岡には完投を許し、あえなく５連敗。エバンスのグラブさばきの雑さが気になる。
◎カープ１３回戦……２−６
新４番に濱中が抜擢されたがノーヒットに終わる。長谷川、玉木のリレーに、７回裏の広澤の三塁打と）回のクルーズのホームランの２点に抑えこまれてしまった。福原は４回にロペスのホームランで先制点を許すと、５回にはディアスのタイムリーと金本の犠牲フライで３失点の降板。７回には弓長がディアスに２ランを浴びて試合は決した。福原の速球は打ち頃なのか。中西清起さんの解説によると体の開きが早く打者から見やすいモーションだという。いや、それ以上に問題なのはびくびくしながら投げている感じがすること。もっと相手を見下ろして投げればそうは打たれないと思うのだが……。
◎スワローズ１４回戦……５−３
先発のカーライルは６回まで無失点の好投。それに応えるように打線も援護する。５回裏、それまでニューマンにノーヒットに抑えられていたが、四球のエバンスを置いて矢野が放った初安打はレフト線への二塁打。エバンスが返り先制点となる。６回裏には赤星と広澤がヒットで出塁、４番打者として初めてのヒットがタイムリーとなった濱中の二塁打で２点目。７回表、土橋のタイムリーで１点を失ったカーライルは降板し、８回から弓長、伊藤と継投。これが裏目に出て古田にタイムリーを浴び追いつかれる。９回表には川尻が満塁から飯田に犠牲フライを打たれて逆転を許す。これまで何回も味わってきたスワローズ戦の敗戦パターンだ。しか、この日は違った。リリーフの高津を攻め立てる。濱中とエバンスがヒットで出塁、星野修の犠牲フライで同点に追いついた。今季初登板の中込が１０回表を３人で抑えると、その裏、石井弘から上坂がレフトスタンドに突き刺さるサヨナラホームラン！ これまでいいようにあしらわれてきたスワローズ戦で劇的な連敗ストップ。やればできるじゃないか。
◎スワローズ１５回戦……３−７
４番の濱中が石井一らから３安打。４番らしさが少しずつ身についてきた。しかし、前後の打者が打てず、４回に広澤の内野ゴロの間にホームインという１点がやっと。一方、谷中は３回にペタジーニに３ランを打たれるなどして５回５失点でＫＯ。最終回、島田から広澤の二塁打で２点返すのがやっと。４回には藤本が併殺をとろうとして一塁走者土橋のスライディングで負傷、１ヶ月半の欠場を余儀無くされるアクシデントも。踏んだり蹴ったりの１戦。前日のいいムードが台なしになってしまった。
◎スワローズ１６回戦……７−６
先発の伊達は初回二死から四球でランナーをためて岩村にタイムリーを打たれて２点を先制された。しかし、その後７回まで攻めの投球で追加点を許さない。打線もルーキーの奮闘に応える。２回には広澤のホームランで１点差に、４回には赤星がレフト頭上を超える三塁打ででると、八木がショートにいい当たりの内野安打を放ち、同点に。そして６回、ヒットの赤星を八木が送り、広澤がレフトへ見事な勝ち越しタイムリー。このまま逃げ切ろうと８回ベテラン投手陣をつぎ込む野村監督だったが、弓長がペタジーニに四球、遠山が岩村にヒットを許すなどして継投策は裏目に。ラミレスを迎えた伊藤は歩かせてもいい場面でストライクをとりにいき、タイムリー二塁打で逆転された。さらに９回、中込が打ち込まれ、３点差をつけられた。高津の登板で万事休すかと思われたが、９回裏、奇跡的なシーンが待っていた。先頭の桧山が四球で出塁すると、今岡がレフト前にヒットで続く。そして藤本に替わって一軍に戻ってきた沖原が復帰初安打となるセンター前タイムリーで１点を返す。矢野が送り、２死の後代打根本がシンカーを狙い撃ち！ 右中間を破る二塁打でなんと同点に追いついた！ そして代打はカツノリ、初球のシンカーを左中間に運び、根本が生還して一気に４点の逆転サヨナラ勝ち！怪我で欠場していた沖原、二軍で出番を待っていた根本、そしてベンチウォーマーのカツノリら脇役がみごとに活躍しての逆転勝ちに酔う。こんなこともあるんですねえ。
◎愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……中込伸 不思議なツキを持って一軍に帰ってきた。スワローズ戦に登板した２試合は全てサヨナラ勝ち。ベテランの域に達してきた巨漢がその存在感を見せてくれた。
野手……上坂太一郎 ２本のホームランはいずれも芯に当てて振り切った素晴らしい打球。赤星らに隠れていた１年先輩の意地でつかんだスタメンは放さない。
思えば藤本は沖原の負傷で一軍に上がり、チャンスをつかんだのだ。その藤本の負傷で一軍に戻ってきたのが沖原とは。皮肉なことだ。しかし、競争はこれでますます激しくなっていく。次節から９試合ロードが続くが、全て甲子園と思いスワローズ戦で見せた気魄をぶつけていってほしいものだ。スポーツニッポンが野村解任報道でタイガースから訴えられた。いまここでタイガースを叩いても何もよいことはない。やめたらあかんぞ、野村監督。カツノリの涙のサヨナラヒットを無駄にするな！
（２００１年７月２日記）
目次に戻る
ホームページに戻る