クルーズが帰国し、戦力的には手薄になってしまったはずのタイガースだが、横浜球場と戸塚球場でのベイスターズ戦に2勝1敗、そして甲子園に戻ってドラゴンズに2連勝と、4連勝を含む4勝1敗で今節を乗り切った。若手がぐんぐんと伸びているのが見ていてわかる。今節、シアトルマリナーズのイチロー選手がメジャーのオールスター戦に出場したことでタイガースの試合も影が薄いけれど、イチローが「鈴木一朗」だった時のように、注目すべき若手はタイガースにもいるのだ。あとは、監督コーチがどう起用しどう育てていくか、なのだ。
◎ベイスターズ14回戦……3−6
井川と川村の投げあい。2回裏、ドスターのホームランでベイスターズが先制すると、タイガースは5回表、四球の桧山が盗塁。エバンスの内野安打で2死一三塁となる。ここでエバンスが二盗、矢野が歩いて満塁。ここでエバンスが大きく離塁し、谷繁捕手が慌てて牽制球を二塁に送球する間に桧山が本塁へ突入し、足で同点にした。しし、ゲームらしかったのはここまで。5回裏、せっかく同点にしてもらいながら井川は突如コントロールを乱し、中根、ズーバー、ドスターらに連打を食らい、勝ち越しを許す。交代した川尻もタイムリーを打たれるなどして結局この回5失点。6回表には川村を攻め立て桧山のタイムリーで1点はとったもののベイスターズの継投策の前に後続を断たれてしまった。星野伸が最後の2回を無失点で切り抜けたのが収穫か。
◎ベイスターズ15回戦……10−6
初回に試合は決まった。ベイスターズの先発細見から赤星の内野安打を足掛かりに濱中のヒット、桧山の四球で満塁のチャンス。ここで今岡がセンター前に先制のタイムリーを弾き返すと、続く八木もレフト前に落ちるヒットでさらに2点を追加。ここで投手は早くも小桧山に交代。その小桧山から矢野が3ラン。なんと初回に一挙6点のビッグイニングだ。カーライルは5回に小川の3ランなどで4点を失い一時は2点差にまで詰め寄られたが、9回表、代打和田の今季初安打となる二塁打を皮切りにカツノリの代打2ラン、濱中のホームランなどで若い田中敏を打ち込み、4点を追加した。中継ぎとして登板した福原がよく抑え、厳しい展開を切り抜けたのが大きい。
◎ベイスターズ16回戦……3−1
谷中とバワーズの投げあいで、先手をとったのはタイガース。4回表、ユニフォームをかするだけの濱中の死球、今岡がヒットで続いてエバンスが先制のタイムリー。いつもならこのあとが続かないのだが、沖原がきれいに引っ張ってレフト前に二点目のタイムリーを打つ。その裏、谷中は小川とズーバーにヒットを打たれて無死一二塁のピンチを招くが、結局谷繁の内野ゴロの間にランナーがホームインした1点で押さえる。6回にはエバンスのヒットで二塁打の桧山を迎え入れ、再び2点差に。福原ら中継ぎ投手もよく抑え、最後はオールスター出場を決めた成本が9回をきっちりと抑えていい形での勝利。この日の平塚球場は風が強く守備がしっかりとしているかどうかが勝敗の決め手となった。
◎ドラゴンズ17回戦……10−3
毎回17安打の猛攻でタイガースが圧勝。山本昌から初回に濱中の三塁打、エバンスの二塁打で3点を先取。2回には上坂のホームランもあり、3回で山本昌をKOした。先発の伊達は大量得点に守られ6回2失点の好投。そのあとも桧山の10号ホームランなどでちゃくちゃくと加点し、西川や中込のリリーフも決まって、連勝は3とのびた。しかし、こういう展開だからこそ伊達にいけるところまで投げさせるべきではなかったか。
◎ドラゴンズ18回戦……5−4
いやあ、奇跡というのか執念というのか。こういう試合もあるのだね。タイガースは先発前田幸から初回に三塁打の上坂を濱中が犠牲フライで返して1点先取。しかし、そのあと点が入らない。ハンセルはその1点をよく守り抜く好投を見せたが、7回に山崎武の同点ホームランで無念の降板。つないだ福原が8回には一塁カツノリのエラーなどでピンチを招き、福留の内野ゴロで勝ち越しを許した。9回、抑えの切り札ギャラードの登板で万事休すかと思われたが、先頭桧山のヒットでペースを乱す。桧山は盗塁死したものの、星野修のヒットで再び流れが来た。なんとエバンスは止めたバットに当たったボールが一二塁間を破りチャンスを広げる。イライラするギャラードをさらにいびるように星野修が三盗。そしてファールで粘った矢野のタイムリーで同点、延長戦に。切り札のはずの成本も10回表につかまり、神野の二塁打で2点差をつけられた。もうダメかと思ったら、10回裏、なんと今岡の同点2ランが飛び出し、試合は再度振り出しに戻る。結局12回の裏、引き分け目前で上坂のヒットが出てサヨナラ勝ちのチャンス。そして濱中は初球をみごと打ちサヨナラが決まった。この驚異の粘り。これが若手の多いタイガースの魅力か。最後にリリーフに出た川尻が今季初勝利。これをきっかけに先発復帰を目指してほしい。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……伊達昌司 中継ぎにまわった福原に代わり、ローテーション入りしそうな気配。なによりも強気のピッチングが気持ちいい。
野手……今岡誠 けっこういいところで打っているのだ。ドラゴンズ戦の同点ホームランなんかしびれましたよ。今岡が好調で5番に入ると4番の桧山も生きてくる。
ドラゴンズの第3戦に星野伸が先発したが、3回降雨でノーゲーム。1点は失ったものの、次第に調子をあげていて、後半戦が楽しみ。さあ、次節は甲子園でジャイアンツ戦。オールスター前に少しでも勝ち星を積み重ね、最下位のベイスターズを引き離してほしいものだ。
それにしても週刊誌にはおそれいる。今度は岡田二軍監督が酒場で来シーズンのコーチ陣について放言したとかいうまるでその現場に居合わせたような記事を書いている。これでフロントの心証を悪くし岡田監督の可能性を少なくしておいて、どうしても田淵監督にしたいようですな。若手がこれだけ頑張っているのだから、それを起用している野村監督のことをないがしろにしているとしかいいようがない。ノムさん、負けたらあかんで!
(2001年7月16日記)