甲子園最後のジャイアンツ3連戦は3戦目を3回まで進んだところで降雨のためノーゲームとしたが、1勝1敗と五分の戦い。札幌ドームのスワローズ2連戦は2連敗に終わり、スワローズのマジックナンバー減らしの協力をした形になった。今節は1勝3敗と残念な結果に終わったが、まあもう星勘定はよろしい。今節に限っては許す。広澤の歌う六甲颪が聞かれただけで満足だ。「次に甲子園でお立ち台に立ったら六甲颪を歌います」という約束を守ったというだけではない。ジャイアンツをお払い箱になったベテランがここまでファンと一体になったということが嬉しいのだ。広澤はこの瞬間、タイガースの広澤としてファンの心に刻まれる選手となったといっていいだろう。ジャイアンツファンよ、悔しかったら工藤投手に「闘魂こめて」を歌わせてみろ。
◎ジャイアンツ23回戦……2−4
カーライルと入来の投手戦で前半は進む。3回表、カーライルは阿部に先制のホームランを許すが10三振を奪う力投。一方中一日の登板で気合いの入る入来の前にタイガース打線は沈黙。6回にやっと赤星が初安打というのでは投手にたいして申し訳がたつまい。7回表、一死のあと江藤のサードゴロを今岡がエラーで生かしてしまい、元木、阿部のヒットで満塁に。仁志と清水に連続タイムリーを打たれて3点を失ってしまった。これは私は球場で見ていたのだが、あれよあれよという間に点を取られたという感じだった。プロ初登板の金澤が2回を1安打無失点に抑える好投。そして最終回、この試合から復帰した桧山が入来から2ランホームランを放ち一矢を報いたが、反撃もそこまで。リリーフの岡島から二連続安打を放ちサヨナラのチャンスを作ったが代打カツノリが三振に終わり、逆転はならなかった。
◎ジャイアンツ24回戦……1−0
井川が今季2試合めの完封勝ち。6回には一死満塁、8回には一死一三塁、9回には二死二三塁とピンチもあったが、この日先発出場の捕手カツノリが緩急をつけたリードで清原たち強打者のタイミングをはずしていずれも凡打に打ち取った。6回裏、広澤は高橋尚の球にバットを折りながらレフトスタンドに叩き込む先制ホームラン。結局この一打が決勝点となる。見ごたえのある試合だった。そして前述の通りインタビューのお立ち台に上がった広澤は公約通り六甲颪を熱唱。こういう試合をもっともっと見たいものだ。
◎スワローズ21回戦……1−7
谷中は前回のスワローズ戦で完封勝利を果たしている。この日も内角を厳しく攻めて4回まで無失点。しかし、5回に稲葉にこの日2つ目の死球を与え、あわや乱闘という不穏な空気に。この空気に呑まれたかペタジーニ、ラミレスに連続ホームランを打たれてしまった。後をつないだ金澤も8回裏、ショート沖原のエラーなどで許したランナーを置いて真中に3ランを打たれてしまう。打線は藤井の前に完全に沈黙。古田欠場の穴を埋める小野捕手のリードに惑わされてしまい8回に濱中のタイムリーで1点を返すのがやっと。乱闘も辞さずというスワローズの選手達の気魄に押されてしまったようである。
◎スワローズ22回戦……2−3
1回表、ホッジスから放った桧山の一打はあわやホームランという当たり。フェンスの一番上に当たり跳ね返ってグランドに落ちたため二塁打という判定に。上坂がホームインして先制したけれど、結局このあとホッジスの荒れ球にタイミングを狂わされて追加点が取れない。先発藪はその裏、ペタジーニのタイムリーで同点に追いつかれ、2回裏には二死一二塁でワイルドピッチ。なんと二塁走者真中は一気にホームイン。いくらファウルグランドの広い札幌ドームでもカツノリの捕球後の動作は遅かったといっていいだろう。さらに稲葉の一塁ゴロを広澤がエラー、痛い追加点を許してしまった。藪は6回まで投げそのあと得点を許さなかったのだから、やらずもがなの2点はなんとも悔しい。9回、高津から桧山が二塁打を放ち今岡の内野ゴロの間に生還して1点差と迫ったが、反撃もそこまで。もったいない敗戦となった。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 とにかくよく粘って完封。ジャイアンツの強打者たちに気持ちの上でも負けない自信にあふれた投球の姿勢がこの完封を生んだのだ。
野手……広澤克実 六甲颪をファンといっしょに球場で歌うという前代未聞のパフォーマンス、これに尽きる。
いわゆる〈借金〉が18となり今季最多。次節はナゴヤドームと米子でそれぞれ2試合ずつと残り試合が少なくなり試合消化のペースもゆっくりめ。投手陣がそこそこ揃っているタイガースとしてはゆったりしたローテーションで確実に少ない試合をものにしていくしか最下位脱出の方法はない。桧山まかせの打線では厳しいなあ。週刊誌で噂されているように清原のFAによるタイガース移籍ってのはあるのだろうか。あんまりきてほしい選手ではないけれど、この際そんなことは言うてられん。それよりも選手養成に実績のある打撃コーチを招いて若い選手を鍛え上げるようにしてほしいのだけれど。残り27試合でなんとか最下位だけは脱出してほしい。
(2001年9月3日記)