東京ドームのジャイアンツ3連戦は2連敗の後1勝。甲子園のドラゴンズ戦は2勝1敗。今節は3勝3敗と五分で切り抜ける。今さら星勘定をしてもまあどうしようもないけれど。低値安定という感じですかな。それでも走りまくる赤星は34に盗塁数をのばし、刺激されて上坂もどんどん走り出した。それを濱中が帰すという若い選手たちによるいい形の攻撃ができるようになった。後は秋季キャンプで若手が長所をのばしていく練習をして来季につなげていってほしい。
◎ジャイアンツ25回戦……4−8
ハンセルは3回まで清原のホームラン1本に抑える好投。チェンジアップが気持ちよく決まる。それに応えるように打線も先発桑田をノックアウト。初回に二死満塁から今岡のセンター返しのタイムリーでまず2点。3回には二塁打の藤本をハンセルが送り、上坂の流し打ちが決まり二塁打となり1点追加。ところが4回、渡真利主審は突然ハンセルの変化球をボールと判定するようになった。元木のヒットの後阿部と後藤に出した四球はどちらもストライク。これではやってられない。仁志のピッチャー返しはハンセルが弾きタイムリーに。さらに渡真利主審は際どい球をボールと判定。やむなく真ん中にストライクを取りにいったところを高橋由にライトスタンドに運ばれ満塁ホームランで逆転を許してしまった。ハンセルの調子は完全に狂い、清原の頭上にあわや死球というボールを投げてしまう。怒る清原なだめる長嶋監督。一方ハンセルはマウンドを降りて何か言っている。ハンセルに暴行を働こうとした仁志の耳に入った言葉は「ナンデヤネン、ナンデヤネン」。ハンセルには故意死球の意図などなかったんですな。これには仁志も力が抜けたそうだ。かくしてハンセルは降板。渡真利主審は警告試合を宣言した。卑劣な長嶋ジャイアンツといえども、これで報復の故意死球をタイガースの打者に与えることはできなくなった。いいぞ渡真利主審と思ったら、5回なんか濱中が自信を持って見送った外角のボールをストライクと判定し三振とするなど完全にジャイアンツ有利の判定をする。渡真利主審にやられた試合であった。タイガースOBだから古巣に有利にしていると思われたくなくてやっていることなのかもしれないが、公正な判定をすればよいのだ。
◎ジャイアンツ26回戦……0−4
井川と高橋尚の投手戦。高橋尚は内外角に散らす投球。前日のハンセルならボール球。これをストライクと判定してもらえれば、ハンセルだって完封できたよな。もっとも4回には赤星、濱中の連打でチャンスを作りながら濱中が内野ゴロで飛び出ししまってアウトになるなど走塁面のミスで相手を助けてしまった。井川は6回裏につかまる。1死一三塁から松井の犠牲フライで先制されるが、この時一塁ランナーの高橋由までタッチアップで二塁に行かせてしまった。内外野の中継プレーのミスだ。さらに清原のヒットで高橋由は一気に本塁を突く。これは高橋由のスライディングがうまかった。しかし二塁に進塁していなければ防げた失点だろう。7回にはカツノリのパスボールや仁志のスクイズなどで2点を奪われる。バッテリーミスの失点が出ては相手に勢いを与えるだけだ。ミスで敗れた試合である。
◎ジャイアンツ27回戦……2−1
カーライルとメイの投手戦。3回にそれぞれ8番打者がホームランを打つ。沖原のきれいな流し打ちのホームランは技ありの一打。ところがテレビ中継が始まっても全然リプレイしてくれないのよね。結局リプレイしたのは試合終了後のハイライトの時だけ。それに対して阿部のホームランは彼が打席に入る度にリプレイする。日本テレビはタイガースファンが中継を見ているとは思ってもみないと見える。カーライルの気魄は見事。特に7回に先頭の清水にヒットを許しながら松井と清原を連続三振にとった投球にはしびれた。そして9回表、待望の一発が出た。メイの真ん中にはいる速球を濱中がレフトスタンドに弾き返して勝ち越す。カーライルは完投まであと一人というところで遠山にマウンドを譲り、遠山も高橋由にヒットを打たれてピンチを広げたが、松井を一塁ゴロに打ち取り接戦を制した。こういう試合を続けていけばチームに力がつくのだ。
◎ドラゴンズ24回戦……1−3
谷中が初回に井端に浴びた2ランホームランが全て。野口からそうそう点を取れるものではないのだから、先制を許してはいけない。谷中は6回にも山崎武にホームランを打たれて降板。一方野口の前にタイガース打線は6回1死満塁のチャンスで矢野の内野ゴロの間に1点返したのみ。ヒットは出るが要所を締められた。エースというのはこういう投球をするのだという手本を見せられた感じ。井川あたり、この投球をよく見て勉強してほしい。
◎ドラゴンズ25回戦……11−4
ドラゴンズのルーキー中里を足で攪乱した。藪が初回に2点を奪われ苦しいスタートとなったが、その裏、四球の赤星が盗塁、桧山、今岡のタイムリーですぐに同点に追いつく。3回表には藪が波留のタイムリーで再びリードを許し降板。リリーフの伊達は中里にタイムリーを打たれてさらに2点差にされた。それでも赤星が走る。3回裏、ヒットで出塁するとすかさず盗塁。この日5番の今岡が二塁打で帰して1点差に。さらに4回裏、二死2塁で上坂がセンター前に同点タイムリー。上坂はすかさず二盗、そして三盗。焦った中里の投球は高く外れて暴投になりとうとう勝ち越した。5回裏、腱鞘炎で欠場の広澤にかわってスタメン一塁の吉田浩がタイムリーでさらに1点。7回裏には朝倉から2ランを放つなど、吉田浩は長い二軍生活の鬱憤をはらすような活躍だ。リリーフの伊達も好投。弓長、福原、成本とつないでドラゴンズ打線をほぼ完璧に封じ込んだ。
◎ドラゴンズ26回戦……3−1
先発はハンセルとバンチ。まず1回表に濱中がバックスクリーン左に打ち込む特大の先制ソロホームラン。ハンセルは立ち上がりが悪く初回には二死満塁のピンチ。ここは井上を三振に切って取り難を逃れたが2回表の一死一三塁のピンチには荒木にレフト前に運ばれて同点に追いつかれる。ここも立浪の三振で切り抜けると、あとは危なげない投球。5回裏、上坂がランーを二塁に置いてレフトスタンドへライナーで飛び込む決勝2ランホームラン! 7回まで安定した投球のハンセルは、8回から伊藤、遠山、9回には成本のリリーフを仰いだけれど、今季5勝目。ジャイアンツ戦の鬱憤をはらしてくれた。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……バディ・カーライル ジャイアンツ戦、完投寸前まで投げた気魄のピッチングは素晴らしかった。来季は今季の経験を生かしてさらに大きくのびそうな気がする。井川と並ぶ若手投手のホープになった。
野手……濱中おさむ ジャイアンツ戦のメイからの決勝ホームラン、ドラゴンズ戦のバンチからの先制ホームランと外国人投手キラーとでもいうべき活躍。走塁ミスなどもあったが、これを良薬として来季は不動のレギュラーとなってもらいたい。
和田豊内野手が正式に今季限りの引退を表明。1985年の日本一を知る選手がとうとういなくなった。兼任コーチとして迎えた今季は開幕当初からヒットが出ずに苦しみ、出場登録を抹消されコーチとしてベンチにはいるようになってからは顔つきも現役選手の持つ鋭さがなくなっていった。私とは同い年。決して大きいとはいえない体でライト前に計ったように落とす芸術的なヒットを見せたかと思うと思い切り引っ張ってレフトスタンドに運ぶという技術を見せてくれた。お疲れ様でした。10月1日のジャイアンツ戦が引退試合とのこと。もちろん私は甲子園に行くぞ!
(2001年9月24日記)