12月5日にタイガース野村克也監督の夫人である野村沙知代さんが脱税容疑で逮捕されたことを受け、野村監督に対して球団は辞任を勧告し、6日の0時30分より辞任発表の記者会見がおこなわれた。
くるべきものがきたか、という思いである。大阪のスポーツ紙は連日「Xデイ」について取り沙汰し、沙知代さん告発即監督解任という観測記事を目にしていたからだ。
球団や阪神電鉄本社の見通しの甘さがあった、と伝えられている。沙知代さんは追徴課税程度ですむ、と。その場合、野村監督はもちろん来季も監督としてベンチに入っていたはずだ。結局そのような楽観的な見通しはみごとに外れ、野村監督の辞任に至ったのだ。
私は「岡田監督待望」論者であるが、だからといって野村監督に対して否定的な見方だけをしたいとは思わない。確かに好き嫌いで選手起用をするところや選手に対してなにもそこまで言わなくてもという発言などに関してはいい感情は持っていない。が、選手と監督の相性というものはどのチームにもあることだし、選手をくさすのは期待の裏返しでもある。
センターラインをしっかりさせるという監督の方針は決して間違っていたとは思わない。走塁を重視する野球は、赤星の盗塁王とという結果を生んだ。あと一歩というところまできているのである。監督就任時は熱狂的に迎え、不振が続くとその野球の内容よりも勝敗の結果だけをみて、てのひらを返したように監督批判を繰返す地元メディアや性急なファンにも問題はあったと思う。
野村監督は選手に意識改革をさせようとし、それはそろそろ定着しようとしていたように思う。あの三振の多かった桧山が今年はすっかり変身して広角打法を身につけ打率3割を記録したことが好例である。
しかし、夫人の不祥事という形で野村監督は辞任せざるを得なくなった。
残念なことだ。
後任についてはいろいろな名前があがっているが、ここは岡田二軍監督を規定路線通りに一軍監督に就任させるべきだろう。新しいコーチ陣は岡田監督就任に備えたような布陣になっている。秋季キャンプでは木戸ヘッドコーチとともに来季を見すえた指導をしている。
選手の動揺をおさえるためにも、一日も早く新監督を決定し、志半ばに終わった野村監督の目指した野球を完成させてほしいものだ。
私はいい加減な姿勢でことに臨んだフロントこそ今回の騒動を引き起こした張本人ではないかと思っている。特に久万オーナーには大きな責任がある。これを機会にフロントも刷新すべきではないだろうか。
(2001年12月6日記)