3月30日(土)、東京ドーム2連戦で新生タイガースが船出する。
こんなに開幕が待ち遠しい、わくわくする気分なのは3年ぶりである。
キャンプインからオープン戦にかけての2ヶ月、どのキャンプレポートを見ても「タイガースは変わった」との評判である。テレビで見たオープン戦では、確かに選手たちがやる気をだしているという感じがした。半年間の長丁場で、そのやる気が持続してくれればよいのだが、それはもう始まってみないとわからない。要はオープン戦首位の勢いを4月にも持ち続けてくれれば、あとは流れを引き寄せるだけでよい。
桧山選手がインタビューで「野村監督の言ったことがわかってきた」というような内容の発言をしていた。それである。この3年間、野村監督が選手たちに植えつけてきた「考える野球」を星野監督の「闘志の野球」で花開かせるべきなのである。星野監督は、監督就任に際し、「野村の考え」を熟読したという。決して前監督のやり方を否定しているわけではないのだ。選手たちがやる気を出せば、この3年間に野村前監督が目指してきた「考える野球」という土台を生かすことができるはずだ。
星野監督は、トレードなどで常に選手たちを刺激するタイプである。競争させ、選手のやる気を出させる監督である。昨年腐っていた藪、川尻、坪井たちの目の色が変わっている。外国人選手もバルデス、ホワイトを次々と獲得し、ハンセルやアリアス、エバンスに危機感を与えた。6月までトレード期間は残っている。星野監督のことだから、水面下で手を打っているに違いない。
さて戦力であるが、今年の投手の柱はもちろん井川だ。あの江夏豊さんが週刊誌での評論で「12球団の開幕予想投手を見渡して、本当にエースといえるのは松坂と井川の2人だけだ」と断言している。藪という予想もあるが、井川は今後10年間はリーグを代表するエースとなれる存在だから、そのためにも今年から開幕投手として起用してもらわなければならないのだ。先発は藪、川尻、星野のベテラン勢、谷中、伊達の中堅クラス、ムーア、ハンセルら外国人投手と駒がそろっている。ここに藤田や安藤といった若手がからむとなおいっそう面白い。中継ぎは葛西がコーチに専念するので、これまでの伊藤、遠山、弓長のベテラン勢に加え、テスト入団の原田、若手の金澤、吉野といったところが起用されるだろう。抑えは新外国人のバルデスと成本が受け持つことになるが、両者ともオープン戦では不安定な面を見せた。ここは思い切って福原で固定してはどうだろうか。リリーフでの実績は一昨年で証明済みだ。
打線となると、今年も爆発的に打つことは期待できそうにない。アリアスと片岡に過大に期待するよりも、桧山、坪井、濱中らを軸に考えた方がよいと思う。赤星が出塁し、今岡がつなぎ、片岡、アリアス、桧山、濱中の誰かが返す。藤本、矢野も下位打線に置くと上位にまわす力はある。どちらにしろ、つないでかきまわすという形で汚い点の取り方をしてほしい。
ペナントレースの長丁場を考えれば、途中で新井や桜井、浅井、藤原、松田、曽我部、喜田ら若手の野手を次々に抜擢して経験をつませるというあたりも期待したい。そこらへんは岡田二軍監督との連係がうまくいきそうだ。
監督を補佐する島野コーチの存在も大きい。島野コーチは長年タイガースで指導してきた。星野監督のこともタイガースのことも知り抜いている。盛り上げ役の田淵コーチもいる。大人の野球を教える佐藤投手コーチや、指導者としてアメリカで高い評価を受けたオマリー特命コーチの存在も頼もしい限り。
恒例の順位予想だが、今年はやめておこう。予想するまでもなく、オープン戦で首位になったチームが勝ち続けることの喜びを知り、シーズンに入ってもその勢いを保ち、公式戦でも独走することが決定しているからである。予想などするまでもないではないですか。わはははははは。
(2002年3月27日記)